2026年版・5-2

公共工事標準請負契約約款の一問一答

1級土木施工管理技士「共通工学・施工管理法」から、公共工事標準請負契約約款に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問15-2

公共工事標準請負契約約款上、設計図書に含まれるものとして適当なものはどれか。

  • ①契約書
  • ②現場説明に対する質問回答書
  • ③工事工程表
  • ④施工体制台帳
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正解 ②現場説明に対する質問回答書
解説
公共工事標準請負契約約款は、公共工事の請負契約に用いる契約条項の標準を中央建設業審議会が定めたものです。ここでいう設計図書とは、受注者が何をどこまで造るかを定めた文書の総称で、図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書の4つをいいます。
この4つが設計図書とされているのは、いずれも「完成させるべき目的物の内容」を定めている文書だからです。現場説明に対する質問回答書は、入札前の現場説明の際に応札者から出た質問に発注者が回答した文書で、図面や仕様書の記載を補い、あるいは訂正する内容を含みます。したがって契約の内容そのものを構成する文書として、設計図書に含まれます。
一方、契約書は請負代金額や工期といった契約そのものの条件を定める文書であり、設計図書とは区別されます。工事工程表や施工体制台帳は、受注者が施工の計画や体制を発注者に示すために作成・提出する書類であって、造るべきものの内容を定めた文書ではありません。設計図書は発注者が示すもの、施工計画に関する書類は受注者が作るもの、と主体で区別すると混同しません。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の総則における設計図書の定義によります)

他の選択肢が不適切な理由
「契約書」は誤りです。契約書は請負代金額・工期・当事者などの契約条件を定める文書で、設計図書とは別のものとして扱われます。
「工事工程表」も誤りです。工事工程表は受注者が契約締結後に作成して発注者に提出する書類であり、造るべき目的物の内容を定めた文書ではありません。
「施工体制台帳」も誤りです。施工体制台帳は建設業法に基づいて受注者が下請の状況を記載し備え置く書類であって、設計図書には含まれません。
問25-2

公共工事標準請負契約約款に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①仮設や施工方法は、原則として受注者がその責任で定める。
  • ②仮設や施工方法は、常に発注者が指定しなければならない。
  • ③受注者は、工事の主たる部分を一括して下請負に付せる。
  • ④受注者は、監督員の承諾があれば全部を下請負に付せる。
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正解 ①仮設や施工方法は、原則として受注者がその責任で定める。
解説
この約款の考え方の根本にあるのは、発注者は「何を造るか」を定め、受注者は「どうやって造るか」を決めて完成させる、という役割分担です。
この分担が条文になっているのが、仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める、という規定です。土留めの方式、型枠支保工の組み方、使用する機械の選定などは、受注者が現場の状況と自らの技術力に応じて決めます。逆に言えば、その選択によって生じた不具合や余分な費用も受注者の責任になります。設計図書に施工方法が指定されている場合だけが例外です。
もう一つの重要な原則が、一括委任又は一括下請負の禁止です。受注者は、工事の全部又はその主たる部分を一括して第三者に委任し、又は請け負わせてはならないとされています。名義だけを貸して実際の施工を丸投げする行為は、責任の所在をあいまいにし、品質の低下と中間搾取を招くためで、建設業法でも同様に禁止されています。発注者や監督員の承諾があれば認められる、というものではありません。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の総則及び一括委任又は一括下請負の禁止に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「仮設や施工方法は、常に発注者が指定しなければならない。」は誤りです。設計図書に特別の定めがある場合を除き、施工方法等は受注者が自らの責任において定めます。
「受注者は、工事の主たる部分を一括して下請負に付せる。」も誤りです。工事の全部又は主たる部分の一括下請負は禁止されています。
「受注者は、監督員の承諾があれば全部を下請負に付せる。」も誤りです。一括下請負の禁止は監督員の承諾によって解除されるものではありません。
問35-2

公共工事標準請負契約約款上の現場代理人に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①現場代理人は、請負代金額の変更に係る権限を行使できる。
  • ②現場代理人は、主任技術者を兼ねることができない。
  • ③現場代理人は、工事現場に常駐して運営及び取締りを行う。
  • ④現場代理人の氏名は、発注者に通知する必要がない。
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正解 ③現場代理人は、工事現場に常駐して運営及び取締りを行う。
解説
現場代理人は、請負契約を結んだ受注者に代わって、その工事現場のことを日々取り仕切る立場の者です。技術上の管理を担う主任技術者・監理技術者とは役割が異なり、現場代理人は契約の履行という面から現場を代表します。
約款では、現場代理人は工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領、契約の解除に係る権限を除き、この契約に基づく受注者の一切の権限を行使することができるとされています。日常の指示ややり取りは現場代理人がその場で判断できる一方、お金と契約そのものにかかわる重い判断は、会社としての意思決定が必要なので除かれている、という線引きです。
また、受注者は現場代理人、主任技術者(監理技術者)、専門技術者を定めて、その氏名などを発注者に通知しなければなりません。発注者が誰を相手に指示や協議を行えばよいかを明らかにするためです。なお、現場代理人と主任技術者(監理技術者)、専門技術者は、これを兼ねることができるとされています。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の現場代理人及び主任技術者等に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「現場代理人は、請負代金額の変更に係る権限を行使できる。」は誤りです。請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領、契約の解除に係る権限は、現場代理人の権限から明文で除かれています。
「現場代理人は、主任技術者を兼ねることができない。」も誤りです。現場代理人と主任技術者(監理技術者)、専門技術者は兼ねることができるとされています。
「現場代理人の氏名は、発注者に通知する必要がない。」も誤りです。受注者は現場代理人を定めて、その氏名等を書面により発注者に通知しなければなりません。
問45-2

公共工事標準請負契約約款上の監督員に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①発注者は、監督員を置いたときはその氏名を受注者に通知する。
  • ②発注者の受注者に対する指示は、原則として監督員が行う。
  • ③監督員は、受注者の工事関係者に対する措置請求を行える。
  • ④監督員は、請負代金額の変更を単独で決定する権限を持つ。
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正解 ④監督員は、請負代金額の変更を単独で決定する権限を持つ。
解説
監督員は、発注者側に立って工事の実施を確認し、指示や協議の窓口となる者です。発注者が監督員を置いたときは、その氏名を受注者に通知します。この通知によって、受注者は誰と話をすればよいかが確定します。
約款では、この契約に基づく発注者の受注者に対する指示、承諾又は協議は、原則として監督員を通じて行うものとされています。担当者ごとにばらばらの指示が飛べば現場は混乱するため、窓口を一本化しているのです。監督員の職務には、設計図書に基づく工事の施工のための詳細図等の作成及び交付、又は受注者が作成した図面の承諾、設計図書に基づく工程の管理・立会い・工事の施工状況の検査などがあります。また、工事関係者のうちに工事の施工又は管理につき著しく不適当と認められる者があるときは、その理由を明示して必要な措置をとるべきことを請求できます。
ただし、監督員の権限は約款に定められた事項と、発注者が必要と認めて監督員に委任した事項に限られます。請負代金額や工期の変更は、契約そのものの内容を変えることであり、契約の当事者である発注者が決定するものです。監督員が単独で決定できるものではありません。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の監督員に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「発注者は、監督員を置いたときはその氏名を受注者に通知する。」は正しい記述です。指示や協議の相手方を明確にするための手続です。
「発注者の受注者に対する指示は、原則として監督員が行う。」も正しい記述で、指示の窓口を一本化して現場の混乱を防ぐための定めです。
「監督員は、受注者の工事関係者に対する措置請求を行える。」も正しい記述です。施工又は管理につき著しく不適当な者があるときは、理由を明示して必要な措置を請求できます。
問55-2

公共工事標準請負契約約款上の工事材料に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①品質が設計図書に明示されていない材料は、上等の品質とする。
  • ②品質が設計図書に明示されていない材料は、中等の品質とする。
  • ③検査に合格した材料は、受注者の判断で現場外へ搬出できる。
  • ④検査に不合格となった材料も、工事現場に存置してよい。
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正解 ②品質が設計図書に明示されていない材料は、中等の品質とする。
解説
工事に使う材料は、原則として設計図書で品質が指定されます。しかし、細かい副資材まですべてを書き尽くすことは現実には難しく、指定のない材料も必ず出てきます。そのときにどの水準の物を使うかで争いが生じないよう、約款はあらかじめ基準を置いています。
それが、工事材料の品質について設計図書にその品質が明示されていない場合にあっては、中等の品質を有するものとする、という規定です。最上級の物までは求めず、かといって最低限の粗悪品でもない、通常の取引において標準とされる水準の物を使う、という意味です。上等の品質を求めれば受注者に過大な負担を強い、下等でよいとすれば構造物の品質が損なわれるため、その中間に線を引いているわけです。
また、監督員の検査に合格した工事材料は、監督員の承諾を受けないで工事現場外に搬出してはならないとされています。合格した材料が現場から持ち出され、別の材料に入れ替わることを防ぐためです。逆に、検査に不合格となった材料については、受注者は所定の期間内に工事現場外に搬出しなければなりません。不合格の材料を現場に置いたままにすると、誤って使用される危険があるからです。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の工事材料の品質及び検査等に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「品質が設計図書に明示されていない材料は、上等の品質とする。」は誤りです。約款が定めているのは中等の品質であり、上等の品質を求めるものではありません。
「検査に合格した材料は、受注者の判断で現場外へ搬出できる。」も誤りです。検査に合格した材料の現場外への搬出には、監督員の承諾が必要です。
「検査に不合格となった材料も、工事現場に存置してよい。」も誤りです。不合格となった材料は、定められた期間内に工事現場外へ搬出しなければなりません。
問65-2

公共工事標準請負契約約款上の条件変更等に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①設計図書に誤りを発見しても、受注者は通知を要しない。
  • ②受注者は該当する事実を発見したら、監督員に確認を請求する。
  • ③監督員は、受注者の立会いを求めることなく調査を行うものとする。
  • ④調査の結果、工期や請負代金額を変更することはできない。
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正解 ②受注者は該当する事実を発見したら、監督員に確認を請求する。
解説
条件変更等とは、設計図書に書かれている前提と、現場の実際の状態とが食い違っている場合の取扱いを定めた仕組みです。地中の状態は掘ってみるまで分からないため、この食い違いは公共工事で日常的に起こります。
約款は、受注者が次のいずれかの事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならないとしています。図面・仕様書・現場説明書・質問回答書が一致しないこと、設計図書に誤謬又は脱漏があること、設計図書の表示が明確でないこと、工事現場の形状・地質・湧水等の状態や施工上の制約等が設計図書と実際に一致しないこと、設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと、の5つです。
通知と確認の請求を受けた監督員は、受注者の立会いの上、直ちに調査を行い、その結果を調査の終了後14日以内に受注者へ通知します。立会いを求めるのは、現場の状態は時間とともに変わってしまうため、双方が同時に確認しておく必要があるからです。調査の結果、必要があると認められるときは、発注者が設計図書の訂正又は変更を行い、あわせて工期や請負代金額を変更します。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の条件変更等に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「設計図書に誤りを発見しても、受注者は通知を要しない。」は誤りです。受注者には、直ちに監督員へ通知し確認を請求する義務があります。
「監督員は、受注者の立会いを求めることなく調査を行うものとする。」も誤りです。調査は受注者の立会いの上で直ちに行うこととされています。
「調査の結果、工期や請負代金額を変更することはできない。」も誤りです。調査の結果、必要があると認められるときは工期又は請負代金額を変更します。
問75-2

公共工事標準請負契約約款上の工期及び請負代金額の変更に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①発注者は、必要があると認めるときは設計図書を変更できる。
  • ②発注者は、必要があると認めるときは工事を中止させられる。
  • ③受注者は、自らの責めに帰す理由でも工期の延長を請求できる。
  • ④設計図書の変更により、工期や請負代金額を変更することがある。
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正解 ③受注者は、自らの責めに帰す理由でも工期の延長を請求できる。
解説
工期の延長を請求できるかどうかは、その遅れの原因が誰の側にあるかで決まります。約款は、受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは、受注者はその理由を明示した書面により発注者に工期の延長変更を請求することができる、と定めています。
つまり、延長を請求できるのは受注者に責任のない事由による場合に限られます。設計図書の変更、発注者による工事の中止、用地の引渡しの遅れ、異常な天候などがこれにあたります。逆に、受注者の施工計画の甘さ、資機材の手配の遅れ、自社の人員不足といった、受注者側に原因のある遅れについて延長を請求することはできません。それを認めれば、工期を守る約束そのものが意味を失ってしまうからです。
発注者の側には、必要があると認めるときは設計図書の変更内容を受注者に通知して設計図書を変更する権限、及び工事の中止内容を通知して工事の全部又は一部の施工を一時中止させる権限があります。ただし、これによって工期や費用に影響が生じたときは、必要と認められる工期の延長や請負代金額の変更を行い、受注者に増加費用が生じた場合はこれを負担します。権限と負担が対になっている点が重要です。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の設計図書の変更、工事の中止及び工期の変更に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「発注者は、必要があると認めるときは設計図書を変更できる。」は正しい記述です。変更内容を受注者に通知して行い、必要な工期・請負代金額の変更を伴います。
「発注者は、必要があると認めるときは工事を中止させられる。」も正しい記述です。中止に伴って生じた増加費用は発注者が負担します。
「設計図書の変更により、工期や請負代金額を変更することがある。」も正しい記述で、変更の内容に応じて工期と代金の双方が調整されます。
問85-2

公共工事標準請負契約約款上の工事の完成と請負代金の支払に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①発注者は、完成の通知を受けた日から14日以内に検査する。
  • ②発注者は、完成の通知を受けた日から60日以内に検査する。
  • ③請負代金は、検査の完了と同時に支払われるものとする。
  • ④前払金は、請求を受けた日から60日以内に支払うものとする。
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正解 ①発注者は、完成の通知を受けた日から14日以内に検査する。
解説
工事が終わってから代金が支払われるまでの流れは、受注者の資金繰りに直結します。そのため約款は、各段階に期限を定めて、支払が不当に遅れることを防いでいます。
まず受注者は、工事を完成したときは、その旨を発注者に通知します。発注者は、この通知を受けたときは、通知を受けた日から14日以内に、受注者の立会いの上、設計図書に定めるところにより工事の完成を確認するための検査を完了し、その結果を受注者に通知しなければなりません。検査が長引けば引渡しも支払も進まないため、期限が切られているわけです。
検査に合格すれば、受注者は工事目的物を発注者に引き渡し、請負代金の支払を請求できます。発注者は、この請求があったときは、請求を受けた日から40日以内に請負代金を支払わなければなりません。前払金については、請求を受けた日から14日以内に支払うこととされており、着工に必要な資金を早く手当てできるようになっています。
検査の完了と同時に自動的に支払われるのではなく、受注者からの請求という手続を経て、定められた期間内に支払われる点が要点です。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の検査及び引渡し並びに請負代金の支払に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「発注者は、完成の通知を受けた日から60日以内に検査する。」は誤りです。完成検査は通知を受けた日から14日以内に完了しなければなりません。
「請負代金は、検査の完了と同時に支払われるものとする。」も誤りです。検査合格後に受注者が請求を行い、発注者は請求を受けた日から40日以内に支払います。
「前払金は、請求を受けた日から60日以内に支払うものとする。」も誤りです。前払金は請求を受けた日から14日以内に支払うこととされています。
問95-2

公共工事標準請負契約約款上の不可抗力による損害に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①請負代金額の100分の1を超える損害額は、発注者が負担する。
  • ②請負代金額の100分の5を超える損害額は、発注者が負担する。
  • ③不可抗力による損害は、その全額を受注者が負担するものとする。
  • ④受注者は、損害が生じても発注者に通知する必要はない。
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正解 ①請負代金額の100分の1を超える損害額は、発注者が負担する。
解説
不可抗力とは、台風、洪水、高潮、地震、地すべりなど、当事者のどちらの責任でもなく、また通常の注意では防ぎようのない事象をいいます。工事目的物の引渡し前にこうした事象で損害が生じたとき、その負担を誰がどこまで負うかを定めているのがこの規定です。
基本の考え方は、受注者には現場を良好に保つ責任があるので一定額までは負担してもらい、それを超える大きな損害は発注者が引き受ける、というものです。具体的には、損害の額及び損害の取片付けに要する費用の額の合計額のうち、請負代金額の100分の1を超える額を発注者が負担します。裏返せば、請負代金額の100分の1に相当する額までは受注者の負担ということになります。
ただし、受注者が善良な管理者の注意義務を怠ったことに基づく損害や、保険等によっててん補される部分は、この負担の対象から除かれます。台風が来ると分かっていながら資材を固定しなかったような場合まで発注者に負担させるのは、筋が通らないからです。
手続としては、受注者は損害が発生したときは、その事実の発生後直ちにその状況を発注者に通知しなければなりません。通知がなければ発注者は損害の状況を確認できず、負担額を確定できないからです。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の不可抗力による損害に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「請負代金額の100分の5を超える損害額は、発注者が負担する。」は誤りです。受注者の負担の限度は請負代金額の100分の1であり、100分の5ではありません。
「不可抗力による損害は、その全額を受注者が負担するものとする。」も誤りです。請負代金額の100分の1を超える額は発注者が負担します。
「受注者は、損害が生じても発注者に通知する必要はない。」も誤りです。損害の発生後直ちにその状況を発注者へ通知しなければなりません。
問105-2

公共工事標準請負契約約款に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①発注者は、受注者の承諾を得て工事目的物を完成前に使用できる。
  • ②契約不適合の通知は、引渡しを受けた日から2年以内に行う。
  • ③受注者は、工事の完成の期日までに工事を完成し通知する。
  • ④設計図書に定めのない仮設物は、発注者が費用を負担する。
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正解 ④設計図書に定めのない仮設物は、発注者が費用を負担する。
解説
仮設物は、完成後には撤去されて残らないため、その費用を誰が負担するのかが分かりにくい部分です。約款の考え方は明確で、仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段は、設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定めるとされています。何をどう仮設するかを受注者が決める以上、その費用も請負代金の中に含まれていると考えるのが筋であり、設計図書に定めがないことを理由に発注者へ請求することはできません。
これに対して、設計図書で構造や寸法まで指定されている仮設物(指定仮設)は、受注者に選択の余地がないため、変更が生じれば設計図書の変更として請負代金額の変更につながります。任意仮設か指定仮設かで扱いが分かれる、という整理になります。
そのほか、発注者は、工事目的物の全部又は一部の完成前であっても、受注者の承諾を得てこれを使用することができるとされています。道路の一部を先に開放する場合などがこれにあたります。また、引き渡された工事目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、発注者は引渡しを受けた日から2年以内にその旨を受注者に通知して、履行の追完や代金の減額などを求めることができます。
(根拠:公共工事標準請負契約約款の総則、部分使用及び契約不適合責任に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「発注者は、受注者の承諾を得て工事目的物を完成前に使用できる。」は正しい記述です。完成前の部分使用は受注者の承諾を条件に認められています。
「契約不適合の通知は、引渡しを受けた日から2年以内に行う。」も正しい記述です。設備機器等については別に短い期間が定められています。
「受注者は、工事の完成の期日までに工事を完成し通知する。」も正しい記述で、完成の通知を受けて発注者の完成検査が始まります。

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