2026年版・4-12

港則法・海洋汚染等防止法の一問一答

1級土木施工管理技士「法規」から、港則法・海洋汚染等防止法に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-12

港則法上、特定港内で行う工事又は作業に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①特定港内で工事をしようとする者は、港長の許可を受ける。
  • ②特定港内で工事をしようとする者は、港長に届け出れば足りる。
  • ③特定港の境界附近での作業は、港則法の対象外とされる。
  • ④特定港内での作業は、海上保安庁長官の承認を受けて行う。
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正解 ①特定港内で工事をしようとする者は、港長の許可を受ける。
解説
港則法は、港内における船舶交通の安全と港内の整とんを図るための法律です。港は狭い水域に多数の船が集まる場所であり、そこに工事の作業船や仮設物が入れば、船の通り道そのものが変わってしまいます。そこで、港内の交通を一元的に把握し調整する役割を港長(海上保安庁の職員である港長)に与えています。
この考え方から、特定港内又は特定港の境界附近で工事又は作業をしようとする者は、港長の許可を受けなければならないとされています。届出ではなく許可である点が重要です。届出であれば出しさえすれば作業を始められますが、許可であれば港長が交通への影響を判断し、必要なら条件を付けたり認めなかったりできます。港内の安全を確保するには、事前に内容を審査できる仕組みが必要だという判断です。
なお特定港とは、喫水の深い船舶が入ることができる港又は外国船舶が常時出入りする港として政令で定めるものをいい、全国の主要な港が指定されています。護岸工事や浚渫、桟橋の築造など、水域に影響を及ぼす作業はこの許可の対象になります。
(根拠:港則法第31条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「特定港内で工事をしようとする者は、港長に届け出れば足りる。」は誤りです。求められるのは届出ではなく港長の許可であり、港長が可否を判断します。
「特定港の境界附近での作業は、港則法の対象外とされる。」も誤りです。条文は特定港内又は特定港の境界附近でと定めており、境界附近の作業も許可の対象です。
「特定港内での作業は、海上保安庁長官の承認を受けて行う。」も誤りです。許可を与えるのはその港を所管する港長であり、海上保安庁長官の承認という制度ではありません。
問24-12

港則法上、特定港における船舶の入出港及び停泊に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①特定港に入港する前に、市町村長の許可を受ける必要がある。
  • ②特定港内での停泊場所は、船舶が自由に選ぶことができる。
  • ③特定港に入港したときは、港長に届け出なければならない。
  • ④特定港から出港するときの届出は、不要である。
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正解 ③特定港に入港したときは、港長に届け出なければならない。
解説
港長が港内の交通を整理するためには、どの船がいつ入り、いつ出て、どこに停まっているかを常に把握している必要があります。そのための基本になるのが入出港の届出です。
船舶は、特定港に入港したとき、又は特定港を出港しようとするときは、国土交通省令の定めるところにより港長に届け出なければならないとされています。入港は「入港したとき」、出港は「出港しようとするとき」と書き分けられている点が特徴で、入港は事後、出港は事前の届出になります。入港は天候や航海の都合で時刻が動くため事前に確定させにくいのに対し、出港は自分の意思で決められるからです。
停泊についても自由ではありません。特定港内に停泊する船舶は、それぞれのトン数又は積載物の種類に従い、特定港内の一定の区域内に停泊しなければならず、国土交通省令で定める船舶はびょう地(停泊する場所)の指定を受けることとされています。大型船と小型船、危険物を積んだ船とそうでない船が入り混じって停泊すれば、いざというときに退避も消火もできなくなるためです。
(根拠:港則法第4条及び第5条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「特定港に入港する前に、市町村長の許可を受ける必要がある。」は誤りです。港則法上の手続の相手方は港長であり、市町村長の許可制度は存在しません。
「特定港内での停泊場所は、船舶が自由に選ぶことができる。」も誤りです。トン数や積載物の種類に応じた一定の区域内に停泊することとされ、指定を受ける船舶もあります。
「特定港から出港するときの届出は、不要である。」も誤りです。出港しようとするときも港長への届出が必要で、しかも出港前に行う必要があります。
問34-12

港則法上、航路における船舶の航法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①航路外から航路に入る船舶は、航路航行船の進路を避ける。
  • ②航路内で他の船舶と行き会うときは、左側を航行する。
  • ③航路内では、他の船舶と並列して航行してはならない。
  • ④航路内では、他の船舶を追い越してはならないとされる。
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正解 ②航路内で他の船舶と行き会うときは、左側を航行する。
解説
航路とは、港内で船舶が通行するために定められた道筋のことです。狭い水路に多くの船が集まるため、道路の交通ルールと同じように、優先関係と通行の方法があらかじめ決められています。
まず優先関係です。航路外から航路に入る船舶、又は航路から航路外に出る船舶は、航路を航行している他の船舶の進路を避けなければなりません。すでに航路を走っている船は速度も進路も変えにくいので、あとから入る側が譲るという考え方です。道路で言えば、本線を走る車が優先されるのと同じ理屈です。
次に通行の方法です。航路内では他の船舶と並列して航行してはならず、また他の船舶を追い越してはなりません。そして航路内で他の船舶と行き会うときは、右側を航行しなければならないとされています。左側ではありません。日本の海上交通のルールは右側通行が原則であり、これは海上衝突予防法の考え方とも一致しています。したがって「左側を航行する」という記述は誤りです。
これらはいずれも、狭い航路の中で船同士が近づきすぎる状況をつくらないための規定です。
(根拠:港則法第13条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「航路外から航路に入る船舶は、航路航行船の進路を避ける。」は正しい記述です。すでに航路を航行している船舶が優先されます。
「航路内では、他の船舶と並列して航行してはならない。」も正しい記述で、限られた幅の航路を塞がないための制限です。
「航路内では、他の船舶を追い越してはならないとされる。」も正しい記述です。追越しの際は進路を大きく振る必要があり、狭い航路では衝突の危険が高まるためです。
問44-12

港則法上、航路内における投びょう等の制限に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①航路内では、いかなる場合でも投びょうすることはできない。
  • ②航路内では、えい航している船舶を放つことができる。
  • ③航路内での投びょうは、船長の判断のみで行ってよい。
  • ④港長の許可を受けて工事に従事する場合は、投びょうできる。
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正解 ④港長の許可を受けて工事に従事する場合は、投びょうできる。
解説
航路の中で船が錨を下ろして停まってしまうと、そこが通行の障害になり、後続の船が避けきれずに衝突する危険が生じます。そのため港則法は、船舶は航路内において投びょうし、又はえい航している船舶を放してはならない、と定めています。えい航している船舶を放すというのは、引いていた台船などを切り離して漂わせることで、これも航路をふさぐ行為だからです。
ただし、この禁止には例外が置かれています。海難を避けようとするとき、運転の自由を失ったとき、人命又は急迫した危難のある船舶の救助に従事するとき、そして港長の許可を受けて工事又は作業に従事するときです。
最後の例外が港湾工事に直結します。浚渫船や起重機船は、作業中は錨で位置を保つのが普通であり、投びょうができなければ航路にかかる工事は成立しません。そこで、あらかじめ港長の許可を受け、港長が交通への影響を確認したうえでなら投びょうを認める、という組立てにしているのです。禁止を一律に貫くのではなく、事前の審査を条件に例外を認める点が、港則法の特徴です。
(根拠:港則法第12条及び第31条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「航路内では、いかなる場合でも投びょうすることはできない。」は誤りです。海難を避けるとき、運転の自由を失ったとき、人命の救助に従事するとき、港長の許可を受けて工事に従事するときは例外とされています。
「航路内では、えい航している船舶を放つことができる。」も誤りです。えい航している船舶を放す行為も投びょうと同様に禁止されています。
「航路内での投びょうは、船長の判断のみで行ってよい。」も誤りです。工事等のために投びょうするには港長の許可が必要で、船長限りの判断では行えません。
問54-12

港則法上、危険物を積載した船舶に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①特定港での危険物の積込みは、届出のみで行うことができる。
  • ②特定港に入港しようとするときは、港の境界外で港長の指揮を受ける。
  • ③特定港内では、港長の指定した場所でなければ停泊できない。
  • ④特定港での危険物の荷卸しは、港長の許可を受けて行う。
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正解 ①特定港での危険物の積込みは、届出のみで行うことができる。
解説
爆発物や引火性の高い液体を積んだ船は、いったん事故が起きれば港全体を巻き込む被害になります。そのため港則法は、危険物を積載した船舶について、入港・停泊・荷役という三つの場面それぞれに手続を課しています。
まず入港の場面では、危険物を積載した船舶は、特定港に入港しようとするときは、港の境界外で港長の指揮を受けなければなりません。港に入る前の段階で止め、どの経路でどこへ向かうかを港長が直接指示する仕組みです。
次に停泊の場面では、危険物を積載した船舶は、特定港においては港長の指定した場所でなければ停泊し、又は停留することができません。他の船や陸上の施設から十分な距離を確保するためです。
そして荷役の場面では、船舶は、特定港において危険物の積込、積替又は荷卸をするには、港長の許可を受けなければならないとされています。荷役中は危険物が動いている最中であり、最も事故が起きやすい状態だからです。したがって「届出のみで行うことができる」という記述は誤りで、正しくは港長の許可が必要です。
(根拠:港則法第20条、第21条及び第22条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「特定港に入港しようとするときは、港の境界外で港長の指揮を受ける。」は正しい記述です。港内に入れる前の段階で港長が直接指揮します。
「特定港内では、港長の指定した場所でなければ停泊できない。」も正しい記述で、他の船舶や陸上施設から距離を確保するための規定です。
「特定港での危険物の荷卸しは、港長の許可を受けて行う。」も正しい記述です。積込・積替・荷卸のいずれについても港長の許可が必要とされています。
問64-12

港則法上、港内における水路の保全に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①港内では、船舶の航行を妨げるおそれのある廃物は捨ててよい。
  • ②廃物投棄の制限は、港の境界の内側だけに及ぶものである。
  • ③港内ではみだりに廃油やごみなどの廃物を捨ててはならない。
  • ④ばら積みの石炭は、脱落を防ぐ措置を講じなくてもよい。
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正解 ③港内ではみだりに廃油やごみなどの廃物を捨ててはならない。
解説
港の水域は、単に汚さなければよいというものではなく、水深が確保されていて初めて船が通れる「道」でもあります。捨てられた土砂やがれきが堆積すれば水深が浅くなり、船底が海底に触れる事故につながります。港則法が水路の保全という考え方で廃物の投棄を禁じているのは、この理由によります。
具体的には、何人も、港内又は港の境界外1万メートル以内の水面においては、みだりに、バラスト、廃油、石炭から、ごみその他これに類する廃物を捨ててはならないとされています。禁止の範囲が港の境界の外まで1万メートル及んでいる点が重要です。港のすぐ外に捨てても、潮流によって港内へ運ばれ、結局は港の水深や航行の安全を損なうからです。
あわせて、石炭・石・れんがなど、ばら積みの物を積んだ船舶が港内で荷役をするときは、その物が水面に脱落しないよう措置を講じることが求められています。捨てるつもりがなくても、荷役中にこぼれ落ちれば結果は同じだからです。港湾工事で発生する土砂やがれきの海上運搬でも、この考え方がそのまま当てはまります。
(根拠:港則法第23条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「港内では、船舶の航行を妨げるおそれのある廃物は捨ててよい。」は誤りです。航行の妨げになるおそれのある廃物こそ、真っ先に投棄が禁じられる対象です。
「廃物投棄の制限は、港の境界の内側だけに及ぶものである。」も誤りです。禁止の範囲は港内だけでなく、港の境界外1万メートル以内の水面にも及びます。
「ばら積みの石炭は、脱落を防ぐ措置を講じなくてもよい。」も誤りです。ばら積みの物を港内で荷役するときは、水面への脱落を防ぐ措置を講じなければなりません。
問74-12

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律上、船舶からの油に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①船舶からの油の排出は、量が少なければ自由に行うことができる。
  • ②何人も、海域において船舶から油を排出してはならないとされる。
  • ③油記録簿は、最後の記載をした日から6か月間保存すればよい。
  • ④油記録簿は、船舶内ではなく事業所に備え付けるものとされる。
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正解 ②何人も、海域において船舶から油を排出してはならないとされる。
解説
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律は、船舶や海洋施設から油・有害液体物質・廃棄物が海に出ることを防ぎ、あわせて海上災害の発生に備えるための法律です。港湾・海岸の工事では作業船を多数使うため、この法律が直接関係します。
油については、何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない、という全面的な禁止から出発しています。量の多少で線を引いていないことが要点です。油はごくわずかでも水面に薄く広がって膜をつくり、酸素の供給を妨げて生物に影響を与えるうえ、いったん広がると回収が極めて困難だからです。例外として認められるのは、船舶の安全を確保し又は人命を救助するためやむを得ない場合や、船舶の損傷等により排出された場合などに限られます。
また、油を用いる船舶には油記録簿の備付けが義務づけられています。油の積込みや排出、廃油の処理といった作業を行うたびに記載し、最後の記載をした日から3年間、船舶内に保存しなければなりません。作業のたびに記録を残させることで、不適切な排出を抑止するとともに、事故が起きたときに経過をたどれるようにしています。
(根拠:海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第4条及び第8条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「船舶からの油の排出は、量が少なければ自由に行うことができる。」は誤りです。排出は原則として全面的に禁止されており、量が少ないことを理由とする例外はありません。
「油記録簿は、最後の記載をした日から6か月間保存すればよい。」も誤りです。保存期間は最後の記載をした日から3年間です。
「油記録簿は、船舶内ではなく事業所に備え付けるものとされる。」も誤りです。油記録簿は船舶内に備え付け、作業のつど記載することとされています。
問84-12

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律上、廃棄物の排出に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①船舶からの廃棄物の排出は、港の外であれば制限を受けない。
  • ②廃棄物の海洋投入処分の許可は、港長が与えるものである。
  • ③廃棄物の海洋投入処分は、届出をすれば自由に行うことができる。
  • ④廃棄物の海洋投入処分には、環境大臣の許可が必要である。
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正解 ④廃棄物の海洋投入処分には、環境大臣の許可が必要である。
解説
この法律は、油と同じ考え方で廃棄物についても、何人も、海域において、船舶から廃棄物を排出してはならない、と定めています。海はごみの捨て場ではないという原則を、まず全面禁止という形で示しているわけです。
そのうえで、限られた例外が置かれています。船舶の安全確保や人命救助のためやむを得ない場合、船舶の航行に伴って生じるふん尿や日常生活に伴うごみを一定の条件で排出する場合、そして廃棄物の海洋における投入処分の許可を受けた場合などです。
このうち工事に関係するのが海洋投入処分です。浚渫によって発生した土砂などを海洋へ投入して処分しようとする者は、環境大臣の許可を受けなければなりません。許可権者が港長でも国土交通大臣でもなく環境大臣である点が要点で、これは海洋環境の保全という観点から、投入する場所・量・方法が海域に与える影響を審査する仕組みだからです。許可を受けずに投入すれば、廃棄物の不法な排出として罰則の対象になります。
港湾工事では、浚渫土砂を埋立てに用いるのか、海洋投入とするのかで必要な手続がまったく変わるため、計画段階での確認が欠かせません。
(根拠:海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第10条及び第10条の6によります)

他の選択肢が不適切な理由
「船舶からの廃棄物の排出は、港の外であれば制限を受けない。」は誤りです。禁止は海域全体に及んでおり、港の内外で区別されていません。
「廃棄物の海洋投入処分の許可は、港長が与えるものである。」も誤りです。海洋投入処分の許可権者は環境大臣であり、港長ではありません。
「廃棄物の海洋投入処分は、届出をすれば自由に行うことができる。」も誤りです。届出ではなく許可制であり、許可を受けずに投入することはできません。
問94-12

港湾工事に伴う港則法上の手続に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①特定港の境界附近で行う作業は、港長の許可を要しない。
  • ②特定港内で浚渫工事を行う者は、港長の許可を受ける。
  • ③特定港内で船舶を修繕する場合も、港長への届出は不要である。
  • ④特定港内での工事の許可は、着手後に受ければ足りる。
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正解 ②特定港内で浚渫工事を行う者は、港長の許可を受ける。
解説
港湾工事を計画するときは、工事そのものの手続と、工事に使う船舶についての手続の両方を押さえておく必要があります。港則法はその両面を定めています。
工事については、特定港内又は特定港の境界附近で工事又は作業をしようとする者は、港長の許可を受けなければなりません。浚渫、護岸の築造、桟橋の設置などがこれにあたります。ここで大切なのは「しようとする者」と書かれていること、すなわち着手する前に許可を得ておく必要があるという点です。工事を始めてから許可を求めるのでは、審査によって船舶交通の安全を確保するという制度の目的を果たせません。また、境界附近の作業も条文に明記されており、港の外だからという理由で許可が不要になることはありません。
船舶については、特定港内で汽艇等以外の船舶を修繕し、又はけい船しようとする者は、その旨を港長に届け出なければならないとされています。修繕中の船は自力で動けず、緊急時に退避できないため、その所在を港長が把握しておく必要があるからです。工事用の作業船を港内で整備する場合にも関係してきます。
(根拠:港則法第31条及び第7条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「特定港の境界附近で行う作業は、港長の許可を要しない。」は誤りです。条文は特定港内又は特定港の境界附近でと定めており、境界附近の作業も許可の対象です。
「特定港内で船舶を修繕する場合も、港長への届出は不要である。」も誤りです。汽艇等以外の船舶を修繕し、又はけい船しようとするときは港長への届出が必要です。
「特定港内での工事の許可は、着手後に受ければ足りる。」も誤りです。許可は工事をしようとするとき、すなわち着手前に受けなければなりません。
問104-12

海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律上、船舶から油が排出された場合の措置として、適当なものはどれか。

  • ①船長は、防除の措置をとらずに帰港してから報告すればよい。
  • ②油の排出があっても、通報の義務は課されていない。
  • ③船長は、直ちに応急の措置を講じ、海上保安庁へ通報する。
  • ④排出された油の防除は、海上保安庁のみが行うものである。
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正解 ③船長は、直ちに応急の措置を講じ、海上保安庁へ通報する。
解説
油が海に流れ出たときに被害を左右するのは、対応の速さです。油は水面に薄く広がる性質があり、時間が経つほど面積が広がって回収が難しくなります。逆に、排出直後にオイルフェンスで囲い込めれば、被害を狭い範囲に封じ込められます。
この性質から、法律は排出した側に即時の行動を義務づけています。船舶から油が排出された場合、その船舶の船長は、直ちに排出された油の広がりの防止や引き続く排出の防止といった応急の措置を講じるとともに、その旨を最寄りの海上保安機関へ通報しなければなりません。措置と通報の両方が必要であり、どちらか一方では足りません。通報が必要なのは、一隻の船の手持ちの資機材では対応しきれない場合に、防除の体制を速やかに立ち上げる必要があるからです。
防除の作業は、原因者である船舶所有者等が行うのが原則で、海上保安庁だけが担うものではありません。海上災害防止センターが防除措置を行い、その費用を原因者が負担する仕組みも設けられています。港湾・海岸の工事で作業船から燃料油が漏れた場合も、同じ考え方で対応することになります。
(根拠:海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第38条及び第39条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「船長は、防除の措置をとらずに帰港してから報告すればよい。」は誤りです。船長には直ちに応急の措置を講じる義務があり、後回しにすることはできません。
「油の排出があっても、通報の義務は課されていない。」も誤りです。応急の措置に加えて、最寄りの海上保安機関への通報が義務づけられています。
「排出された油の防除は、海上保安庁のみが行うものである。」も誤りです。防除は原因者である船舶所有者等が行うのが原則で、費用も原因者の負担とされています。

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