2026年版・4-1

労働基準法(労働契約・賃金)の一問一答

1級土木施工管理技士「法規」から、労働基準法(労働契約・賃金)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-1

労働契約の期間に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①土木工事の完成に必要な期間を定める契約は、3年を超えてもよい。
  • ②期間の定めのある労働契約は、いかなる場合も1年を超えられない。
  • ③満60歳以上の労働者との契約も、上限は一律3年に限られる。
  • ④高度の専門的知識等を有する労働者との契約は、上限が2年である。
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正解 ①土木工事の完成に必要な期間を定める契約は、3年を超えてもよい。
解説
労働契約の期間に上限が設けられているのは、労働者が長期間ひとつの職場に縛りつけられ、辞めたくても辞められない状態になるのを防ぐためです。人身拘束を避けるという考え方が根底にあります。
労働基準法は、期間の定めのない契約を除き、原則として3年を超える期間の契約を締結してはならないと定めています。ただしこの原則には、条文の中に明記された重要な例外があります。それが「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」です。ダムやトンネル、橋梁のように完成までに何年もかかる建設工事では、その工事が終わるまでという期間を定めた契約を結ぶことができ、この場合は3年を超えても差し支えありません。工事の完了という明確な終わりが定まっているため、際限なく拘束されるおそれがないからです。
また、専門的な知識・技術・経験であって高度のものを有する労働者との契約、および満60歳以上の労働者との契約は、上限が5年となります。転職しやすい立場にある人には、より長い契約を認めても不当な拘束にならないという趣旨です。
(根拠:労働基準法第14条第1項によります)

他の選択肢が不適切な理由
「期間の定めのある労働契約は、いかなる場合も1年を超えられない。」は誤りです。原則の上限は1年ではなく3年であり、さらに一定の事業の完了に必要な期間を定める場合や上限5年の例外もあります。
「満60歳以上の労働者との契約も、上限は一律3年に限られる。」も誤りで、満60歳以上の労働者との契約の上限は5年です。
「高度の専門的知識等を有する労働者との契約は、上限が2年である。」も誤りで、この場合も上限は5年であり、原則の3年より短くなることはありません。
問24-1

労働条件の明示に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①使用者は、契約の締結に際し労働条件を明示しなければならない。
  • ②明示された条件が事実と相違する場合、労働者は即時に解除できる。
  • ③契約解除により帰郷する労働者の旅費は、労働者が負担する。
  • ④賃金や労働時間に関する事項は、書面の交付により明示する。
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正解 ③契約解除により帰郷する労働者の旅費は、労働者が負担する。
解説
労働条件の明示義務は、「入ってみたら聞いていた話と違った」という事態から労働者を守るための仕組みです。建設業では、遠方の現場に住み込みで就労するために転居してくる労働者もいるため、この規定は実務上の意味が大きくなります。
使用者は、労働契約を結ぶときに賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならず、賃金・労働時間など重要な事項については原則として書面の交付によって明示する必要があります。口約束で済ませてはいけないということです。
そして、明示された労働条件が事実と相違していた場合、労働者はただちに労働契約を解除できます。ここで問題になるのが、就業のためにわざわざ住居を移してきた労働者です。話が違うからと契約を解除しても、帰る旅費がなければ現地に取り残されてしまいます。そこで法は、その労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者が必要な旅費を負担しなければならないと定めています。責任は虚偽の条件を示した使用者側にあるという考え方です。したがって「労働者が負担する」という記述は誤りです。
(根拠:労働基準法第15条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「使用者は、契約の締結に際し労働条件を明示しなければならない。」は正しい記述で、明示義務は契約の締結時に生じます。
「明示された条件が事実と相違する場合、労働者は即時に解除できる。」も正しく、予告期間を置かずにただちに契約を解除することが認められています。
「賃金や労働時間に関する事項は、書面の交付により明示する。」も正しく、重要な事項については書面の交付による明示が原則とされています。
問34-1

賃金の支払に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①賃金は、原則として労働者の親権者に支払わなければならない。
  • ②賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う必要がある。
  • ③賃金は、労働者の同意がなくても現物で支給することができる。
  • ④賃金は、使用者の一方的な判断で全額を貯蓄金に充てられる。
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正解 ②賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う必要がある。
解説
賃金は労働者の生活そのものを支えるお金なので、確実に、全額が、本人の手元へ、定期的に届く必要があります。この考え方を条文にしたものが賃金支払の五原則です。すなわち、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う、という五つです。
このうち「毎月1回以上、一定の期日を定めて」という二つは、支払時期に関する原則です。毎月1回以上としたのは、支払間隔が空きすぎると生活が成り立たなくなるためであり、一定の期日を定めるとしたのは、支払日がその月ごとに動くと労働者が生活の計画を立てられなくなるためです。したがって「毎月第4金曜日」のように日が動く定め方は認められず、毎月25日のように暦日で特定する必要があります。
残る三つのうち、通貨払いの原則は、価値が不安定で換金の手間もかかる現物支給を防ぐためのもので、法令もしくは労働協約に別段の定めがある場合と、労働者の同意を得た口座への振込みなど厚生労働省令で定める方法による場合に限って例外が認められます。直接払いの原則は、親権者や代理人による賃金の横取りを防ぐためのものです。
(根拠:労働基準法第24条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「賃金は、原則として労働者の親権者に支払わなければならない。」は誤りです。賃金は直接労働者本人に支払わなければならず、未成年者であっても親権者が代わって受け取ることは禁じられています。
「賃金は、労働者の同意がなくても現物で支給することができる。」も誤りで、通貨払いが原則であり、現物支給は法令または労働協約に別段の定めがある場合に限られます。
「賃金は、使用者の一方的な判断で全額を貯蓄金に充てられる。」も誤りです。全額払いの原則に反するうえ、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせることや貯蓄金を管理する契約をすることも禁止されています。
問44-1

解雇の予告に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①解雇しようとする場合は、少なくとも30日前に予告を行う。
  • ②予告に代えて、30日分以上の平均賃金を支払うこともできる。
  • ③試の使用期間中の者は、14日を超えても予告は不要である。
  • ④予告日数は、平均賃金を支払った日数だけ短縮することができる。
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正解 ③試の使用期間中の者は、14日を超えても予告は不要である。
解説
解雇の予告制度は、突然職を失った労働者が次の仕事を探すまでの時間か、その間の生活費のどちらかを確保できるようにするための仕組みです。だからこそ「30日前の予告」と「30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払」が同じ価値のものとして扱われ、日数と金額を組み合わせることもできます。たとえば10日分の平均賃金を支払えば、予告は20日前で足ります。
この予告制度には適用が除外される労働者がいます。日日雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、そして試の使用期間中の者です。もともと短期間で終わることが予定されている働き方なので、予告になじまないという理由です。
ただし、この除外は無条件ではありません。試の使用期間中の者については、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合には除外の対象から外れ、通常どおり解雇予告が必要になります。試用という名目で予告なしの解雇を続けられないようにするための歯止めです。したがって「14日を超えても予告は不要」という記述は誤りです。
(根拠:労働基準法第20条及び第21条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「解雇しようとする場合は、少なくとも30日前に予告を行う。」は正しい記述で、これが解雇予告の原則です。
「予告に代えて、30日分以上の平均賃金を支払うこともできる。」も正しく、予告手当を支払えば即時に解雇することができます。
「予告日数は、平均賃金を支払った日数だけ短縮することができる。」も正しく、支払った日数分だけ予告期間を短くする組合せが認められています。
問54-1

休業手当に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①使用者の責に帰すべき休業では、平均賃金の60%以上を支払う。
  • ②天災事変による休業についても、平均賃金の60%以上を支払う。
  • ③休業手当は、賃金には当たらないため通貨で支払う必要はない。
  • ④休業手当の額は、労使の協定があれば0にすることができる。
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正解 ①使用者の責に帰すべき休業では、平均賃金の60%以上を支払う。
解説
休業手当は、働く意思も能力もあるのに使用者側の事情で働けなかった労働者の生活を守るための制度です。使用者の責に帰すべき事由によって休業させた場合、使用者はその休業期間中、労働者に平均賃金の60%以上の手当を支払わなければなりません。
建設業では、資材の手配漏れによる作業中止、元請の都合による工程の中断、機械の整備不良による停止などがこれに当たります。一方、台風や地震といった天災事変のように、使用者の力ではどうにもならない不可抗力による休業は「使用者の責に帰すべき事由」に当たらないため、休業手当の支払義務は生じません。ここが最も出題されやすい分かれ目です。
60%という水準は、生活を維持するための最低限として法が定めたものであり、これを下回る取扱いは労使が合意しても認められません。労働基準法は労働条件の最低基準を定める法律であり、これに達しない定めをした契約や協定はその部分について無効となるからです。
なお、休業手当は賃金として扱われるため、賃金支払の五原則がそのまま適用され、通貨で直接労働者に全額を支払う必要があります。
(根拠:労働基準法第26条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「天災事変による休業についても、平均賃金の60%以上を支払う。」は誤りです。不可抗力による休業は使用者の責に帰すべき事由に当たらず、休業手当の支払義務は生じません。
「休業手当は、賃金には当たらないため通貨で支払う必要はない。」も誤りで、休業手当は賃金に当たるため、通貨払い・直接払い・全額払いの原則が適用されます。
「休業手当の額は、労使の協定があれば0にすることができる。」も誤りです。労働基準法の基準に達しない労働条件を定めた協定はその部分が無効となり、法の基準が適用されます。
問64-1

労働契約に伴う金銭の取扱いに関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①労働契約の不履行について、違約金を定めることはできない。
  • ②前借金と賃金を相殺することは、法律上禁止されている。
  • ③労働契約に付随して、貯蓄の契約をさせることはできない。
  • ④実際に生じた損害について、賠償を請求することもできない。
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正解 ④実際に生じた損害について、賠償を請求することもできない。
解説
労働基準法は、労働者が借金や違約金を理由に職場へ縛りつけられる、いわゆる足止め策を封じるための規定をいくつも置いています。ここで押さえたいのは、禁止されているのが「あらかじめ金額を決めておくこと」であって、損害賠償という制度そのものではないという点です。
賠償予定の禁止は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額をあらかじめ決めておくことを禁じるものです。実際にいくらの損害が出たかにかかわらず一定額を取られるとなると、労働者は恐れて辞められなくなるからです。しかし、労働者が故意または重大な過失によって現実に使用者へ損害を与えた場合に、その実際に生じた損害について民法の一般原則に基づき賠償を請求することまで禁じられているわけではありません。したがって「実際に生じた損害について、賠償を請求することもできない」という記述は誤りです。
あわせて、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺することも禁止されています。借金を賃金から天引きされ続ければ、返し終わるまで辞められないからです。強制貯金の禁止も同じ発想で、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせたり貯蓄金を管理する契約をさせたりすることが禁じられています。
(根拠:労働基準法第16条、第17条及び第18条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「労働契約の不履行について、違約金を定めることはできない。」は正しい記述で、賠償予定の禁止に当たります。
「前借金と賃金を相殺することは、法律上禁止されている。」も正しく、前借金相殺の禁止として明文で定められています。
「労働契約に付随して、貯蓄の契約をさせることはできない。」も正しく、強制貯金の禁止として定められています。
問74-1

労働者の退職に伴う金品の返還及び証明に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①権利者の請求があっても、次の給与日まで支払わなくてよい。
  • ②権利者の請求があった場合、7日以内に賃金を支払う。
  • ③退職時の証明書には、請求しない事項も必ず記載する。
  • ④退職者が請求できる証明の事項は、使用期間に限られる。
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正解 ②権利者の請求があった場合、7日以内に賃金を支払う。
解説
労働者が退職したり亡くなったりしたとき、未払賃金や積立金がいつまでも会社に留め置かれると、本人や遺族の生活に直結します。そこで労働基準法は、権利者から請求があった場合、使用者は7日以内に賃金を支払い、あわせて積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず労働者の権利に属する金品を返還しなければならないと定めています。通常の賃金支払日を待つ必要はありません。ここでいう権利者とは、退職した本人のほか、死亡の場合はその相続人を指します。
もうひとつ重要なのが退職時の証明です。労働者が退職に際して、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由(解雇の場合はその理由)について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません。証明できる事項が使用期間だけに限られるわけではありません。
そして、この証明書には労働者が請求しない事項を記入してはならないと定められています。たとえば労働者が使用期間だけの証明を求めているのに、勝手に解雇の理由や労働組合の活動歴を書き加えると、それが再就職の妨げになりかねないからです。証明書は労働者を守るための書類であって、労働者に不利益を与える道具にしてはならないという趣旨です。
(根拠:労働基準法第22条及び第23条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「権利者の請求があっても、次の給与日まで支払わなくてよい。」は誤りです。請求があった場合は7日以内に支払わなければならず、通常の賃金支払日まで待つことは認められません。
「退職時の証明書には、請求しない事項も必ず記載する。」も誤りで、労働者が請求しない事項を記入してはならないと定められています。
「退職者が請求できる証明の事項は、使用期間に限られる。」も誤りです。業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由についても請求することができます。
問84-1

解雇の制限に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①業務上の負傷で休業する期間とその後30日は解雇できない。
  • ②産前産後の休業期間とその後30日間も、解雇が制限される。
  • ③打切補償を支払った場合は、解雇制限が解除される。
  • ④通勤途上の負傷による休業も、解雇制限の対象に含まれる。
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正解 ④通勤途上の負傷による休業も、解雇制限の対象に含まれる。
解説
解雇制限は、労働者が最も弱い立場にある時期に職を失わないよう守るための規定です。守られるのは二つの場面で、ひとつは業務上の負傷または疾病の療養のために休業する期間とその後30日間、もうひとつは産前産後の女性が休業する期間とその後30日間です。療養や出産が明けた直後に放り出されないよう、復帰後30日間の猶予を置いているところがこの制度の要点です。
ここで注意すべきなのが「業務上」という限定です。解雇制限の対象になるのは、仕事が原因で負ったけがや病気であり、通勤の途中で起きた事故によるけが(通勤災害)は業務上の負傷には当たりません。通勤災害は労働者災害補償保険法による給付の対象にはなりますが、労働基準法の災害補償の対象ではなく、この解雇制限も及びません。したがって「通勤途上の負傷による休業も、解雇制限の対象に含まれる」という記述は誤りです。
なお解雇制限にも例外があり、療養開始後3年を経過しても負傷や疾病が治らない場合に使用者が打切補償を支払ったとき、および天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、制限が解かれます。ただし後者については行政官庁の認定を受ける必要があります。
(根拠:労働基準法第19条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「業務上の負傷で休業する期間とその後30日は解雇できない。」は正しい記述で、解雇制限の基本となる場面です。
「産前産後の休業期間とその後30日間も、解雇が制限される。」も正しく、業務上の負傷と並ぶもうひとつの解雇制限の場面です。
「打切補償を支払った場合は、解雇制限が解除される。」も正しく、療養開始後3年を経過しても治らない場合の例外として認められています。
問94-1

平均賃金に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

  • ①算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を労働日数で除する。
  • ②臨時に支払われた賃金も、賃金の総額に算入して計算する。
  • ③算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を総日数で除する。
  • ④賃金締切日がある場合も、事由発生日から遡って計算する。
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正解 ③算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を総日数で除する。
解説
平均賃金は、解雇予告手当、休業手当、災害補償、年次有給休暇中の賃金など、労働基準法の各種手当や補償を計算するときの共通のものさしです。ひとつの基準を決めておけば、制度ごとに計算方法がばらばらになるのを防げます。
その計算は、算定すべき事由が発生した日以前3か月間にその労働者へ支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割って求めます。ここでいう総日数は、実際に働いた日数ではなく暦の上での日数です。労働日数で割ると1日あたりの単価に近い高い金額になってしまい、休業手当のように暦日に対して支払われる給付の基礎としては過大になります。平均賃金が「その労働者の1日あたりの生活水準」を表す値であることを考えると、暦日で割るという扱いが理解しやすくなります。
賃金の総額からは、臨時に支払われた賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)が除かれます。たまたま算定期間に賞与が入ったかどうかで金額が大きく変わってしまい、平均としての意味を失うからです。また、賃金締切日が定められている場合は、直前の賃金締切日から遡って3か月を数えます。
(根拠:労働基準法第12条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を労働日数で除する。」は誤りです。除するのは労働日数ではなく期間の総日数(暦日数)です。
「臨時に支払われた賃金も、賃金の総額に算入して計算する。」も誤りで、臨時に支払われた賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は総額から除かれます。
「賃金締切日がある場合も、事由発生日から遡って計算する。」も誤りです。賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日から起算して3か月間をとります。
問104-1

就業規則に関する次の記述のうち、労働基準法上、誤っているものはどれか。

  • ①常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成する。
  • ②就業規則の作成に当たっては、労働者の過半数代表者の意見を聴く。
  • ③就業規則は、法令や労働協約に反してはならないものである。
  • ④就業規則は、労働者代表に交付しておけば周知したことになる。
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正解 ④就業規則は、労働者代表に交付しておけば周知したことになる。
解説
就業規則は、その事業場で働く人全員に共通して適用される職場のルールブックです。労働時間、賃金、退職に関する事項などを定め、労働条件を明確にして無用の争いを防ぐ役割を持ちます。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければなりません。作成や変更にあたっては、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴き、その意見を記した書面を添付します。意見を聴くことが義務であって、同意を得ることまでは求められていない点が特徴です。
そして最も実務上重要なのが周知義務です。就業規則は、常時各作業場の見やすい場所に掲示または備え付ける、書面を労働者に交付する、あるいは労働者がいつでも確認できるように電子的な方法で提供するなどの方法によって、労働者に周知させなければなりません。ルールブックは全員が読める状態にあって初めて意味を持つからです。労働者代表に一部を渡しただけでは、他の労働者が内容を知る手段がないため周知したことになりません。したがってこの記述が誤りです。
(根拠:労働基準法第89条、第90条、第92条及び第106条によります)

他の選択肢が不適切な理由
「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成する。」は正しい記述で、作成と行政官庁への届出が義務づけられています。
「就業規則の作成に当たっては、労働者の過半数代表者の意見を聴く。」も正しく、過半数組合または過半数代表者の意見を聴いた書面を添付して届け出ます。
「就業規則は、法令や労働協約に反してはならないものである。」も正しく、法令または労働協約に反する就業規則については、行政官庁が変更を命ずることができます。

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