2026年版・3-6

砂防えん堤の構造と施工の一問一答

1級土木施工管理技士「専門土木」から、砂防えん堤の構造と施工に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-6

砂防えん堤の目的に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①渓床の縦侵食を防いで、渓床の安定を図ることを目的とする。
  • ②山脚を固定して、渓岸の崩壊を防ぐことを目的とする。
  • ③下流へ流れる土砂を、完全に捕捉することを目的とする。
  • ④土砂の流出を調節して、下流への流出量を減らす目的がある。
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正解 ③下流へ流れる土砂を、完全に捕捉することを目的とする。
解説
砂防えん堤は、渓流を流れ下る土砂を相手にする構造物ですが、その役割は土砂をすべて止めることではありません。
まず、えん堤ができると上流側に土砂がたまり、渓床が上がって安定します。これにより、流水が渓床を掘り下げる縦侵食(下刻)が止まります。渓床が下がらなくなると、両岸の斜面の足元(山脚)が固定され、渓岸の崩壊も抑えられます。この二つが、砂防えん堤の基本的な働きです。
もう一つの役割が、土砂の流出を調節することです。ここが重要な考え方で、土砂は本来、川をつくり、河床や海岸を維持するために必要なものです。すべてを止めてしまえば下流の河床が下がり、海岸が侵食されるといった別の問題が起こります。そこで砂防えん堤は、一度に大量の土砂が流れ出すのを抑え、時間をかけて少しずつ流していくという調節を担います。
したがって、完全に捕捉することを目的とするという記述は、砂防計画の考え方に反しており誤りです。
(根拠:砂防えん堤の目的に関する一般的な計画・設計の考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「渓床の縦侵食を防いで、渓床の安定を図ることを目的とする。」は正しく、砂防えん堤の基本的な役割の一つです。
「山脚を固定して、渓岸の崩壊を防ぐことを目的とする。」も正しく、渓床が安定することで斜面の足元が守られます。
「土砂の流出を調節して、下流への流出量を減らす目的がある。」も正しく、一度に流出する土砂量を抑える働きを表しています。
問23-6

砂防えん堤の水通しに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①水通しの断面は、原則として逆台形の形状とするものである。
  • ②水通しは、原則として渓流の片側に寄せて設けるものである。
  • ③水通しの断面は、原則として長方形の形状とするものである。
  • ④水通しの位置は、袖の天端と同じ高さに設けるものである。
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正解 ①水通しの断面は、原則として逆台形の形状とするものである。
解説
水通しは、砂防えん堤の天端の中央部に設ける切欠きで、平常時も洪水時も水と土砂をここから越流させるための部分です。
その断面形状は、原則として逆台形(下辺が短く、上に向かって広がる台形)とします。この形にはよく考えられた理由があります。まず、水量が少ない平常時には、狭い底の部分に流れが集まるため水深が確保され、流れが左右に散らばらず、水通しの中央を安定して流れます。一方、洪水になって水量が増えると、上に向かって広がっている分だけ断面積が急速に増えるので、大量の水と土砂を効率よく流下させられます。少ない水も多い水も、一つの形で無理なく扱えるわけです。
位置は原則として渓流の中央部とし、上下流の流心(流れの中心)とできるだけそろえます。片側に寄せると、越流した水が下流で偏って流れ、対岸や袖の付け根を洗掘するおそれがあるためです。
また、洪水は袖からは越流させず水通しだけを流すのが原則なので、袖の天端は水通しより高くします。
(根拠:砂防えん堤の構造に関する一般的な設計の考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「水通しは、原則として渓流の片側に寄せて設けるものである。」は誤りで、原則は渓流の中央部に設けます。
「水通しの断面は、原則として長方形の形状とするものである。」も誤りで、標準は逆台形です。
「水通しの位置は、袖の天端と同じ高さに設けるものである。」も誤りで、袖は水通しより高くして越流させない構造とします。
問33-6

砂防えん堤の袖に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①袖の天端は、両岸に向かって下り勾配とするのが原則である。
  • ②袖は、洪水を越流させることを前提として設計するものである。
  • ③袖は、両岸に嵌入させずに接するだけでよいものとする。
  • ④袖の天端は、両岸に向かって上り勾配とするのが原則である。
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正解 ④袖の天端は、両岸に向かって上り勾配とするのが原則である。
解説
袖とは、水通しの両側にあるえん堤の肩の部分です。ここを流れが越えてしまうと、袖と山の取付部が削られてえん堤が両側から破壊されるため、袖からは絶対に越流させないというのが設計の大原則です。
そのために、袖の天端は両岸に向かって上り勾配とします。中央の水通しから外側へ行くほど高くなる形にしておけば、水位が上がっても水は最も低い水通しへ集まり、袖を越えることがありません。仮に下り勾配にすると、外側ほど低くなるため、増水時に真っ先に袖から水があふれ、最も弱い山との取付部を襲うことになります。勾配の向きひとつでえん堤の生死が分かれる、と考えると覚えやすくなります。
また、袖は両岸の地山へしっかり食い込ませる(嵌入させる)必要があります。単に接しているだけでは、その境目から水がしみ込んだり削られたりして、えん堤の背後を回り込む流れができてしまいます。嵌入の深さは地質に応じて定め、堅固な岩盤か砂礫層かによって必要な深さが変わります。
(根拠:砂防えん堤の構造に関する一般的な設計の考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「袖の天端は、両岸に向かって下り勾配とするのが原則である。」は勾配の向きが逆で、袖からの越流を招きます。
「袖は、洪水を越流させることを前提として設計するものである。」も誤りで、洪水は水通しから流下させるのが原則です。
「袖は、両岸に嵌入させずに接するだけでよいものとする。」も誤りで、地山へ十分に嵌入させる必要があります。
問43-6

砂防えん堤の基礎の根入れに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①岩盤における根入れは、0.5m以上を標準としている。
  • ②岩盤における根入れは、1m以上を標準としている。
  • ③砂礫基礎における根入れは、1m以上を標準としている。
  • ④根入れは、基礎が岩盤である場合には不要である。
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正解 ②岩盤における根入れは、1m以上を標準としている。
解説
根入れとは、えん堤の底面を地表面より下へ埋め込む深さのことです。砂防えん堤は越流を前提とした構造物なので、越流した水と土砂によって下流側の渓床が削られます。もし根入れが浅いと、削られた渓床が堤体の底面より下まで達し、えん堤が前へ倒れる、あるいは滑るという事態になりかねません。
そこで、基礎が堅固な岩盤の場合は1m以上、砂礫基礎の場合は2m以上を標準として根入れします。岩盤より砂礫基礎のほうが深いのは、砂礫は流水で洗い流されやすく、支持力も岩盤ほど期待できないためです。地盤が弱いほど深く埋める、という素直な考え方で理解できます。
なお、砂防えん堤は本来、強固な岩盤の上に設けるのが理想ですが、渓流の条件によってはやむを得ず砂礫層の上に築くこともあります。その場合は、根入れを深くすることに加え、前庭保護工を十分に設けて基礎前面の洗掘を防ぎます。基礎が岩盤であれば根入れが不要になるということはありません。
(根拠:砂防えん堤の構造に関する一般的な設計の考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「岩盤における根入れは、0.5m以上を標準としている。」は誤りで、岩盤の場合の標準は1m以上です。
「砂礫基礎における根入れは、1m以上を標準としている。」も誤りで、砂礫基礎では2m以上を標準とします。
「根入れは、基礎が岩盤である場合には不要である。」も誤りで、岩盤であっても所定の根入れが必要です。
問53-6

砂防えん堤の前庭保護工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①前庭保護工は、えん堤の上流側の堆砂を促すための工である。
  • ②水叩きは、えん堤の袖の上に設けて越流を防ぐ工である。
  • ③越流した水による下流側の洗掘を防ぐために設ける工である。
  • ④副えん堤は、本えん堤の上流側に設ける小規模なえん堤である。
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正解 ③越流した水による下流側の洗掘を防ぐために設ける工である。
解説
砂防えん堤は水通しから水を越流させる構造なので、落ちてきた水は大きなエネルギーをもって下流の渓床にぶつかります。そのままでは渓床が深く掘られ、その穴がえん堤の足元まで広がって基礎が浮き、本体の破壊につながります。この落下してくる水のエネルギーを受け止め、下流側の洗掘を防ぐために設ける一連の構造物が前庭保護工です。
前庭保護工は、いくつかの工の組合せでできています。水叩きは、本えん堤の直下流の渓床をコンクリートなどで覆い、落下水があたる面を保護します。副えん堤は、本えん堤の下流側に設ける小規模なえん堤で、本えん堤との間に水をため(水褥池)、落下水の勢いをその水のクッションで和らげます。側壁護岸は、越流水が左右の渓岸を削るのを防ぎます。
これらはすべて「えん堤の下流側」を守るための工であり、上流側の堆砂を促すためのものではありません。副えん堤の位置が下流側である点も、よく問われるところです。
(根拠:砂防えん堤の構造に関する一般的な設計の考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「前庭保護工は、えん堤の上流側の堆砂を促すための工である。」は誤りで、前庭保護工は下流側の洗掘防止のための工です。
「水叩きは、えん堤の袖の上に設けて越流を防ぐ工である。」も誤りで、水叩きは本えん堤の直下流の渓床に設けます。
「副えん堤は、本えん堤の上流側に設ける小規模なえん堤である。」も誤りで、副えん堤は本えん堤の下流側に設けます。
問63-6

砂防えん堤の水抜き(水抜き暗渠)に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①堆砂が完了したあとに、新たに設けるのが原則である。
  • ②施工中の流水の切替えや、堆砂後の水圧の軽減に用いる。
  • ③えん堤の袖に設けて、洪水を安全に越流させる工である。
  • ④水通しの上部に設けて、流木を捕捉するための工である。
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正解 ②施工中の流水の切替えや、堆砂後の水圧の軽減に用いる。
解説
水抜きは、えん堤の堤体を貫通させて設ける穴で、いくつもの役割を兼ねています。
第一に、施工中の役割です。渓流には常に水が流れているため、そのままではコンクリートを打つ場所に水が入り込みます。堤体の下部に水抜きを設けておけば、平常時の流水をここから下流へ通しながら上部の施工を進められます。仮締切や転流の手間を減らせる、実務的に重要な機能です。
第二に、完成後の役割です。えん堤の上流側に土砂がたまると、その土砂に含まれる水が堤体の背面に水圧として作用します。水抜きがあればこの水を抜くことができ、堤体に作用する力を小さくできます。あわせて、たまった土砂の含水量が減るため、堆砂そのものも安定します。
このように水抜きは施工中から必要なものであり、堆砂が完了したあとに新たに設けるものではありません。また、洪水を越流させるのは水通しの役目であり、水抜きの役目ではありません。
(根拠:砂防えん堤の構造に関する一般的な設計・施工の考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「堆砂が完了したあとに、新たに設けるのが原則である。」は誤りで、施工中の流水処理のために当初から設けます。
「えん堤の袖に設けて、洪水を安全に越流させる工である。」も誤りで、洪水を流下させるのは水通しです。
「水通しの上部に設けて、流木を捕捉するための工である。」も誤りで、流木の捕捉には別途、流木捕捉工などを設けます。
問73-6

砂防えん堤を施工する場合の一般的な順序として、適当なものはどれか。

  • ①本えん堤基礎部 → 水叩き → 副えん堤 → 側壁護岸 → 本えん堤上部
  • ②副えん堤 → 本えん堤基礎部 → 本えん堤上部 → 側壁護岸 → 水叩き
  • ③本えん堤上部 → 本えん堤基礎部 → 副えん堤 → 側壁護岸 → 水叩き
  • ④本えん堤基礎部 → 副えん堤 → 側壁護岸 → 水叩き → 本えん堤上部
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正解 ④本えん堤基礎部 → 副えん堤 → 側壁護岸 → 水叩き → 本えん堤上部
解説
砂防えん堤の施工順序は、丸暗記するよりも理由から考えたほうが確実です。原則は、本えん堤の基礎部から着手し、次に前庭保護工を仕上げ、最後に本えん堤の上部を立ち上げるという流れです。
最初に本えん堤の基礎部を施工するのは、渓流の中で最も条件が悪く、湧水や出水の影響を受けやすい部分だからです。ここを早い時期に確実に仕上げておく必要があります。
次に、下流側の前庭保護工に取りかかります。副えん堤を先に施工し、続いてその間の側壁護岸、最後に水叩きという順です。副えん堤を先につくるのは、副えん堤が水叩きの下流端を支える役割をもつためで、後からでは水叩きの端部を落ち着かせられません。側壁護岸を水叩きより先にするのも、側壁が水叩きの側縁を受け止める関係にあるからです。
そして最後に、本えん堤の上部を立ち上げます。上部を先に完成させてしまうと越流が始まってしまい、下流側での作業が水に阻まれてできなくなるためです。
(根拠:砂防えん堤の施工に関する一般的な考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「本えん堤基礎部 → 水叩き → 副えん堤 → 側壁護岸 → 本えん堤上部」は誤りで、水叩きより副えん堤と側壁護岸を先に施工します。
「副えん堤 → 本えん堤基礎部 → 本えん堤上部 → 側壁護岸 → 水叩き」も誤りで、本えん堤の基礎部に最初に着手します。
「本えん堤上部 → 本えん堤基礎部 → 副えん堤 → 側壁護岸 → 水叩き」も誤りで、上部を先に立ち上げると下流側の作業ができなくなります。
問83-6

砂防えん堤の堤体の形状に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①下流のり面は、越流する砂れきによる損傷を考慮して定める。
  • ②下流のり面は、上流のり面より緩やかにするのが原則である。
  • ③上流のり面は、水平に近い緩やかな勾配とするのが原則である。
  • ④堤体の断面は、上部ほど厚くするのが原則である。
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正解 ①下流のり面は、越流する砂れきによる損傷を考慮して定める。
解説
砂防えん堤は、河川のダムと違って水だけでなく土砂や石が越流していく構造物です。この点が形状を決めるうえでの大きな特徴になります。
下流のり面は、越流した水とともに落ちてくる砂れきや転石が直接あたる面です。この衝撃や摩耗で表面が傷むと、そこから断面が欠けて堤体の安定が損なわれます。そのため下流のり面は、砂れきによる損傷を受けにくい急な勾配(一般に1対0.2程度)とし、必要に応じて表面を保護します。緩やかにすると、落ちてくる石が斜面に沿って長く接触し、かえって摩耗が激しくなります。
上流のり面も、たまった土砂からの土圧や堤体の安定を考えて定めるもので、水平に近い緩勾配にすることはありません。
また堤体の断面は、下にいくほど水圧と土圧が大きくなるため、下部ほど厚くなる形(上が細く下が広い形)にするのが原則で、上部ほど厚くするというのは力の流れに反します。
(根拠:砂防えん堤の構造に関する一般的な設計の考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「下流のり面は、上流のり面より緩やかにするのが原則である。」は誤りで、下流のり面は越流土砂に対して急な勾配とします。
「上流のり面は、水平に近い緩やかな勾配とするのが原則である。」も誤りで、そのような形状では堤体として成り立ちません。
「堤体の断面は、上部ほど厚くするのが原則である。」も誤りで、下部ほど大きな力を受けるため下部を厚くします。
問93-6

砂防えん堤の堆砂と型式に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①計画堆砂勾配は、現渓床勾配より急に設定するのが一般的である。
  • ②透過型えん堤は、平常時の土砂も完全に止める型式である。
  • ③計画堆砂勾配は、現渓床勾配より緩く設定するのが一般的である。
  • ④不透過型えん堤は、土石流の捕捉には用いられない型式である。
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正解 ③計画堆砂勾配は、現渓床勾配より緩く設定するのが一般的である。
解説
砂防えん堤の上流側にたまった土砂の表面がつくる勾配を堆砂勾配といいます。たまった土砂は水の作用で少しずつならされていくため、その勾配は元の渓床勾配より緩やかになります。一般には現渓床勾配の2分の1から3分の2程度に落ち着くとされ、計画上もこの考え方で堆砂勾配を設定します。急に設定すると、実際にたまる量を過大に見積もることになり、計画が成り立ちません。
型式については、水と土砂を通さない不透過型と、鋼製のスリットや格子で開口部を設けた透過型があります。
不透過型は堤体で完全にせき止める形式で、土砂の捕捉能力が高く、土石流対策にも用いられます。
透過型は、平常時の水と土砂は開口部を通してそのまま下流へ流し、土石流や大きな流木のように危険なものが来たときだけ、開口部で詰まらせて捕捉します。必要なものは流し、危険なものだけを止めるという考え方で、下流の河床材料や生態系への影響を小さくできます。したがって平常時の土砂も完全に止めるという記述は誤りです。
(根拠:砂防えん堤の計画に関する一般的な考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「計画堆砂勾配は、現渓床勾配より急に設定するのが一般的である。」は誤りで、堆砂は現渓床勾配より緩い勾配で安定します。
「透過型えん堤は、平常時の土砂も完全に止める型式である。」も誤りで、平常時の土砂は開口部から流下させます。
「不透過型えん堤は、土石流の捕捉には用いられない型式である。」も誤りで、不透過型も土石流の捕捉に用いられます。
問103-6

砂防えん堤の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①基礎は、原則として強固な岩盤に設けることが望ましい。
  • ②水通しの断面は、対象流量に関係なく一定としてよい。
  • ③袖の嵌入は、両岸の地質に応じた深さまで行う必要がある。
  • ④施工は、出水期を避けた渇水期に行うのが原則である。
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正解 ②水通しの断面は、対象流量に関係なく一定としてよい。
解説
水通しは、洪水時に水と土砂を安全に流下させるための唯一の出口です。したがってその断面は、対象とする流量(設計で見込む洪水流量に土砂の混入分を加えたもの)を安全に流せる大きさとして決めます。流量に関係なく一定でよいということはありません。
断面が不足すると、水位が上がって袖から越流し、袖と山の取付部が削られてえん堤全体の破壊につながります。逆に必要以上に大きくすると、堤体の断面が減って構造上不利になるうえ不経済です。つまり、水通しの大きさは流量に応じて決めるべき設計項目そのものです。
そのほかの施工上の要点として、基礎はできるだけ強固な岩盤に設けること、袖は地質に応じた深さまで両岸へ嵌入させること、渓流の工事は出水による被災を避けるため渇水期に計画することが挙げられます。特に砂防工事は上流の山地で行われるため、降雨による急な増水の危険が高く、気象情報の把握と退避計画が欠かせません。
(根拠:砂防えん堤の構造および施工に関する一般的な考え方によります)

他の選択肢が不適切な理由
「基礎は、原則として強固な岩盤に設けることが望ましい。」は正しく、支持力と洗掘に対する安定を確保するためです。
「袖の嵌入は、両岸の地質に応じた深さまで行う必要がある。」も正しく、取付部からの回り込みや崩壊を防ぐために必要です。
「施工は、出水期を避けた渇水期に行うのが原則である。」も正しく、施工中の構造物や仮設備の流失を防ぐためです。

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