2026年版・3-16

港湾工事(防波堤・係留施設・浚渫)の一問一答

1級土木施工管理技士「専門土木」から、港湾工事(防波堤・係留施設・浚渫)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-16

防波堤の型式に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①直立堤は、軟弱な地盤や水深の浅い場所に適した型式である。
  • ②混成堤は、捨石マウンドの上に直立部を設けた型式である。
  • ③傾斜堤は、良好な地盤でなければ築造できない型式である。
  • ④消波ブロック被覆堤は、波の反射を大きくする型式である。
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正解 ②混成堤は、捨石マウンドの上に直立部を設けた型式である。
解説
防波堤は、港内を波から守る施設です。型式は「どうやって波の力を受け止め、その力を地盤へ伝えるか」で三つに大別され、海底地盤の良否と水深によって選びます。
混成堤は、海底に捨石を台形に積んで基礎マウンドをつくり、その上にケーソンなどの直立部を据え付ける型式です。下部の捨石マウンドが、直立部から来る荷重を広い面積に分散して地盤へ伝えるため、直立堤ほど良好な地盤を必要としません。またマウンドの高さを調整することで、水深が深い場所にも対応できます。両方の型式の長所を組み合わせた形といえ、日本の防波堤で最も多く用いられています。
直立堤は、海底に直接、鉛直な壁体を据える型式で、良好な地盤と、洗掘のおそれが小さいことが条件になります。傾斜堤は、捨石や異形コンクリートブロックを台形に積み上げた型式で、施工が容易で軟弱地盤にも対応できますが、水深が深くなると材料が急に増えて不経済になります。
消波ブロック被覆堤は、直立部や混成堤の前面を消波ブロックで覆い、波の反射と越波を抑える型式です。
(根拠:港湾の施設の技術上の基準・同解説の防波堤に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「直立堤は、軟弱な地盤や水深の浅い場所に適した型式である。」は誤りです。直立堤は狭い底面で壁体を支えるため、良好な地盤であることが前提となります。
「傾斜堤は、良好な地盤でなければ築造できない型式である。」も誤りです。傾斜堤は捨石やブロックの集合体で底面が広く、変形にも追随できるため、むしろ軟弱地盤に適します。
「消波ブロック被覆堤は、波の反射を大きくする型式である。」も誤りです。前面をブロックで覆う目的は、波のエネルギーを消散させて反射波と越波を小さくすることにあります。
問23-16

傾斜堤の防波堤に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①堤体材料が少なくて済み、深い水深ほど有利な型式である。
  • ②波の反射が大きく、堤体前面の洗掘が進みやすい型式である。
  • ③地盤が良好でなければ、採用することができない型式である。
  • ④施工が容易で、軟弱な地盤にも適用しやすい型式といえる。
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正解 ④施工が容易で、軟弱な地盤にも適用しやすい型式といえる。
解説
傾斜堤は、捨石や異形コンクリートブロックを海底に台形状に積み上げてつくる防波堤です。構造が単純で、材料を船から投入して積むだけで築けるため、特別な設備を必要とせず施工が容易です。
この構造から、いくつかの長所が生まれます。まず、底面が広く荷重が分散されるので、軟弱な地盤でも成立します。次に、石やブロックの集合体なので、地盤が沈下したり前面が洗掘されたりしても、材料が滑り込んで形を変えながら機能を保ちます。この可とう性のおかげで、損傷しても部分的な補修で復旧でき、維持管理が比較的容易です。さらに、傾斜面で波をはい上がらせながらエネルギーを消費させるため、反射波が小さく、前面の洗掘も起きにくくなります。
一方で弱点もあります。堤体の断面が大きいため多量の材料を必要とし、水深が深くなるほど断面積が急激に増えて不経済になります。また堤体の幅が広いので、港内の有効水面を狭めることにもなります。したがって傾斜堤は、比較的水深が浅く、材料が近くで得られる場所で有利になります。
(根拠:港湾の施設の技術上の基準・同解説の防波堤に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「堤体材料が少なくて済み、深い水深ほど有利な型式である。」は誤りです。傾斜堤は断面が大きく多量の材料を要し、水深が深くなるほど材料が急増して不経済になります。
「波の反射が大きく、堤体前面の洗掘が進みやすい型式である。」も誤りです。緩い斜面で波のエネルギーを消散させるため反射は小さく、前面の洗掘も生じにくくなります。反射が大きいのは直立堤です。
「地盤が良好でなければ、採用することができない型式である。」も誤りです。良好な地盤が必要なのは直立堤で、傾斜堤は軟弱地盤にも適用できます。
問33-16

混成堤とケーソンの据付けに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①ケーソンは、注水しながら沈設して所定の位置に据え付ける。
  • ②ケーソンは、静穏な時期を避けて荒天時に据え付ける。
  • ③混成堤は、水深が浅い場所に限って用いられる型式である。
  • ④ケーソンの据付けは、捨石マウンドの均しを行う前に実施する。
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正解 ①ケーソンは、注水しながら沈設して所定の位置に据え付ける。
解説
混成堤の直立部に用いるケーソンは、陸上の製作ヤードやフローティングドックで箱状に製作し、進水させて海上を曳航し、据付け位置まで運びます。中が空洞の箱なので水に浮き、そのまま運べるわけです。
据付けは、この浮いている状態から始まります。所定の位置に導いたうえで、ケーソン内部の各隔室へ静かに注水し、浮力を減らしながら少しずつ沈めて基礎マウンドの上に着底させます。注水は各室へ均等に行い、傾いたまま着底しないようにします。位置がずれたまま着底すると修正は容易ではないため、着底直前まで位置を確認しながら慎重に進めます。
この作業は、波と流れの影響を強く受けます。ケーソンが揺れれば位置決めができず、着底の瞬間に基礎マウンドや隣接ケーソンと衝突する危険もあります。したがって据付けは、気象・海象が静穏な時期と時間帯を選んで行うのが鉄則です。
また、据付けに先立って基礎捨石マウンドの均し(荒均しののち本均し)を済ませておく必要があります。マウンドの表面に凹凸が残っていると、ケーソン底面に力が偏って作用し、ひび割れや不同沈下の原因になります。
(根拠:港湾の施設の技術上の基準・同解説のケーソンの施工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「ケーソンは、静穏な時期を避けて荒天時に据え付ける。」は誤りです。波浪が高いと位置決めができず、衝突や転倒の危険があるため、静穏なときを選んで施工します。
「混成堤は、水深が浅い場所に限って用いられる型式である。」も誤りです。基礎マウンドの高さを調整することで水深の深い場所にも対応できる点が、混成堤の大きな利点です。
「ケーソンの据付けは、捨石マウンドの均しを行う前に実施する。」も誤りです。均しを済ませて平たんな支持面をつくってから据え付けないと、底面に応力が偏って作用します。
問43-16

ケーソンの中詰めと蓋コンクリートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①中詰め材には、単位体積重量の小さい材料を使用する。
  • ②中詰めは、ケーソンの一つの隔室から順に満たしていくとよい。
  • ③中詰めが終わったあとは、速やかに蓋コンクリートを施工する。
  • ④蓋コンクリートは、中詰め材の流出とは無関係な部材である。
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正解 ③中詰めが終わったあとは、速やかに蓋コンクリートを施工する。
解説
ケーソンは中が空洞の箱なので、そのままでは軽く、波の力で滑ったり浮き上がったりします。据え付けたケーソンを本来の重力式構造物として働かせるには、内部に材料を詰めて重くする必要があります。これが中詰めです。
中詰め材には、砂、割石、コンクリート塊など、単位体積重量の大きい材料を用います。目的が自重の確保である以上、軽い材料では意味がありません。中詰めの作業では、特定の隔室だけを先に満たしてはいけません。一方向に荷重が偏るとケーソンの壁体に大きな偏土圧が作用し、壁がひび割れたり、ケーソン全体が傾いて据付け位置がずれたりします。したがって、対称の位置にある隔室へ均等に、少しずつ詰めていくのが原則です。
中詰めが終わったら、速やかに上部に蓋コンクリートを打設します。蓋がないまま放置すると、波が隔室の中へ入って中詰め材をかき出し、せっかく確保した重量が失われます。特に砂を用いた場合は流出が起きやすく、内部に空洞ができると壁体に予期しない力が作用します。中詰め材を閉じ込めて確実に保持することが、蓋コンクリートの主な役割です。
(根拠:港湾の施設の技術上の基準・同解説のケーソンの施工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「中詰め材には、単位体積重量の小さい材料を使用する。」は誤りです。中詰めの目的は堤体の重量を確保して滑動と転倒に抵抗させることなので、重い材料を用います。
「中詰めは、ケーソンの一つの隔室から順に満たしていくとよい。」も誤りです。荷重が偏ると壁体に過大な力が作用し、傾斜や損傷を招くため、対称に均等に詰めます。
「蓋コンクリートは、中詰め材の流出とは無関係な部材である。」も誤りです。波による中詰め材の流出を防ぐことが蓋コンクリートの重要な役割です。
問53-16

防波堤の基礎捨石マウンドに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①捨石マウンドは、直立部からの荷重を集中させる役割をもつ。
  • ②本均しは、荒均しを行わずに直接仕上げるのが原則である。
  • ③均し作業の精度は、直立部の安定とは関係がないものである。
  • ④捨石マウンドは、荷重を広く分散させて地盤へ伝えている。
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正解 ④捨石マウンドは、荷重を広く分散させて地盤へ伝えている。
解説
混成堤の下部にある基礎捨石マウンドは、単なる台座ではありません。上に載る直立部(ケーソンなど)の重さと、そこに作用する波の力を受け取り、それを台形の広がりを使って広い面積に分散し、海底地盤へ伝える役割を担っています。同じ荷重でも、伝わる面積が広ければ地盤の単位面積あたりに作用する応力は小さくなります。混成堤が直立堤ほど良好な地盤を要求しないのは、このマウンドがあるからです。
この役割を果たすうえで欠かせないのが、マウンド天端の均し作業です。捨石を投入しただけの面は凹凸が大きく、その上にケーソンを据えると、突出した石の頭にだけ力が集中します。集中した部分ではケーソン底版がひび割れ、逆に空いた部分では支えがなく、結果として不同沈下や傾斜を招きます。
そこで均しは二段階で行います。まず投入した捨石を大まかに整える荒均しを行い、次に所定の高さと平たん性まで仕上げる本均しを行います。本均しは潜水士による作業となることが多く、直立部の底面が接する範囲について高い精度が求められます。
(根拠:港湾の施設の技術上の基準・同解説の基礎工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「捨石マウンドは、直立部からの荷重を集中させる役割をもつ。」は逆です。マウンドの役割は荷重を集中させることではなく、広い面積に分散して地盤へ伝えることにあります。
「本均しは、荒均しを行わずに直接仕上げるのが原則である。」も誤りです。投入したままの捨石は凹凸が大きいため、荒均しで大まかに整えたうえで本均しを行います。
「均し作業の精度は、直立部の安定とは関係がないものである。」も誤りです。均しの精度が低いと支持が偏り、底版の損傷や不同沈下を招くため、直立部の安定に直結します。
問63-16

港湾の係留施設の型式に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①重力式係船岸は、軟弱な地盤であるほど有利になる型式である。
  • ②桟橋式係船岸は、杭で支持するため軟弱地盤にも適用できる。
  • ③矢板式係船岸は、控え工を必要としない型式となっている。
  • ④重力式係船岸は、壁体の自重を用いない型式である。
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正解 ②桟橋式係船岸は、杭で支持するため軟弱地盤にも適用できる。
解説
係留施設は、船を安全に接岸させて荷役や乗降を行うための施設です。岸壁の型式は、背後の土をどうやって支え、上に載る荷重をどうやって地盤へ伝えるかで分かれます。
桟橋式係船岸は、鋼管杭やコンクリート杭を海底の支持層まで打設し、その上に床版を渡した構造です。荷重を杭を通して深い支持層へ直接伝えるので、海底付近の地盤が軟弱でも成立します。また壁で背後の土を受け止める構造ではないため、土圧の問題が小さく、波が杭の間を通り抜けるので波力も受けにくいという特徴があります。
重力式係船岸は、ケーソンやコンクリートブロックなど重い壁体を据え、その自重と底面の摩擦で背後の土圧に抵抗する型式です。重い構造物を支えるため、良好な地盤が必要になります。
矢板式係船岸は、鋼矢板を地中に打ち込んで壁とし、上部をタイロッドで陸側の控え工につないで土圧に抵抗させる型式です。矢板だけでは背面の土圧を支えきれないため、控え工は原則として必要な要素です。
(根拠:港湾の施設の技術上の基準・同解説の係留施設に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「重力式係船岸は、軟弱な地盤であるほど有利になる型式である。」は誤りです。重い壁体の自重で抵抗する型式なので、それを支えられる良好な地盤が必要です。
「矢板式係船岸は、控え工を必要としない型式となっている。」も誤りです。矢板の根入れだけでは背面土圧に抵抗できないため、タイロッドで陸側の控え工と結んで支えるのが標準です。
「重力式係船岸は、壁体の自重を用いない型式である。」も誤りです。壁体の自重によって滑動と転倒に抵抗するのが、重力式という名称そのものの意味です。
問73-16

矢板式係船岸に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①タイロッドで矢板と控え工を結び、土圧に抵抗させている。
  • ②矢板は、根入れを設けずに背面の土圧を支える構造である。
  • ③控え工は、矢板の海側に設けて矢板を押さえる構造である。
  • ④矢板式は、重力式に比べて壁体の自重が大きい型式である。
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正解 ①タイロッドで矢板と控え工を結び、土圧に抵抗させている。
解説
矢板式係船岸は、鋼矢板を地中に連続して打ち込んで壁をつくり、その背後を埋め立てて岸壁とする型式です。壁体そのものは薄い鋼板なので、重力式のように自重で土圧に抵抗することはできません。では何で支えるのかというと、二つの仕組みを組み合わせます。
一つは根入れです。矢板を計画海底面より十分深くまで打ち込むと、地中に埋まった部分の前面の土が矢板を押し返し、下端側を固定するように働きます。根入れが不足すると矢板の下端が前へ動き出し、壁全体が倒れます。
もう一つが控え工です。矢板の上部からタイロッド(鋼製の引張材)を陸側へ水平に伸ばし、背後の地中に設けた控え杭や控え版につなぎます。背面の土圧で矢板が海側へ倒れようとすると、タイロッドが引っ張られ、控え工がそれを地盤に踏ん張って受け止めます。控え工が海側にあっては引き止める働きが成り立たないため、必ず矢板より陸側、しかも矢板の変形の影響を受けない十分に離れた位置に設けます。
この構造は壁体が軽く、材料も少なくて済むため、比較的経済的で施工も早いという利点があります。
(根拠:港湾の施設の技術上の基準・同解説の矢板式係船岸に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「矢板は、根入れを設けずに背面の土圧を支える構造である。」は誤りです。根入れ部の前面の土による抵抗が矢板の安定に不可欠であり、根入れなしでは成立しません。
「控え工は、矢板の海側に設けて矢板を押さえる構造である。」も誤りです。控え工はタイロッドで矢板を陸側へ引き止めるための構造なので、矢板より陸側に設けます。
「矢板式は、重力式に比べて壁体の自重が大きい型式である。」も誤りです。矢板式の壁体は鋼矢板であり、ケーソンやブロックを用いる重力式に比べて自重ははるかに小さくなります。
問83-16

浚渫船の特徴に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①グラブ浚渫船は、広い場所を平たんに仕上げるのに適している。
  • ②ポンプ浚渫船は、硬い岩盤の掘削に最も適した船である。
  • ③グラブ浚渫船は、狭い場所や岸壁近くの浚渫に適している。
  • ④ディッパー浚渫船は、軟らかい土砂の大量浚渫に用いられる。
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正解 ③グラブ浚渫船は、狭い場所や岸壁近くの浚渫に適している。
解説
浚渫船は、掘る土質、掘る場所の広さと形、掘った土砂の運び先によって使い分けます。それぞれの機械の仕組みを思い浮かべると、得意な場面が見えてきます。
グラブ浚渫船は、二枚貝のように開閉するつかみ具(グラブバケット)をクレーンで吊り下げ、海底の土砂をつかみ上げる方式です。つかむ位置をピンポイントで決められるので、岸壁のすぐそば、防波堤の際、狭い泊地や船だまりなど、大型の浚渫船が入れない場所での作業に向いています。ワイヤの長さを伸ばせばよいので、浚渫できる深さの制約も小さいのが特徴です。反面、一つかみごとの作業なので能率は高くなく、掘った跡は凹凸ができやすく、平たんな仕上げは苦手です。
ポンプ浚渫船は、先端のカッターで土をほぐしながら、大型ポンプで土砂を水と一緒に吸い上げ、排砂管で送り出す方式です。軟らかい土砂を大量に、しかも埋立地まで直接送れるため、浚渫と埋立てを同時に進める工事に適します。硬い岩盤は掘れません。
ディッパー浚渫船は、パワーショベルのような剛なアームで掘るため、硬い土質や岩盤の破砕後の掘削に用いられます。
(根拠:港湾工事に用いる作業船に関する技術資料の記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「グラブ浚渫船は、広い場所を平たんに仕上げるのに適している。」は誤りです。つかみ上げる作業のため掘跡に凹凸が残りやすく、広い面を平たんに仕上げる用途には向きません。
「ポンプ浚渫船は、硬い岩盤の掘削に最も適した船である。」も誤りです。ポンプ浚渫船は土砂を水と混ぜて吸い上げる方式であり、硬い岩盤には対応できません。
「ディッパー浚渫船は、軟らかい土砂の大量浚渫に用いられる。」も誤りです。ディッパー浚渫船は硬い土質を掘るための船で、軟らかい土砂の大量浚渫にはポンプ浚渫船が適します。
問93-16

浚渫船の作業に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①ポンプ浚渫船は、土砂を水と混ぜて排砂管で送ることができる。
  • ②ポンプ浚渫船は、浚渫土を埋立てに用いる工事に適している。
  • ③ドラグサクション浚渫船は、自航して航路の維持に用いられる。
  • ④グラブ浚渫船は、浚渫の深さに関する制約が最も大きくなる。
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正解 ④グラブ浚渫船は、浚渫の深さに関する制約が最も大きくなる。
解説
グラブ浚渫船は、クレーンからワイヤでつり下げたグラブバケットを海底へ落とし、土砂をつかんで引き上げる方式です。掘削の仕組みが「吊り下げて、つかんで、上げる」だけなので、深いところを掘りたければワイヤを長く繰り出せばよく、機械の構造そのものを大きく変える必要がありません。このため、浚渫できる深さに対する制約は各種の浚渫船のなかでむしろ小さい部類に入ります。したがって「浚渫の深さに関する制約が最も大きくなる」という記述は誤りです。
グラブ浚渫船の本当の弱点は、深さではなく能率と仕上がりにあります。一つかみずつの断続的な作業なので大量浚渫には時間がかかり、掘跡には凹凸が残りやすくなります。その代わり、狭い場所や構造物に近接した場所でも作業できるという、他の浚渫船にない強みがあります。
これに対しポンプ浚渫船は、土砂を水と混ぜたスラリーとして吸い上げ、排砂管で遠方まで圧送できるので、浚渫と埋立てを一連の作業として進められます。ドラグサクション浚渫船は、船底から下ろした吸込み管で航行しながら土砂を吸い上げ、船倉にためる自航式の浚渫船で、航路の維持浚渫に広く使われます。
(根拠:港湾工事に用いる作業船に関する技術資料の記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「ポンプ浚渫船は、土砂を水と混ぜて排砂管で送ることができる。」は正しい記述です。土砂を流体として扱えるため、長い距離の搬送が可能になります。
「ポンプ浚渫船は、浚渫土を埋立てに用いる工事に適している。」も正しく、浚渫した土砂をそのまま埋立地へ送れるため、浚渫と埋立てを同時に進められます。
「ドラグサクション浚渫船は、自航して航路の維持に用いられる。」も正しい記述です。自ら航行しながら浚渫できるため、船舶の通航を大きく妨げずに航路の水深を保てます。
問103-16

浚渫工事の施工管理に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①深浅測量は、浚渫が完了したあとにだけ行えば足りる。
  • ②深浅測量には、音響測深機が広く用いられている。
  • ③浚渫後の水深は、所定の深さが確保されたかを確認する。
  • ④土質は、浚渫船の型式を選ぶ際の重要な条件となる。
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正解 ①深浅測量は、浚渫が完了したあとにだけ行えば足りる。
解説
浚渫工事は、水面下で行われるため作業の状況を目で確かめられません。そこで施工管理の柱になるのが深浅測量(海底の水深を測る測量)です。
この測量は、工事の前と後の両方で行う必要があります。着工前の測量は、現在の海底の形を把握して浚渫すべき土量を算出し、あわせて浚渫船の型式や作業の順序を決めるための基礎資料になります。ここを省くと、そもそもどれだけ掘ればよいのかが分かりません。工事の途中でも測量を行い、掘り残しや掘り過ぎがないかを確かめながら進めます。そして完了後の測量で、所定の水深が全域で確保されたかを確認し、実際の浚渫土量を確定します。したがって「浚渫が完了したあとにだけ行えば足りる」という記述は誤りです。
測量には音響測深機が広く用いられます。船から海底へ音波を発射し、反射して戻るまでの時間から水深を求める装置で、広い範囲を効率よく測れます。近年は多数のビームを扇状に発射して面的に測るものも使われます。
なお、浚渫する土の性質は工法選定を左右する最重要の条件です。軟らかい土砂か、硬い土質か、岩かによって、選ぶべき浚渫船がまったく変わります。
(根拠:港湾工事における浚渫の施工管理に関する技術資料の記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「深浅測量には、音響測深機が広く用いられている。」は正しい記述です。音波の往復時間から水深を求める方法で、広範囲を短時間で測定できます。
「浚渫後の水深は、所定の深さが確保されたかを確認する。」も正しく、掘り残しがあれば船舶の安全な航行に支障をきたすため、完了後の確認は不可欠です。
「土質は、浚渫船の型式を選ぶ際の重要な条件となる。」も正しい記述です。軟らかい土砂ならポンプ浚渫船、硬い土質ならディッパー浚渫船というように、土質が選定を決定づけます。

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