2026年版・4-2

労働基準法(労働時間・年少者・災害補償)の一問一答

1級土木施工管理技士「法規」から、労働基準法(労働時間・年少者・災害補償)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-2

労働時間に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①使用者は、1週間について40時間を超えて労働させてはならない。
  • ②使用者は、1日について8時間を超えて労働させてはならない。
  • ③労働時間は、事業場を異にする場合でも通算して計算する。
  • ④手待時間は労働時間に含まれず、休憩時間として扱われる。
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正解 ④手待時間は労働時間に含まれず、休憩時間として扱われる。
解説
労働基準法が定める労働時間の原則は、休憩時間を除いて1週間について40時間、1日について8時間です。これを法定労働時間といい、これを超えて働かせるには時間外労働に関する労使協定(36協定)を結んで届け出るなどの手続が必要になります。
ここで押さえておきたいのが、労働時間とは何を指すのかという考え方です。労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実際に体を動かして作業している時間だけを指すのではありません。したがって、資材の到着を待つ間や、次の指示が来るまで現場で待機している時間、いわゆる手待時間も労働時間に含まれます。その場を離れて自由に過ごすことができない以上、指揮命令下にあると評価されるからです。休憩時間は労働者が自由に利用できる時間であって、手待時間とは性質がまったく異なります。したがって「休憩時間として扱われる」という記述は誤りです。
また、労働時間は事業場を異にする場合でも通算します。同じ労働者が午前は別の事業場、午後は自社の現場で働いた場合、両方を合わせて8時間を超えれば時間外労働になります。
(根拠:労働基準法第32条及び第38条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「使用者は、1週間について40時間を超えて労働させてはならない。」は正しい記述で、これが週の法定労働時間です。
「使用者は、1日について8時間を超えて労働させてはならない。」も正しく、1日の法定労働時間として定められています。
「労働時間は、事業場を異にする場合でも通算して計算する。」も正しく、事業主が異なる場合であっても労働時間に関する規定の適用については通算されます。
問24-2

休憩に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①労働時間が6時間を超える場合は、45分以上の休憩を与える。
  • ②労働時間が8時間を超える場合も、45分以上の休憩でよい。
  • ③休憩時間は、労働時間の途中ではなく終業後に与えてもよい。
  • ④休憩時間中であっても、外出を全面的に禁止することができる。
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正解 ①労働時間が6時間を超える場合は、45分以上の休憩を与える。
解説
休憩は、連続して働き続けることによる疲労の蓄積と、それに伴う労働災害を防ぐための制度です。土木の現場では作業の区切りがつきにくく、休憩が後回しにされがちなので、法が最低限を定めています。
与えるべき休憩時間は、1日の労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間です。6時間ちょうどであれば休憩を与えなくても違法ではありませんが、6時間を1分でも超えれば45分が必要になります。
この休憩には三つの原則があります。第一に、労働時間の途中に与えなければなりません。休憩は疲労を回復させて後半の作業を安全に行うためのものですから、終業後にまとめて与えても意味がなく、それは単なる早上がりにすぎません。第二に、原則として一斉に与えます。ばらばらに取ると休憩している人に用件が持ち込まれ、実質的に休めなくなるためです。ただし労使協定を結べば交替で取ることもできます。第三に、自由に利用させなければなりません。したがって外出を全面的に禁止するような扱いは、休憩を与えたことになりません。
(根拠:労働基準法第34条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「労働時間が8時間を超える場合も、45分以上の休憩でよい。」は誤りです。8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません。
「休憩時間は、労働時間の途中ではなく終業後に与えてもよい。」も誤りで、休憩は労働時間の途中に与えなければならないと明記されています。
「休憩時間中であっても、外出を全面的に禁止することができる。」も誤りです。休憩時間は労働者に自由に利用させなければならず、全面的な外出禁止は自由利用の原則に反します。
問34-2

休日及び時間外労働に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①使用者は、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。
  • ②4週間を通じ4日以上の休日を与える場合は、週1回によらない。
  • ③時間外労働の協定は、締結すれば届け出なくても効力を生じる。
  • ④災害等で臨時の必要がある場合は、行政官庁の許可を受ける。
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正解 ③時間外労働の協定は、締結すれば届け出なくても効力を生じる。
解説
法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりすることは、本来は禁止されています。それを例外的に可能にするのが、労働基準法第36条に基づく労使協定、いわゆる36協定です。
ここで重要なのは、この協定は「締結すること」と「行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出ること」の両方がそろって初めて効力を持つという点です。条文も、協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合においては時間外労働をさせることができる、という書き方になっています。届出を怠ったまま時間外労働をさせれば、協定があっても労働時間の規定に違反したことになります。したがって「届け出なくても効力を生じる」という記述は誤りです。
休日については、毎週少なくとも1回の休日を与えるのが原則です。ただし、4週間を通じて4日以上の休日を与える変形休日制をとる場合には、この毎週1回の原則は適用されません。工程の都合で休日を動かさざるを得ない建設業では、この扱いが実務上よく用いられます。
また、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、行政官庁の許可を受けて時間外労働や休日労働をさせることができ、事態が急迫して許可を受ける暇がないときは事後に遅滞なく届け出ます。
(根拠:労働基準法第33条、第35条及び第36条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「使用者は、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。」は正しい記述で、これが休日に関する原則です。
「4週間を通じ4日以上の休日を与える場合は、週1回によらない。」も正しく、変形休日制をとる場合には毎週1回の原則が適用されません。
「災害等で臨時の必要がある場合は、行政官庁の許可を受ける。」も正しく、許可を受ける暇がない場合は事後の届出によることとされています。
問44-2

割増賃金に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①休日労働の割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上である。
  • ②時間外労働の割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上である。
  • ③深夜労働の割増賃金は、通常の賃金の5割以上で計算する。
  • ④1か月60時間を超える時間外労働は、2割5分以上でよい。
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正解 ②時間外労働の割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上である。
解説
割増賃金には二つのねらいがあります。ひとつは、通常より重い負担を負った労働者に対する補償であり、もうひとつは、使用者に金銭的な負担を課すことで長時間労働や深夜労働そのものを抑制することです。割増率が場面によって違うのは、負担の重さに差があるからだと理解すると覚えやすくなります。
率は次のとおりです。時間外労働は2割5分以上、深夜労働(午後10時から午前5時まで)も2割5分以上、休日労働は3割5分以上です。休日労働の率が高いのは、まるまる1日の休息が失われるためです。さらに、1か月について60時間を超えた時間外労働の部分は5割以上に引き上げられます。恒常的な長時間労働を強く抑えるための規定で、中小企業も含めて適用されています。
これらは重なることがあります。たとえば時間外労働が深夜に及べば2割5分と2割5分を足して5割以上、休日労働が深夜に及べば3割5分と2割5分を足して6割以上の割増となります。
(根拠:労働基準法第37条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「休日労働の割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上である。」は誤りです。休日労働の割増率は3割5分以上であり、時間外労働より高く設定されています。
「深夜労働の割増賃金は、通常の賃金の5割以上で計算する。」も誤りで、深夜労働の割増率は2割5分以上です。5割以上となるのは1か月60時間を超える時間外労働の部分です。
「1か月60時間を超える時間外労働は、2割5分以上でよい。」も誤りです。60時間を超える部分については5割以上の割増賃金を支払わなければなりません。
問54-2

年少者の使用に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①満15歳に達した日以後の最初の3月31日までは使用できない。
  • ②満18歳未満の者にも、36協定による時間外労働をさせられる。
  • ③満18歳未満の者の年齢を証明する戸籍証明書を備え付ける。
  • ④満18歳未満の者は、坑内で労働させることが禁止されている。
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正解 ②満18歳未満の者にも、36協定による時間外労働をさせられる。
解説
年少者に関する規定は、心身が発達の途上にある若年者を、過重な労働や危険な作業から守るために置かれています。年齢の区切りが複数あるので、どの年齢に何の制限がかかるかを整理しておくことが大切です。
まず使用そのものの制限として、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでは、労働者として使用してはならないとされています。義務教育を終えるまでは働かせないという趣旨で、年齢そのものではなく学年の区切りで定められている点が特徴です。
次に、満18歳未満の者については、変形労働時間制の規定と、36協定による時間外労働・休日労働の規定が適用されません。つまり、労使協定を結んでいても、満18歳未満の者に法定労働時間を超えて働かせることは原則としてできません。年少者には1日8時間・1週40時間の枠をそのまま守らせるという考え方です。したがって「36協定による時間外労働をさせられる」という記述は誤りです。
あわせて、満18歳未満の者を坑内で労働させることは全面的に禁止されており、事業場には年齢を証明する戸籍証明書を備え付けなければなりません。
(根拠:労働基準法第56条、第57条、第60条及び第63条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「満15歳に達した日以後の最初の3月31日までは使用できない。」は正しい記述で、最低年齢の原則を示しています。
「満18歳未満の者の年齢を証明する戸籍証明書を備え付ける。」も正しく、年齢の確認を確実にするため事業場への備付けが義務づけられています。
「満18歳未満の者は、坑内で労働させることが禁止されている。」も正しく、坑内労働は年少者について例外なく禁止されています。
問64-2

未成年者の労働契約及び賃金に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①親権者は、未成年者の賃金を代わって受け取ることができる。
  • ②親権者は、未成年者に代わって労働契約を締結してはならない。
  • ③未成年者は、独立して賃金を請求することが認められていない。
  • ④行政官庁は、未成年者の労働契約を解除することができない。
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正解 ②親権者は、未成年者に代わって労働契約を締結してはならない。
解説
この分野の規定は、親などが本人の意思と関係なく子を働きに出し、その賃金を取り上げてしまう事態を防ぐために置かれています。かつて実際にあった弊害を断ち切るための規定だと理解すると、内容がすっきり結び付きます。
まず契約の入口についてです。親権者または後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結してはなりません。誰の下でどのような条件で働くかは、本人が決めるべき事柄だからです。
次に賃金についてです。未成年者は、独立して賃金を請求することができ、親権者または後見人が未成年者の賃金を代わって受け取ることは禁止されています。働いて得たお金は本人のものであるという原則を、直接払いの原則(労働基準法第24条)と重ねて念押ししたものです。
一方で、未成年者が不利な契約を結んでしまうこともあります。そこで、親権者もしくは後見人または行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合には、将来に向かってこれを解除することができるとされています。契約を結ばせる権限は与えないが、不利な契約から救い出す権限は認めるという組立てです。
(根拠:労働基準法第58条及び第59条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「親権者は、未成年者の賃金を代わって受け取ることができる。」は誤りです。親権者または後見人が未成年者の賃金を代わって受け取ることは明文で禁止されています。
「未成年者は、独立して賃金を請求することが認められていない。」も誤りで、未成年者は独立して賃金を請求することができます。
「行政官庁は、未成年者の労働契約を解除することができない。」も誤りです。労働契約が未成年者に不利であると認める場合には、行政官庁も将来に向かって解除することができます。
問74-2

年少者の就業制限に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①満18歳未満の者は、原則として深夜に使用してはならない。
  • ②交替制の満16歳以上の男性は、深夜業の禁止から除かれる。
  • ③満18歳未満の者は、クレーンの運転業務に就かせてはならない。
  • ④満18歳未満の者も、足場の組立て等の業務に就かせてよい。
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正解 ④満18歳未満の者も、足場の組立て等の業務に就かせてよい。
解説
満18歳未満の者については、危険有害業務への就業が広く制限されています。判断力や体力が十分でない時期に重大な災害へ巻き込まれることを防ぐためで、具体的な業務は年少者労働基準規則に列挙されています。
建設現場に関係の深いものとしては、クレーン、デリック、揚貨装置の運転の業務、動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務、土砂が崩壊するおそれのある場所または深さが5m以上の地穴における業務、高さが5m以上の場所で墜落により危害を受けるおそれのあるところにおける業務、そして足場の組立て、解体または変更の業務があります。したがって「足場の組立て等の業務に就かせてよい」という記述は誤りです。ただし足場については、地上または床上で行う補助作業の業務は制限から除かれており、資材を地上で受け渡すような作業までは禁じられていません。
深夜業についても、満18歳未満の者を午後10時から午前5時までの間に使用することは原則として禁止されています。ただし、交替制によって使用する満16歳以上の男性は、この禁止から除かれています。
(根拠:労働基準法第61条及び第62条並びに年少者労働基準規則第8条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「満18歳未満の者は、原則として深夜に使用してはならない。」は正しい記述で、午後10時から午前5時までの使用が原則として禁止されています。
「交替制の満16歳以上の男性は、深夜業の禁止から除かれる。」も正しく、条文に定められた深夜業禁止の例外です。
「満18歳未満の者は、クレーンの運転業務に就かせてはならない。」も正しく、クレーン、デリック又は揚貨装置の運転の業務は就業制限業務に挙げられています。
問84-2

災害補償に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①休業補償は、平均賃金の100分の80を支払うものである。
  • ②災害補償は、労働者に過失があれば一切行われないものである。
  • ③療養補償は、使用者が費用を負担して療養を行うものである。
  • ④障害補償は、障害の程度にかかわらず同額とされるものである。
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正解 ③療養補償は、使用者が費用を負担して療養を行うものである。
解説
労働基準法の災害補償は、労働者が業務上の負傷や疾病を負ったとき、その過失の有無を問わず使用者に補償の責任を負わせる制度です。裁判で使用者の落ち度を証明しなければ何も受けられないという状態では労働者が救われないため、無過失責任という考え方を採っています。
補償の中心となるのが療養補償です。労働者が業務上負傷し、または疾病にかかった場合、使用者はその費用で必要な療養を行い、または必要な療養の費用を負担しなければなりません。治療費の自己負担を求めないという趣旨です。
療養のために働けず賃金を受けられない期間については休業補償が行われ、その額は平均賃金の100分の60です。治ったあとに障害が残った場合には障害補償が行われ、その額は障害の程度に応じて平均賃金に法定の日数を乗じて算定されます。障害の重さによって金額が大きく変わる仕組みです。
なお、労働者に重大な過失があり、かつ使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合には、休業補償と障害補償を行わなくてもよいとされていますが、療養補償はこの例外に含まれません。
(根拠:労働基準法第75条から第78条までによります)

他の選択肢が不適切な理由
「休業補償は、平均賃金の100分の80を支払うものである。」は誤りです。休業補償の額は平均賃金の100分の60です。
「災害補償は、労働者に過失があれば一切行われないものである。」も誤りで、災害補償は無過失責任に基づく制度です。重大な過失について行政官庁の認定を受けた場合に休業補償と障害補償を免れることはありますが、療養補償は行われます。
「障害補償は、障害の程度にかかわらず同額とされるものである。」も誤りです。障害補償の額は障害の程度に応じて定められており、一律ではありません。
問94-2

災害補償の額及び補償を受ける権利に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①遺族補償の額は、平均賃金の1000日分とされている。
  • ②葬祭を行う者に対する葬祭料は、平均賃金の60日分である。
  • ③補償を受ける権利は、退職によって変更されるとされる。
  • ④打切補償の額は、平均賃金の1200日分とされている。
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正解 ③補償を受ける権利は、退職によって変更されるとされる。
解説
災害補償の額は、いずれも平均賃金を基礎として日数で定められています。制度ごとに日数を覚えるだけでなく、なぜその重さなのかを合わせて理解しておくと混同しません。
労働者が業務上死亡した場合、使用者は遺族に対して平均賃金の1000日分の遺族補償を行い、葬祭を行う者に対して平均賃金の60日分の葬祭料を支払います。遺族補償が突出して大きいのは、一家の稼ぎ手を失った遺族の生活を長期にわたって支える必要があるためです。
また、療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷または疾病が治らない場合、使用者は平均賃金の1200日分の打切補償を行うことができ、これを支払えば以後この法律の規定による補償を行わなくてよいとされます。あわせて解雇制限も解除されます。
そして重要なのが権利の保護です。補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはありません。退職したから補償は打ち切りだ、という扱いは認められないということです。さらにこの権利は譲り渡すことも差し押さえることもできません。補償金が本人や遺族の手元に確実に残るようにするための規定です。したがって「退職によって変更される」という記述は誤りです。
(根拠:労働基準法第79条、第80条、第81条及び第83条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「遺族補償の額は、平均賃金の1000日分とされている。」は正しい記述で、業務上死亡した場合に遺族へ支払われる補償です。
「葬祭を行う者に対する葬祭料は、平均賃金の60日分である。」も正しく、遺族補償とは別に支払われます。
「打切補償の額は、平均賃金の1200日分とされている。」も正しく、療養開始後3年を経過しても治らない場合に行うことができる補償です。
問104-2

年次有給休暇に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①6か月継続勤務し8割以上出勤した者に、10労働日を与える。
  • ②使用者は、労働者が請求した時季を変更することができない。
  • ③年次有給休暇の付与日数は、勤続年数にかかわらず一定である。
  • ④業務上の負傷による療養の期間は、出勤しなかった日とする。
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正解 ①6か月継続勤務し8割以上出勤した者に、10労働日を与える。
解説
年次有給休暇は、賃金を減らされることなくまとまった休みを取れるようにして、心身の疲労を回復させ、ゆとりある生活を保障するための制度です。
付与の要件は二つで、雇入れの日から6か月間継続して勤務していること、そしてその期間の全労働日の8割以上出勤していることです。この二つを満たした労働者に、継続または分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません。その後は勤続年数に応じて日数が増えていき、6年6か月以上で20労働日が上限となります。長く勤めるほど心身の疲労が蓄積するという考え方に基づく仕組みです。
出勤率を計算するとき、業務上の負傷または疾病により療養のために休業した期間、育児休業や介護休業の期間、産前産後の休業期間は、出勤したものとみなされます。労災で休んだせいで有給休暇の権利を失うのでは、労働者の保護になりません。
取得の時季は労働者が指定しますが、その時季に休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合に限り、使用者は他の時季に変更することができます。これを時季変更権といい、単に忙しいという理由だけでは行使できません。
(根拠:労働基準法第39条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「使用者は、労働者が請求した時季を変更することができない。」は誤りです。事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時季に変更する時季変更権を行使できます。
「年次有給休暇の付与日数は、勤続年数にかかわらず一定である。」も誤りで、勤続年数に応じて日数が増加し、6年6か月以上で20労働日となります。
「業務上の負傷による療養の期間は、出勤しなかった日とする。」も誤りです。業務上の負傷による療養のための休業期間は、出勤率の算定において出勤したものとみなされます。

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