2026年版・3-3

コンクリート構造物の劣化と補修・補強の一問一答

1級土木施工管理技士「専門土木」から、コンクリート構造物の劣化と補修・補強に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-3

コンクリート構造物の中性化に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①中性化とは、コンクリートの圧縮強度が低下する現象である。
  • ②中性化が鉄筋の位置まで進むと、鉄筋がさびて膨張し始める。
  • ③中性化は、水セメント比が小さいコンクリートほど速く進む。
  • ④中性化の主な原因は、空気中の酸素とセメントの反応である。
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正解 ②中性化が鉄筋の位置まで進むと、鉄筋がさびて膨張し始める。
解説
コンクリートは本来、pHが12から13という強いアルカリ性をもっています。このアルカリ性の環境では、鉄筋の表面に不動態被膜という非常に薄い保護膜ができ、鉄筋がさびるのを防いでいます。コンクリートが鉄筋を守れるのは、この化学的な働きによるものです。
ところが、空気中の二酸化炭素がコンクリートの内部に入り込み、水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムに変わると、アルカリ性が失われて中性に近づきます。これが中性化です。中性化そのものはコンクリートの強度を下げるわけではありません。問題は、中性化した範囲が鉄筋の位置まで達したときです。保護膜が失われた鉄筋は水と酸素によってさび始め、さびは元の鉄の2倍以上に体積が膨らむため、内側からコンクリートを押し広げ、かぶりにひび割れを生じさせ、やがて剥落に至ります。
したがって、中性化対策の要点はかぶりを十分に確保すること、水セメント比を小さくして組織を密実にし、二酸化炭素が入りにくいコンクリートにすることです。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の中性化に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「中性化とは、コンクリートの圧縮強度が低下する現象である。」は誤りで、中性化はアルカリ性が失われる現象であり、強度そのものが低下するわけではありません。
「中性化は、水セメント比が小さいコンクリートほど速く進む。」は逆で、水セメント比が小さいほど組織が密実になり進行は遅くなります。
「中性化の主な原因は、空気中の酸素とセメントの反応である。」も誤りで、原因となるのは酸素ではなく二酸化炭素です。
問23-3

コンクリートの中性化深さの調査に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①調査には、メチレンブルー溶液を吹き付けて色の変化を見る。
  • ②呈色した赤紫色の部分が、中性化した範囲を示している。
  • ③中性化の進行速度は、経過時間に正比例するものとみなす。
  • ④フェノールフタレイン溶液を用い、変色しない部分を測る。
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正解 ④フェノールフタレイン溶液を用い、変色しない部分を測る。
解説
中性化がどこまで進んでいるかは、色で見分けます。用いるのはフェノールフタレイン溶液で、これはアルカリ性のものに触れると赤紫色に変わる指示薬です。
コアを抜いた面や、はつり出した断面にこの溶液を噴霧すると、まだアルカリ性が残っている健全な部分は赤紫色に発色し、中性化が進んだ部分は色が変わらず元の灰色のままになります。つまり、測るのは変色しなかった表面側の部分の厚さで、これが中性化深さです。色が付いた部分を測るのではない、という点が試験でよく問われます。
中性化は、二酸化炭素がすでに中性化した層を通って奥へ入っていく現象なので、深くなるほど進みにくくなります。そのため進行は時間に正比例せず、おおむね経過時間の平方根に比例して進みます。この関係を使えば、現在の中性化深さから将来の進行を予測し、鉄筋位置に達するまでの残りの余裕(中性化残り)を評価できます。
(根拠:日本産業規格 JIS A 1152「コンクリートの中性化深さの測定方法」によります)

他の選択肢が不適切な理由
「調査には、メチレンブルー溶液を吹き付けて色の変化を見る。」は誤りで、メチレンブルーは骨材の微粒分の試験などに用いる別の薬品です。
「呈色した赤紫色の部分が、中性化した範囲を示している。」も誤りで、赤紫色に発色するのはアルカリ性が残っている健全な部分です。
「中性化の進行速度は、経過時間に正比例するものとみなす。」も誤りで、一般には経過時間の平方根に比例するとみなします。
問33-3

コンクリート構造物の塩害に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①塩化物イオンが鉄筋の不動態被膜を壊し、腐食を進行させる。
  • ②塩害の原因となる塩化物は、外部から供給されるものに限る。
  • ③塩害の対策として、水セメント比を大きくして密実にする。
  • ④塩害は、コンクリート自体が溶けて断面が減る現象である。
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正解 ①塩化物イオンが鉄筋の不動態被膜を壊し、腐食を進行させる。
解説
塩害は、塩化物イオンが原因で鉄筋が腐食し、コンクリート構造物の性能が低下する現象です。
コンクリートはアルカリ性なので、鉄筋の表面には不動態被膜という保護膜ができています。ところが塩化物イオンは、アルカリ性が保たれていてもこの保護膜を局部的に壊してしまう性質があります。壊された点から腐食が始まり、そこに腐食が集中して深く進む(孔食)のが塩害の特徴です。さびの体積膨張によってかぶりにひび割れが入り、そこからさらに塩分・水・酸素が入り込むため、いったん始まると加速度的に進みます。
塩化物イオンの供給源には、海からの飛来塩分や凍結防止剤のように外部から入るものと、洗浄が不十分な海砂や混和剤のようにあらかじめ内部に含まれていたものの両方があります。そのため対策は、かぶりを大きくする、水セメント比を小さくして塩分が浸透しにくい密実なコンクリートにする、練混ぜ時の塩化物イオン量を規定値以下に管理する、エポキシ樹脂塗装鉄筋を使う、表面被覆を行う、などが組み合わされます。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の塩害に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「塩害の原因となる塩化物は、外部から供給されるものに限る。」は誤りで、材料に由来する内在塩分も原因になります。
「塩害の対策として、水セメント比を大きくして密実にする。」も誤りで、水セメント比を大きくすると組織が粗くなり塩分が浸透しやすくなります。
「塩害は、コンクリート自体が溶けて断面が減る現象である。」も誤りで、それは酸などによる化学的侵食の説明です。
問43-3

コンクリートのアルカリシリカ反応に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①反応が進むと、コンクリートが収縮してひび割れが生じる。
  • ②対策として、コンクリート中のアルカリ総量を多くしておく。
  • ③反応生成物が吸水膨張し、亀甲状のひび割れを生じさせる。
  • ④セメント中のシリカと骨材のアルカリが反応する現象である。
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正解 ③反応生成物が吸水膨張し、亀甲状のひび割れを生じさせる。
解説
アルカリシリカ反応は、骨材に含まれる反応性のシリカ鉱物と、セメントなどに由来するアルカリ分が反応して起こる劣化です。
反応によってできるアルカリシリカゲルは、水を吸うと大きく膨らむ性質をもっています。コンクリートの内部でこのゲルが吸水膨張すると、周囲を内側から押し広げるため、拘束の少ない無筋構造物では亀甲状(かめの甲羅のような網目模様)のひび割れが表面に現れます。鉄筋やPC鋼材で拘束されている部材では、拘束の弱い方向に沿ってひび割れが並ぶ形になります。
対策の基本は、反応の材料を絶つことです。具体的には、コンクリート中のアルカリ総量を酸化ナトリウム換算で3.0kg/m³以下に抑える、抑制効果が確認された高炉セメントB種やフライアッシュセメントB種などを使う、無害と判定された骨材を使う、という三つの方法があります。アルカリ総量を多くするのは反応を促す方向であり、対策になりません。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)およびJIS A 5308に基づくアルカリシリカ反応抑制対策によります)

他の選択肢が不適切な理由
「反応が進むと、コンクリートが収縮してひび割れが生じる。」は誤りで、生じるのは収縮ではなく膨張です。
「対策として、コンクリート中のアルカリ総量を多くしておく。」も誤りで、アルカリ総量は3.0kg/m³以下に抑えるのが原則です。
「セメント中のシリカと骨材のアルカリが反応する現象である。」も誤りで、反応するのは骨材中のシリカとセメント等に由来するアルカリであり、説明が逆になっています。
問53-3

コンクリートの凍害に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①凍害の対策としては、空気量をできるだけ少なくするのがよい。
  • ②水分の凍結と融解の繰返しによって、組織が壊れる現象である。
  • ③凍害は、気温が氷点下になった一度の寒さだけでも生じる。
  • ④表面が薄片状にはがれる現象は、ポップアウトと呼ばれる。
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正解 ②水分の凍結と融解の繰返しによって、組織が壊れる現象である。
解説
凍害は、コンクリート内部の水分が凍ったり溶けたりを何度も繰り返すことで、組織が少しずつ壊されていく劣化です。
水は凍ると体積が約9%増えます。コンクリートの細かい空隙の中で水が凍ると、逃げ場のない水が周囲を押し広げ、微細なひび割れを生じさせます。溶けたときにそのすき間へさらに水が入り込み、次に凍るとまた押し広げる、という繰返しによって傷が積み重なっていきます。ですから、一度の寒さで生じるのではなく、凍結と融解が何度も繰り返されることが条件です。寒冷地でも、氷点下が続いて凍りっぱなしの場所より、日中に溶けて夜に凍る場所のほうが被害が大きくなるのはこのためです。
最も有効な対策はAE剤の使用です。AE剤は、コンクリートの中に独立した微細な空気の泡を無数につくります。この泡が、凍結によって押し出された水の逃げ場(緩衝空間)となり、内部の圧力を和らげます。したがって空気量は減らすのではなく、適切な量を確保することが重要です。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の凍害に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「凍害の対策としては、空気量をできるだけ少なくするのがよい。」は誤りで、AE剤により適切な空気量を確保することが対策になります。
「凍害は、気温が氷点下になった一度の寒さだけでも生じる。」も誤りで、凍結融解の繰返しによって進行します。
「表面が薄片状にはがれる現象は、ポップアウトと呼ばれる。」も誤りで、それはスケーリングです。ポップアウトは骨材粒が押し出されて表面がくぼむ現象です。
問63-3

コンクリートの化学的侵食に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①海水に含まれる塩化物イオンにより、鉄筋が腐食する現象をいう。
  • ②骨材とセメントのアルカリが反応し、膨張する現象のことをいう。
  • ③下水道施設では、硫化水素から生じた硫酸により侵食される。
  • ④凍結融解の繰返しにより、表面がはがれる現象のことをいう。
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正解 ③下水道施設では、硫化水素から生じた硫酸により侵食される。
解説
化学的侵食とは、酸や硫酸塩などがコンクリートそのものと反応し、セメント硬化体が溶けたり膨張したりして断面が失われていく劣化です。鉄筋が先にさびる中性化や塩害とは違い、コンクリート自体が侵される点が特徴です。
代表例が下水道施設です。下水中の硫酸塩が、酸素の少ない環境で細菌の働きにより硫化水素へと変わり、それが管の上部の気相へ抜け出します。そこで別の細菌(硫黄酸化細菌)が硫化水素を硫酸に変え、この硫酸がコンクリートを溶かします。水面より上の管頂部が特に激しく侵食されるのはこのためで、下水道施設特有の劣化として知られています。対策には、耐硫酸性の材料の使用、樹脂系ライニングによる被覆、換気による硫化水素の抑制などがあります。
そのほか、温泉地や酸性河川の酸、地下水中の硫酸塩による膨張(エトリンガイトの生成)なども化学的侵食にあたります。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の化学的侵食に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「海水に含まれる塩化物イオンにより、鉄筋が腐食する現象をいう。」は塩害の説明であり、化学的侵食とは劣化の仕組みが異なります。
「骨材とセメントのアルカリが反応し、膨張する現象のことをいう。」はアルカリシリカ反応の説明です。
「凍結融解の繰返しにより、表面がはがれる現象のことをいう。」は凍害の説明で、いずれも別の劣化機構です。
問73-3

コンクリート構造物のひび割れ補修工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①ひび割れ被覆工法は、微細なひび割れの補修に用いられる。
  • ②注入工法は、ひび割れに樹脂などを注入する工法である。
  • ③充填工法は、ひび割れに沿って溝を切ってから材料を詰める。
  • ④幅の大きいひび割れには、被覆工法を用いるのが標準である。
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正解 ④幅の大きいひび割れには、被覆工法を用いるのが標準である。
解説
ひび割れの補修工法は、ひび割れの幅によって使い分けるのが基本です。目的は、ひび割れから水や塩分、二酸化炭素が入り込むのを止めて、内部の鉄筋を守ることにあります。
幅が小さい(おおむね0.2mm以下)微細なひび割れには、表面をシール材や塗膜で覆うだけのひび割れ被覆工法が用いられます。細すぎて材料を中に入れられないため、上からふさぐという考え方です。
中程度の幅(おおむね0.2mmから1.0mm程度)では、注入工法が選ばれます。エポキシ樹脂などをゆっくり低圧で注入し、ひび割れの奥まで満たして一体化させます。
幅が大きい(おおむね1.0mm以上)ひび割れや、鉄筋の腐食を伴う場合には、充填工法を用います。ひび割れに沿ってU字形やV字形に溝を切り広げ、必要なら鉄筋の防錆処理をしたうえで、シール材や樹脂モルタルを充填します。
したがって、幅の大きいひび割れに表面を覆うだけの被覆工法を用いるのは、内部が処理されないため標準的な選定とはいえません。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の維持管理に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「ひび割れ被覆工法は、微細なひび割れの補修に用いられる。」は正しく、幅の小さいひび割れに対する標準的な工法です。
「注入工法は、ひび割れに樹脂などを注入する工法である。」も正しく、中程度の幅のひび割れに適用されます。
「充填工法は、ひび割れに沿って溝を切ってから材料を詰める。」も正しく、幅の大きいひび割れに対する標準的な工法です。
問83-3

コンクリート構造物の補修工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①表面被覆工法は、劣化因子の侵入を防いで劣化の進行を抑える。
  • ②断面修復工法では、劣化した部分を残したまま上塗りをする。
  • ③電気防食工法は、鉄筋に電流を流して塩分を増やす工法である。
  • ④表面含浸工法は、部材の断面を大きくして耐力を高める工法である。
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正解 ①表面被覆工法は、劣化因子の侵入を防いで劣化の進行を抑える。
解説
補修工法は、劣化を引き起こす原因(劣化因子)を絶つという考え方で組み立てられています。ここでいう劣化因子とは、水・二酸化炭素・塩化物イオン・酸素などのことです。
表面被覆工法は、コンクリートの表面を樹脂系の塗膜やシートで覆い、これらの劣化因子が外から入ってこないようにする工法です。原因を遮断することで、中性化や塩害の進行を止め、あるいは大幅に遅らせます。似た考え方の工法に表面含浸工法があり、こちらはケイ酸塩系やシラン系の含浸材を表面から染み込ませ、表層部を改質して水や塩分を通しにくくします。どちらも断面を増やして耐力を上げるものではなく、劣化の進行を抑える予防的な工法です。
断面修復工法は、劣化してもろくなった部分や、塩分を多く含む部分をはつり取って除去し、鉄筋の防錆処理を行ったうえで、断面修復材で元の形に復旧する工法です。劣化部分を残したまま上から塗ると、内部で腐食が進み続けて再劣化するため、除去が前提になります。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の維持管理に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「断面修復工法では、劣化した部分を残したまま上塗りをする。」は誤りで、劣化部を確実に除去してから修復材を施工します。
「電気防食工法は、鉄筋に電流を流して塩分を増やす工法である。」も誤りで、鉄筋を陰極にして腐食を止める工法であり、塩分を増やすものではありません。
「表面含浸工法は、部材の断面を大きくして耐力を高める工法である。」も誤りで、含浸材で表層を改質する工法であり断面は増えません。
問93-3

コンクリート構造物の補強工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①連続繊維シート接着工法は、軽量で複雑な形状にも適用できる。
  • ②鋼板接着工法では、鋼板とコンクリートを樹脂で一体化させる。
  • ③外ケーブル工法は、部材の自重を大きく増加させる工法である。
  • ④上面増厚工法は、床版の上側に補強材を打ち足す工法である。
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正解 ③外ケーブル工法は、部材の自重を大きく増加させる工法である。
解説
補強工法は、耐力が不足した部材に新たな抵抗要素を加えて性能を回復・向上させるものです。工法ごとに、何を足すのか、重さがどれだけ増えるのかを整理しておくと選定の理解が進みます。
外ケーブル工法は、桁の外側にPC鋼材(ケーブル)を配置して緊張し、部材にあらかじめ圧縮力を与えることでひび割れを閉じ、曲げに対する耐力を高める工法です。加えるのは細いケーブルと定着具だけなので、自重の増加はごくわずかです。むしろ、自重をほとんど増やさずに耐力を上げられることがこの工法の大きな利点であり、「自重を大きく増加させる」という記述は逆になります。
連続繊維シート接着工法は、炭素繊維やアラミド繊維のシートを樹脂で貼り付ける工法で、非常に軽く、さびず、曲面や狭い場所にもなじむため適用範囲が広いのが特徴です。鋼板接着工法は鋼板を樹脂で接着して一体化させる工法で、確実な補強効果が得られますが、重量が増え防錆管理も必要になります。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の補強に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「連続繊維シート接着工法は、軽量で複雑な形状にも適用できる。」は正しく、軽さと施工性の高さがこの工法の特徴です。
「鋼板接着工法では、鋼板とコンクリートを樹脂で一体化させる。」も正しく、接着後にアンカーを併用することもあります。
「上面増厚工法は、床版の上側に補強材を打ち足す工法である。」も正しく、舗装を撤去して鋼繊維補強コンクリート等を打ち足します。
問103-3

コンクリート構造物の劣化機構と、その抑制対策の組合せとして、適当でないものはどれか。

  • ①中性化 ---- 水セメント比を小さくしかぶりを大きくする
  • ②アルカリシリカ反応 ---- 単位セメント量を多くする
  • ③凍害 ---- AE剤を用いて適切な空気量を確保する
  • ④塩害 ---- エポキシ樹脂塗装鉄筋を使用する
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正解 ②アルカリシリカ反応 ---- 単位セメント量を多くする
解説
劣化への対策は、その劣化を起こしている原因を断つという一点で考えると、組合せの正誤を自分で判断できるようになります。
アルカリシリカ反応は、骨材中の反応性シリカとアルカリが反応して起こります。アルカリの主な供給源はセメントですから、単位セメント量を多くするとコンクリート中の総アルカリ量が増え、反応をかえって促進してしまいます。この反応を抑えるには、アルカリ総量を酸化ナトリウム換算で3.0kg/m³以下に抑える、抑制効果のある高炉セメントB種やフライアッシュセメントB種を用いる、無害と判定された骨材を用いる、のいずれかによります。したがってこの組合せは対策として成り立ちません。
中性化は二酸化炭素の侵入が原因なので、組織を密実にして侵入を遅らせ、かぶりを大きくして鉄筋に達するまでの距離を稼ぎます。凍害は凍結時の膨張圧が原因なので、AE剤で微細な空気泡をつくって圧力を逃がします。塩害は塩化物イオンによる鉄筋の腐食が原因なので、鉄筋そのものを樹脂で覆って塩分から隔離します。
(根拠:コンクリート標準示方書(土木学会)の耐久性に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「中性化 ---- 水セメント比を小さくしかぶりを大きくする」は正しい組合せで、二酸化炭素の侵入を遅らせる基本的な対策です。
「凍害 ---- AE剤を用いて適切な空気量を確保する」も正しく、凍結による内部圧力を緩和する最も有効な対策です。
「塩害 ---- エポキシ樹脂塗装鉄筋を使用する」も正しく、鉄筋を被覆して塩化物イオンから遮断する対策です。

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