2026年版・3-22

プレストレストコンクリート橋の施工の一問一答

1級土木施工管理技士「専門土木」から、プレストレストコンクリート橋の施工に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-22

プレストレストコンクリートの原理に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①あらかじめ圧縮力を与えひび割れを抑える
  • ②あらかじめ引張力を与えてたわみを抑える
  • ③鉄筋を用いずに引張力に抵抗させる
  • ④コンクリートの圧縮強度を高める工法
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正解 ①あらかじめ圧縮力を与えひび割れを抑える
解説
コンクリートは押される力にはたいへん強い一方、引っ張られる力には圧縮の10分の1程度しか耐えられません。そのため、はりの下側のように引張力が働く場所では、荷重が小さいうちからひび割れが入ります。鉄筋コンクリートは、そのひび割れを前提にして、割れた後の引張力を鉄筋に負担させる考え方です。
プレストレストコンクリートは考え方が違います。荷重が作用する前に、高強度の鋼材を引っ張った反力で、コンクリートにあらかじめ圧縮力を与えておきます。後から荷重によって引張力が生じても、まず先に与えてある圧縮力が打ち消すため、コンクリートに引張が現れにくくなり、ひび割れが生じにくくなります。この、あらかじめ与えておく応力をプレストレスといいます。
ひび割れが出にくいということは、水や塩分が内部に入りにくいということでもあり、耐久性の面でも有利です。またたわみが小さくなるため、同じ支間なら部材を薄くでき、長い支間を渡すことができます。
なお、プレストレスを与えてもコンクリート自体の圧縮強度が上がるわけではありません。また、せん断補強や部分的な引張に備えて、PC部材にも普通の鉄筋が併せて配置されます。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるプレストレストコンクリートの規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「あらかじめ引張力を与えてたわみを抑える」は誤りで、コンクリートに与えるのは引張力ではなく圧縮力です。
「鉄筋を用いずに引張力に抵抗させる」も誤りで、PC部材にもせん断補強筋などの普通鉄筋が併せて配置されます。
「コンクリートの圧縮強度を高める工法」も誤りで、圧縮強度は配合や材料で決まり、プレストレスでは変わりません。
問23-22

プレテンション方式とポストテンション方式に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①プレテンション方式は現場での製作に適する
  • ②ポストテンション方式ではシースを用いない
  • ③プレテンション方式は付着で応力を伝える
  • ④ポストテンション方式は緊張後に打ち込む
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正解 ③プレテンション方式は付着で応力を伝える
解説
プレストレスを与える方法は、コンクリートを打ち込む前に鋼材を引っ張るか、固まった後に引っ張るかで二つに分かれます。
プレテンション方式は、先に鋼材を引っ張っておき、その状態でコンクリートを打ち込みます。コンクリートが固まって鋼材と一体になってから、両端で保持していた力を解放すると、縮もうとする鋼材がコンクリートを締め付けます。力の受け渡しは鋼材の表面とコンクリートの付着だけで行われるため、定着具もシースもグラウトも要りません。その代わり、鋼材を引っ張り続けるための頑丈な台座が必要になるので、工場での製作が基本になります。
ポストテンション方式は、シースという管をあらかじめ埋めておいてコンクリートを打ち込み、固まってから管の中に通した鋼材を引っ張って、部材の端の定着具で固定します。力は定着具から部材に直接伝わります。台座が不要なので現場での製作や長大な部材にも向きますが、緊張後に管の中へグラウトを注入する工程が加わります。
いずれの方式も、鋼材を引っ張るのはコンクリートが固まる前後の違いであり、緊張してからコンクリートを打ち込むのはプレテンション方式のほうです。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるプレストレスの導入方式の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「プレテンション方式は現場での製作に適する」は誤りで、鋼材を保持する頑丈な台座が要るため工場製作が基本です。
「ポストテンション方式ではシースを用いない」も誤りで、鋼材を通す管としてシースを配置するのが基本です。
「ポストテンション方式は緊張後に打ち込む」も誤りで、打込み後に緊張するからポストテンションと呼ばれます。
問33-22

プレストレストコンクリートに用いるPC鋼材に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①PC鋼材には普通の異形鉄筋を用いる
  • ②PC鋼棒は主にプレテンションに用いる
  • ③PC鋼材は普通鉄筋より伸び能力が大きい
  • ④PC鋼材には高い引張強さの鋼材を用いる
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正解 ④PC鋼材には高い引張強さの鋼材を用いる
解説
プレストレスを与えるための鋼材には、なぜ特別なものが必要なのでしょうか。理由は、与えた力が時間とともに目減りするからです。コンクリートは荷重を受け続けると徐々に縮み(クリープ)、乾燥によっても縮みます。この縮みの分だけ鋼材もゆるみ、緊張力が減ってしまいます。
もし普通の鉄筋のように引張強さの低い鋼材を使うと、そもそも与えられる力が小さいうえに、目減りした分の割合が大きくなり、必要なプレストレスが残りません。そこで、普通鉄筋よりはるかに高い引張強さを持つ鋼材を使い、大きな力を与えたうえで、多少減っても十分な量が残るようにします。これがPC鋼材です。
種類は三つあります。細い針金状のPC鋼線、それを数本より合わせたPC鋼より線、そして太い棒状のPC鋼棒です。プレテンション方式では付着で力を伝えるため、表面積を稼げる細径のPC鋼線やPC鋼より線が主に使われます。PC鋼棒は定着具で固定するポストテンション方式や、比較的短い部材に用いられます。
高強度の鋼材は、その反面として粘り強さが小さく、引張を受けたときに伸びる能力は普通鉄筋より小さくなります。折り曲げや溶接の熱で性能が損なわれやすい点にも注意が必要です。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるPC鋼材の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「PC鋼材には普通の異形鉄筋を用いる」は誤りで、PC鋼線・PC鋼より線・PC鋼棒といった高強度の専用鋼材を用います。
「PC鋼棒は主にプレテンションに用いる」も誤りで、プレテンション方式では細径のPC鋼線やPC鋼より線が主に用いられます。
「PC鋼材は普通鉄筋より伸び能力が大きい」も誤りで、高強度である分、引張を受けたときに伸びる能力はむしろ小さくなります。
問43-22

ポストテンション方式のシース及びグラウトに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①グラウトは緊張作業の前に注入しておく
  • ②グラウトはPC鋼材の防せいと付着を担う
  • ③シースは緊張後に取り除くのが原則である
  • ④グラウトの注入は上側の口から行う
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正解 ②グラウトはPC鋼材の防せいと付着を担う
解説
ポストテンション方式では、コンクリートの中にシースという管を埋めておき、固まってからその中にPC鋼材を通して引っ張ります。緊張と定着が終わった時点では、鋼材はまだ管の中に浮いた状態で、まわりは空洞です。ここへ注入するセメント系の材料がグラウトです。
グラウトの役割は二つあります。一つは防せいです。PC鋼材は細く、高い応力がかかっているため、少しでもさびて断面が減れば破断につながります。空洞のままでは湿気と空気が入り込むので、すき間なく充填して鋼材を包み込みます。もう一つは付着の確保です。鋼材とコンクリートを一体化させることで、万一鋼材が一部で切れても、その位置から力が周囲へ伝わり、被害の広がりを抑えられます。
注入は、緊張と定着が完了した後でなければ行えません。先に注入してしまえば鋼材が動かせず、緊張そのものができないからです。またシースは埋め殺しであり、取り除くものではありません。
注入の手順では、空気だまりを残さないことが最も重要です。管が曲がって配置されている場合は低い側の注入口から注入し、空気を高いほうへ押し出しながら、反対の口から同じ品質のグラウトが出てくることを確かめます。注入前に管の中の水やごみを取り除いておくことも欠かせません。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるPCグラウトの規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「グラウトは緊張作業の前に注入しておく」は誤りで、先に充填すると鋼材が動かせず、緊張と定着の後に注入します。
「シースは緊張後に取り除くのが原則である」も誤りで、シースはコンクリート内に残したままとし、その中に充填します。
「グラウトの注入は上側の口から行う」も誤りで、空気を押し出すため低い側の注入口から注入するのが基本です。
問53-22

PC鋼材の緊張作業に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①緊張力と鋼材の伸び量の両方で管理する
  • ②緊張は部材の片側から順に行うのがよい
  • ③伸び量が設計値と異なれば緊張力を優先
  • ④緊張の順序は施工計画で定めなくてよい
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正解 ①緊張力と鋼材の伸び量の両方で管理する
解説
緊張作業は、設計で決めた大きさの力を、決めた順序で、確実に部材へ与える作業です。目に見えない部材の内部で起きることなので、管理の仕方が厳密に決められています。
まず、与えた力の確認は二通りの方法を突き合わせて行います。一つはジャッキの圧力計から読み取る緊張力、もう一つは鋼材が実際に伸びた長さです。理論上は、鋼材の断面積と長さ、材料の弾性係数から、ある緊張力に対する伸び量が計算できます。両方を測って照らし合わせ、値が一致していれば正しく力が入っていると判断します。
なぜ二重に確認するのかというと、どちらか一方だけでは異常を見逃すからです。たとえばシース内の摩擦が想定より大きいと、ジャッキ側では所定の力が出ていても、奥のほうまで力が届いていません。このとき伸び量は計算値より小さくなります。逆に鋼材が定着具から滑っていれば、伸び量だけが大きく出ます。両者に無視できない差があれば、その場で作業を止め、摩擦、鋼材の断面積、弾性係数、定着具の状態などを調べて原因を取り除きます。
緊張の順序も重要です。片側から順に引いていくと、部材に偏った応力が生じ、ひび割れや変形の原因になります。中央から外側へ、あるいは左右対称にといった順序をあらかじめ施工計画で定め、そのとおりに行います。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書における緊張作業及びその管理の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「緊張は部材の片側から順に行うのがよい」は誤りで、応力が偏らないよう対称に、定められた順序で行います。
「伸び量が設計値と異なれば緊張力を優先」も誤りで、差の原因を調べて処置することが必要で、一方を優先して続行しません。
「緊張の順序は施工計画で定めなくてよい」も誤りで、順序は設計で想定した応力状態を再現するため必ず定めておきます。
問63-22

プレストレスの減少に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①定着具のセットにより緊張力が減少する
  • ②コンクリートのクリープにより減少する
  • ③リラクセーションは時間とともに回復する
  • ④シース内の摩擦によって緊張力が減少する
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正解 ③リラクセーションは時間とともに回復する
解説
設計で必要とされるのは、完成して何十年もたった後に残っているプレストレスです。ところが与えた力はいくつもの原因で目減りするため、あらかじめその分を見込んで大きめに緊張します。減少の原因は、緊張の直後に起こるものと、時間をかけて進むものに分けられます。
直後に起こるものは三つあります。第一に、力を受けたコンクリート自身が縮むことによる減少。第二に、シースの中で鋼材が管の内面とこすれることによる摩擦の損失で、曲がりが大きい配置ほど奥に力が届きにくくなります。第三に、ジャッキから定着具へ力を預けるときに、くさびがわずかに食い込んで鋼材が戻る分の減少で、セットロスと呼ばれます。
時間をかけて進むものは二つあります。一つはコンクリートのクリープと乾燥収縮で、部材が縮む分だけ鋼材もゆるみます。もう一つがPC鋼材のリラクセーションです。これは、鋼材を一定の長さに保ったままにしておくと、その中の引張応力が時間とともに少しずつ下がっていく現象で、回復することはありません。そのため損失を小さく抑えた低リラクセーションのPC鋼材が用いられます。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるプレストレスの減少の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「定着具のセットにより緊張力が減少する」は正しい記述で、くさびの食い込みによる戻りの分だけ力が減ります。
「コンクリートのクリープにより減少する」も正しい記述で、部材が縮む分だけ鋼材がゆるみます。
「シース内の摩擦によって緊張力が減少する」も正しい記述で、曲線配置の部分ほど摩擦による損失が大きくなります。
問73-22

プレストレスの導入に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①導入時のコンクリート強度は問わない
  • ②導入時に必要な強度は設計で定められる
  • ③プレテンションの導入時強度は低くてよい
  • ④導入は型枠を存置したまま行うのが原則
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正解 ②導入時に必要な強度は設計で定められる
解説
プレストレスを与えると、コンクリートには設計で想定した最大級の圧縮応力が一気に作用します。しかも、その時点はまだ材齢が若い段階です。したがって、いつ導入してよいかは強度で判断します。
必要な強度は、その部材にどれだけの応力が生じるかによって決まるので、設計の段階で導入時のコンクリート強度が定められ、現場ではその値に達したことを供試体の試験で確かめてから緊張します。強度が足りないまま導入すれば、部材が押しつぶされたり、定着具のまわりのコンクリートが割れたりします。
方式による違いもあります。プレテンション方式は、鋼材とコンクリートの付着だけで力を伝えるため、付着が十分に発現していなければ端部で鋼材が滑ってしまいます。そのため、定着具で直接力を伝えるポストテンション方式より高い強度が求められます。
もう一つ大切なのが、部材を自由に変形させておくことです。プレストレスを与えると、部材は軸方向に縮み、上向きに反り上がります。型枠や支保工が部材を押さえ込んだままだと、この変形が拘束されて予期しないひび割れが生じます。そこで導入の前に、型枠や支保工を緩めるか取り外して、部材が自由に動ける状態にしておきます。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるプレストレスの導入の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「導入時のコンクリート強度は問わない」は誤りで、所定の強度に達したことを試験で確認してから導入します。
「プレテンションの導入時強度は低くてよい」も誤りで、付着で力を伝えるためポストテンション方式より高い強度が必要です。
「導入は型枠を存置したまま行うのが原則」も誤りで、部材の変形が拘束されないよう型枠や支保工を緩めてから導入します。
問83-22

PCグラウトに求められる品質に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①ブリーディングが少ないことが求められる
  • ②硬化時にわずかに膨張する性質が望ましい
  • ③塩化物イオンの総量が制限されている
  • ④流動性を高めるため水を多く用いてよい
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正解 ④流動性を高めるため水を多く用いてよい
解説
PCグラウトは、シースの中に残った細いすき間をすべて埋め、PC鋼材をさびから守る材料です。求められる性質は、この目的からそのまま導かれます。
第一に、細く長い管の奥まで届く流動性が必要です。ただし、水を増やして流れやすくするやり方は許されません。水セメント比を大きくすると硬化後の組織が粗くなり、外から水分や塩分が入りやすくなって防せいの役目を果たせなくなるうえ、次に述べる材料分離も起こしやすくなります。そのため水セメント比には上限が定められており、一般に45%以下を標準とします。流動性は主として混和剤で確保します。
第二に、ブリーディングが少ないことです。ブリーディングとは、練り混ぜた材料の中で水が浮き上がる現象で、これが起きると管の上側に水がたまり、その水が抜けた後に空洞が残ります。ちょうど鋼材の上面という、最もさびてほしくない位置に空洞ができてしまいます。
第三に、硬化のときにわずかに膨張する性質が望まれます。普通のセメント系材料は硬化に伴って縮むため、そのままではすき間が生じます。わずかに膨らむことで、管の内面と鋼材に密着させることができます。
加えて、鋼材のさびを直接引き起こす塩化物イオンについては、材料に含まれる総量が制限されています。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるPCグラウトの品質の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「ブリーディングが少ないことが求められる」は正しい記述で、水が浮くと鋼材の上側に空洞が残ります。
「硬化時にわずかに膨張する性質が望ましい」も正しい記述で、収縮によるすき間の発生を防ぐためです。
「塩化物イオンの総量が制限されている」も正しい記述で、PC鋼材の腐食を直接引き起こすためです。
問93-22

プレストレストコンクリート橋の架設工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①片持ち架設は支保工なしで桁下を使える
  • ②押出し工法は桁を橋脚上で分割して作る
  • ③支保工式は谷や河川の上に適した工法
  • ④片持ち架設は両側を交互に張り出さない
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正解 ①片持ち架設は支保工なしで桁下を使える
解説
架設工法の選定は、桁の下に支保工を組めるかどうかで大きく分かれます。
支保工式は、桁の下に支柱を組み立て、その上で型枠を組んでコンクリートを打つ最も基本的な方法です。確実で管理もしやすい反面、桁の下に十分な空間と支柱を支えられる地盤が必要です。深い谷や河川、供用中の道路や鉄道の上では採用できません。
そこで用いられるのが片持ち架設です。橋脚の上から、移動作業車を使って部材を数メートルずつ左右へ張り出し、その都度緊張して固めながら進めます。橋脚を中心に両側へ交互に張り出すのは、片側だけが重くなって橋脚に大きな曲げが生じるのを避け、釣合いを保つためです。桁の下に何も置かないので、深い谷や交通量の多い道路の上でも施工でき、桁下の空間をそのまま使えます。
押出し工法は、橋台の背面に製作ヤードを設け、そこで桁を数十メートルずつ作っては前方へ押し出す作業を繰り返して、橋脚の上を滑らせながら架け渡す方法です。製作場所が一箇所に固定されるので品質管理がしやすく、桁下に立ち入らずに施工できます。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書における架設工法の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「押出し工法は桁を橋脚上で分割して作る」は誤りで、橋台の背面に設けた製作ヤードで作り、前方へ押し出していきます。
「支保工式は谷や河川の上に適した工法」も誤りで、桁下に支柱を組むため、深い谷や河川の上には向きません。
「片持ち架設は両側を交互に張り出さない」も誤りで、橋脚に偏った力が生じないよう左右へ交互に張り出します。
問103-22

ポストテンション方式によるプレストレストコンクリート橋の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①定着部の周辺には補強鉄筋を配置する
  • ②シースの位置は多少ずれても支障がない
  • ③グラウト前のシース内は水を残さない
  • ④緊張の記録は施工の管理資料として残す
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正解 ②シースの位置は多少ずれても支障がない
解説
ポストテンション方式では、力の流れが定着具とシースの位置によって決まります。したがって、この二つに関わる施工精度と後始末が、そのまま構造物の性能になります。
シースの位置は、設計で描かれたPC鋼材の線形そのものです。はりの中央では下寄り、支点付近では上寄りに配置されるのが一般的で、この上下の位置関係によって、荷重で生じる曲げを打ち消す力の向きが決まります。位置が上下にずれれば、想定した曲げが得られないばかりか、部材に予期しない引張が生じます。また線形が乱れると、緊張のときの摩擦が増えて奥まで力が届きません。そのため、シースは所定の間隔で確実に固定し、打込み時の振動や作業員の踏みつけで動かないようにします。
定着部は、細い鋼材の大きな力がごく狭い面積に集中する場所です。そのままではコンクリートが割れるので、周囲にらせん状の鉄筋や格子状の鉄筋を密に配置して、支圧に抵抗させます。
グラウトを注入する前には、シースの中を圧縮空気などで清掃し、たまった水やごみを取り除きます。水が残っていると、グラウトが薄まって所定の品質にならず、空洞が残る原因にもなります。
緊張作業では、部材ごと・鋼材ごとに緊張力と伸び量を記録し、施工の管理資料として保存します。
(根拠:土木学会 コンクリート標準示方書におけるポストテンション方式の施工の規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「定着部の周辺には補強鉄筋を配置する」は正しい記述で、支圧力が集中する部分の割れを防ぐために必要です。
「グラウト前のシース内は水を残さない」も正しい記述で、水が残るとグラウトが薄まり空洞の原因になります。
「緊張の記録は施工の管理資料として残す」も正しい記述で、内部が見えないため記録が唯一の確認手段になります。

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