2026年版・3-14

トンネルの覆工・計測・補助工法の一問一答

1級土木施工管理技士「専門土木」から、トンネルの覆工・計測・補助工法に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-14

山岳トンネルの覆工の役割に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①覆工は、掘削直後の地山の緩みを直接抑えるために設けている。
  • ②覆工は、内空断面の確保と構造物としての機能保持を担っている。
  • ③覆工は、地山からの湧水を積極的に内空へ導く役割をもっている。
  • ④覆工は、支保工の一部として掘削と同時に施工するものである。
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正解 ②覆工は、内空断面の確保と構造物としての機能保持を担っている。
解説
山岳トンネルの施工では、役割の異なる二つの構造が順に登場します。掘削直後に地山の緩みを止める支保工(吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼アーチ支保工)と、その後に内側へ設ける覆工です。この二つを混同しないことが理解の出発点になります。
覆工は、支保工によって地山が安定したあと、その内側に場所打ちコンクリートで築くトンネルの本体構造です。役割は主に次のとおりです。第一に、必要な内空断面を確保し、車両や列車が走る空間の形を決めること。第二に、供用期間を通じてトンネルの構造としての機能を保つこと。支保工は長い年月のうちに腐食や劣化が進む可能性があるため、その荷重を長期的に受け持つ備えとしての意味があります。第三に、防水工と組み合わせて漏水を防ぐこと。第四に、表面を平滑にして換気時の風の抵抗を減らし、照明の反射や美観を確保することです。
覆工は掘削と同時には施工しません。地山の変形が収まる前に打つと、覆工に予期しない大きな荷重が作用し、ひび割れや変状の原因になります。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の覆工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「覆工は、掘削直後の地山の緩みを直接抑えるために設けている。」は誤りです。掘削直後の緩みを抑えるのは吹付けコンクリートやロックボルトなどの支保工の役割で、覆工はその後に施工します。
「覆工は、地山からの湧水を積極的に内空へ導く役割をもっている。」も誤りです。湧水は防水シートと裏面排水工で覆工の背面を伝わせて排水溝へ導くのであり、内空へ漏らさないことが目的です。
「覆工は、支保工の一部として掘削と同時に施工するものである。」も誤りです。覆工は支保工とは別の構造であり、地山の変形が収束したことを確かめてから施工します。
問23-14

覆工コンクリートの打込み時期に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①覆工は、掘削の直後に支保工に先立って打ち込むのが原則である。
  • ②覆工は、内空変位が増加を続けている時期に打ち込む。
  • ③覆工は、計測をせずに一定の距離をおいて打ち込んでよい。
  • ④覆工は、内空変位が収束したことを確かめてから打ち込む。
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正解 ④覆工は、内空変位が収束したことを確かめてから打ち込む。
解説
トンネルを掘ると、周囲の地山は内側へ向かって少しずつ動きます。この動きの大きさを測ったものが内空変位で、掘削直後は急に進み、支保工が効いてくるにつれて次第に緩やかになり、やがて止まります。この「止まった」状態を収束といいます。
覆工コンクリートを打つ時期は、この収束を確認してからというのが原則です。理由は二つあります。第一に、変位が進んでいる途中で覆工を打つと、まだ動き続ける地山から覆工へ大きな荷重が加わり、まだ強度の出ていないコンクリートにひび割れや変状が生じるためです。第二に、覆工は本来、長期にわたる構造の機能保持を担う部材であり、掘削直後の大きな地山の変形を受け持つ設計にはなっていないためです。
収束したかどうかの判断は、思い込みや経験だけで行うのではなく、内空変位測定と天端沈下測定の結果を時間の経過で整理し、変位の速度が十分小さくなったことを数値で確かめて行います。膨張性地山などで収束が遅い場合は、インバートを早期に施工して断面を閉合し、変形を抑えたうえで覆工に移ります。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の覆工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「覆工は、掘削の直後に支保工に先立って打ち込むのが原則である。」は誤りです。掘削直後に必要なのは吹付けコンクリートなどの支保工であり、覆工を先に打つことはできません。
「覆工は、内空変位が増加を続けている時期に打ち込む。」も誤りです。変位が続いている時期に打つと、硬化前後の覆工に過大な荷重が作用し、ひび割れの原因になります。
「覆工は、計測をせずに一定の距離をおいて打ち込んでよい。」も誤りです。収束の判断は計測結果に基づいて行うもので、距離だけを目安に決めるものではありません。
問33-14

覆工コンクリートの施工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①コンクリートは、左右の高さの差が生じないよう対称に打ち込む。
  • ②コンクリートは、片側から一気に打ち上げると型枠が安定する。
  • ③型枠の脱型は、打込み後の経過時間だけで判断してよいとされる。
  • ④天端部は、締固めができないため空隙が残ってもやむを得ない。
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正解 ①コンクリートは、左右の高さの差が生じないよう対称に打ち込む。
解説
覆工コンクリートは、トンネルの断面形状に合わせた鋼製の移動式型枠(セントル)を据え付け、その外側の空間へコンクリートを打ち込んで築きます。ここで最も注意すべきなのが、型枠に作用する力のつり合いです。
まだ固まっていないコンクリートは液体に近い状態なので、打ち込んだ高さに応じた側圧が型枠を押します。左右のどちらか一方だけを先に打ち上げると、その側からの側圧だけが大きくなり、型枠がもう一方へ押されて動きます。型枠がずれれば、覆工の厚さが設計と変わり、断面の形が狂い、ひどい場合には型枠そのものが変形・崩壊します。そこで、左右の打上がり高さの差ができないよう、両側を交互に対称に打ち込んでいきます。
天端部は、上向きの狭い空間となるためコンクリートが行き渡りにくく、空隙が残りやすい場所です。そのままにすると背面に空洞が残り、覆工が地山と密着せずに荷重を受け持てなくなるため、天端部へは圧入によって確実に充てんし、必要に応じて裏込め注入を行います。
型枠の脱型は、覆工が自重と作用する荷重に耐えられる強度に達したことを確認して行います。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の覆工の施工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「コンクリートは、片側から一気に打ち上げると型枠が安定する。」は誤りです。片側だけに側圧が集中して型枠が押し動かされ、覆工厚の不足や型枠の変形を招きます。
「型枠の脱型は、打込み後の経過時間だけで判断してよいとされる。」も誤りです。強度の発現は気温や配合で変わるため、時間ではなく所定の強度に達したことを確認して判断します。
「天端部は、締固めができないため空隙が残ってもやむを得ない。」も誤りです。天端の空隙は背面空洞となって覆工の機能を損なうため、圧入や裏込め注入で確実に充てんします。
問43-14

山岳トンネルの防水工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①防水シートは、吹付けコンクリート面の凹凸の上へ直接張り付ける。
  • ②防水シートは、覆工コンクリートの内空側に張るものである。
  • ③防水シートの下には、緩衝材を敷いて損傷を防ぐようにする。
  • ④湧水は、防水シートによって完全に封じ込めるのが原則である。
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正解 ③防水シートの下には、緩衝材を敷いて損傷を防ぐようにする。
解説
山岳トンネルでは、地山の割れ目を伝って湧水が出ます。この水が覆工の表面ににじみ出ると、路面の凍結、設備の腐食、内装材の汚損といった問題を引き起こします。そこで、吹付けコンクリートと覆工コンクリートの間に防水シートを挟み、水を覆工の内側へ通さないようにします。
ここで問題になるのが、吹付けコンクリート面の状態です。吹付け面はもともと地山の凹凸を反映して粗く、ロックボルトの頭部や金網の切れ端などが突き出ていることもあります。この上へ防水シートを直接張ると、突起がシートを突き破ったり、覆工コンクリートの側圧でシートが引き伸ばされて破れたりします。そこで、防水シートの下(吹付け面側)に不織布などの緩衝材を敷いて凹凸をならし、シートを保護します。緩衝材は同時に、シートの背面を流れ下る水の通り道としても働きます。
大切なのは、水を止めることが目的ではなく、水を覆工の背面に集めて安全に排除することが目的だという点です。無理に封じ込めると背面の水圧が上がり、覆工に予期しない外力が作用します。集めた水は、側壁の裏面排水管を通して坑内の排水溝へ導きます。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の防水工・排水工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「防水シートは、吹付けコンクリート面の凹凸の上へ直接張り付ける。」は誤りです。突起や凹凸でシートが破損するため、必ず緩衝材を介して張ります。
「防水シートは、覆工コンクリートの内空側に張るものである。」も誤りです。防水シートは吹付けコンクリートと覆工の間、すなわち覆工の背面側に設けます。
「湧水は、防水シートによって完全に封じ込めるのが原則である。」も誤りです。封じ込めると背面水圧が上昇して覆工に外力が加わるため、背面に導いて排水するのが原則です。
問53-14

山岳トンネルのインバートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①インバートは、地山が良好なほど早期に設ける必要がある。
  • ②インバートは、断面を閉合して地山の変形を抑えるために設ける。
  • ③インバートは、トンネルの天端部に設ける覆工のことである。
  • ④膨張性地山では、インバートを省略することが標準となっている。
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正解 ②インバートは、断面を閉合して地山の変形を抑えるために設ける。
解説
インバートとは、トンネル断面の底部に設ける、上に向かって弧を描くコンクリートの部材です。アーチ状の上半部と組み合わさることで、トンネルの断面が円環のようにひとつながりに閉じます。この状態を断面の閉合といいます。
なぜ閉じることが重要なのでしょうか。上半のアーチだけでは、両側の脚部が外側へ開こうとする力を止められません。底が開いたままだと、脚部が沈下したり、底面が押し上げられたり(盤ぶくれ)して、内空断面が確保できなくなります。インバートで底をつなぐと、脚部が外へ開くのを押さえ、断面全体が一つのリングとして地山の圧力に抵抗できるようになります。
したがってインバートは、地山が悪いほど、また地山の変形が大きく続くほど、早い時期に設ける必要があります。膨張性地山のように時間とともに大きな変形が進む地山では、上半の掘削からできるだけ短い距離・短い時間でインバートまで施工して閉合することが、変形を止める決め手になります。地山が良好で変形がほとんど生じない場合には、インバートを設けないこともあります。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)のインバートに関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「インバートは、地山が良好なほど早期に設ける必要がある。」は逆です。早期閉合が求められるのは地山が不良で変形が大きい場合であり、良好な地山では設置しないこともあります。
「インバートは、トンネルの天端部に設ける覆工のことである。」も誤りです。インバートは断面の底部に設ける部材であり、天端部ではありません。
「膨張性地山では、インバートを省略することが標準となっている。」も誤りです。膨張性地山こそ早期にインバートを施工して断面を閉合し、変形を抑える必要があります。
問63-14

山岳トンネルの計測の区分に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①内空変位測定は、代表断面のみで行う計測Bの項目である。
  • ②坑内観察調査は、計測Bに区分される特別な計測とされる。
  • ③天端沈下測定は、地表面沈下測定と同じく計測Bに含まれる。
  • ④内空変位測定と天端沈下測定は、計測Aの主要な項目である。
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正解 ④内空変位測定と天端沈下測定は、計測Aの主要な項目である。
解説
山岳トンネルでは、地山と支保工の挙動を数値でつかみながら施工を進めます。この計測は、実施する範囲と目的の違いから、計測Aと計測Bの二つに区分されています。
計測Aは、施工の安全を日常的に確かめるための計測で、原則としてすべての施工区間で継続して行います。項目は、切羽や坑内の状態を目で見て記録する坑内観察調査、掘削面が内側へどれだけ動いたかを測る内空変位測定、天端がどれだけ下がったかを測る天端沈下測定、支保工の脚部の沈下測定です。いずれも比較的簡単な機器で測れ、結果をすぐ施工に反映できるのが特徴です。
計測Bは、地山と支保工の力学的な挙動をより詳しく把握するための計測で、地質条件や施工条件を代表する断面を選んで実施します。項目には、地山内部の変位を測る地中変位測定、ロックボルト軸力測定、吹付けコンクリートや鋼アーチ支保工の応力測定、地表面沈下測定などがあります。設置に手間と費用がかかるため、必要な断面に絞って行うわけです。
要点は「日常的に全区間で行うのが計測A、代表断面で詳しく行うのが計測B」という区分の考え方です。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の計測に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「内空変位測定は、代表断面のみで行う計測Bの項目である。」は誤りです。内空変位測定は施工の安全確認に直結する基本の項目であり、全区間で継続して行う計測Aに区分されます。
「坑内観察調査は、計測Bに区分される特別な計測とされる。」も誤りです。坑内観察調査は最も基本的な日常の確認であり、計測Aの項目です。
「天端沈下測定は、地表面沈下測定と同じく計測Bに含まれる。」も誤りです。地表面沈下測定は計測Bですが、天端沈下測定は計測Aの項目であり、両者の区分は異なります。
問73-14

山岳トンネルの計測Bに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①ロックボルト軸力測定は、代表断面で行う計測Bの項目である。
  • ②地中変位測定は、全断面で日常的に行う計測Aの項目である。
  • ③吹付けコンクリート応力測定は、計測Aに区分されるものである。
  • ④計測Bは、地山条件にかかわらず全断面で必ず実施している。
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正解 ①ロックボルト軸力測定は、代表断面で行う計測Bの項目である。
解説
計測Bは、地山と支保工がどのように力を分担しているかを詳しく調べるための計測です。掘削面の見えるところを測る計測Aに対し、計測Bは地山の内部や支保部材の中で起きていることを直接測るのが特徴です。
その代表がロックボルト軸力測定です。ロックボルトにひずみ計を取り付けて、ボルトの各位置に生じている軸方向の力を測ります。この結果から、地山のどの深さでずれが生じているのか、ロックボルトの長さや本数が妥当かどうかを判断できます。同様に、吹付けコンクリート応力測定や鋼アーチ支保工応力測定は、支保部材にどれだけの応力が生じているかを測り、支保パターンの妥当性を確かめるために行います。地中変位測定は、地山内部に変位計を挿入して、掘削面からどの深さまで地山が緩んでいるかを把握するものです。
これらは計器の設置と維持に手間と費用がかかるため、すべての断面で行うことはせず、地質条件や施工条件を代表する断面、あるいは計測Aの結果から注意が必要と判断された区間を選んで実施します。この点が、全区間で日常的に行う計測Aとの決定的な違いです。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の計測に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「地中変位測定は、全断面で日常的に行う計測Aの項目である。」は誤りです。地中変位測定は地山内部に計器を設置する必要があり、代表断面で行う計測Bの項目です。
「吹付けコンクリート応力測定は、計測Aに区分されるものである。」も誤りです。支保部材の応力測定は計測Bに区分されます。計測Aは坑内観察調査、内空変位測定、天端沈下測定、脚部沈下測定です。
「計測Bは、地山条件にかかわらず全断面で必ず実施している。」も誤りです。計測Bは代表断面を選んで実施するもので、全断面で必ず行うものではありません。
問83-14

山岳トンネルの計測の実施に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①計測の初期値は、掘削から日数が経ってから取得する。
  • ②計測の頻度は、変位の大小にかかわらず一定として行う。
  • ③計測断面は、掘削後速やかに設置して初期値を測定する。
  • ④計測結果は、工事完了後にまとめて評価すれば足りる。
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正解 ③計測断面は、掘削後速やかに設置して初期値を測定する。
解説
トンネルの計測は、記録を残すために行うのではなく、施工をその場で判断するために行います。この目的から、実施のしかたには三つの原則が導かれます。
第一は、できるだけ早く初期値を取ることです。地山の変位は掘削直後が最も大きく、時間とともに緩やかになります。初期値を取るのが遅れると、その間に生じた最も大きな変位が測定から漏れ、実際より小さな変位しか記録されません。その結果、危険な状態にあるのに「変位は小さい」と誤って判断してしまいます。計測断面は掘削後速やかに設置し、直ちに初期値を測定します。
第二は、頻度を変位の状況に応じて変えることです。掘削直後や変位の進行が速い時期は測定間隔を短くし、収束に向かって落ち着いてきたら間隔を延ばします。一定間隔に固定すると、肝心な時期の変化を捉えられません。
第三は、結果を直ちに整理して施工に反映することです。計測値を時間や切羽からの距離で整理し、変位が管理基準値に近づいていれば、支保パターンの強化、補助工法の追加、インバートによる早期閉合といった対策を打ちます。工事完了後にまとめて評価するのでは、判断材料としての意味がありません。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の計測に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「計測の初期値は、掘削から日数が経ってから取得する。」は誤りです。初期値の取得が遅れると、掘削直後の最も大きな変位を測り落とし、地山の挙動を過小に評価することになります。
「計測の頻度は、変位の大小にかかわらず一定として行う。」も誤りです。変位の進行が速い時期は測定間隔を短くし、収束に向かえば延ばすのが原則です。
「計測結果は、工事完了後にまとめて評価すれば足りる。」も誤りです。計測は施工中の判断のために行うものであり、結果は直ちに整理して支保や施工方法へ反映します。
問93-14

山岳トンネルの補助工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①鏡ボルトは、トンネル天端の崩落を防ぐために用いる工法である。
  • ②フォアポーリングは、切羽前方の天端部を先受けする工法である。
  • ③水抜きボーリングは、切羽の湧水を増やして地山を緩めていく。
  • ④脚部補強工は、天端部の沈下とは無関係に行われる工法である。
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正解 ②フォアポーリングは、切羽前方の天端部を先受けする工法である。
解説
補助工法は、支保工だけでは切羽や天端が保たないときに、掘る前の地山にあらかじめ手を打っておく工法の総称です。何を安定させたいのかによって使い分けます。
フォアポーリングは、天端の安定を目的とする代表的な工法です。切羽の上部から前方斜め上へ向けて鋼棒や鋼管を打設し、これから掘る区間の天端の地山をあらかじめ支えておきます。傘を差すように前方を先受けするので、掘削したときに天端が抜け落ちるのを防げます。より長い区間を確実に支えたい場合は、長尺の鋼管を打ち込んで注入材を充てんする長尺鋼管フォアパイリングを用います。
これに対して鏡ボルトは、切羽の面(鏡面)そのものが前方へ押し出されて崩れるのを防ぐため、切羽から前方へ向けて水平に近い方向で打設するボルトです。鏡吹付けコンクリートと併用されます。天端ではなく切羽面が対象である点が、フォアポーリングとの違いです。
脚部補強工は、鋼アーチ支保工の脚部が沈下するのを防ぐ工法です。脚部が沈めば断面全体が下がるため、結果として天端沈下にも直結します。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の補助工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「鏡ボルトは、トンネル天端の崩落を防ぐために用いる工法である。」は対象が誤りです。鏡ボルトは切羽の鏡面が押し出されて崩れるのを防ぐ工法であり、天端の先受けを行うのはフォアポーリング等です。
「水抜きボーリングは、切羽の湧水を増やして地山を緩めていく。」も誤りです。水抜きボーリングは切羽前方の地下水を先に抜いて水位と水圧を下げ、切羽を安定させる工法で、地山を緩めることが目的ではありません。
「脚部補強工は、天端部の沈下とは無関係に行われる工法である。」も誤りです。脚部が沈下すれば支保工全体が下がり天端沈下として現れるため、両者は密接に関係します。
問103-14

山岳トンネルの湧水対策と地山の先受けに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①水抜きボーリングは、切羽前方の地下水位を下げていく工法である。
  • ②ディープウェルは、深い井戸から揚水して水位を低下させる。
  • ③パイプルーフは、鋼管を並べて地山を先受けする工法である。
  • ④薬液注入は、地山の透水性を高めて湧水を分散させる工法である。
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正解 ④薬液注入は、地山の透水性を高めて湧水を分散させる工法である。
解説
トンネルの湧水対策は、大きく「水を抜いて水位・水圧を下げる」方向と、「水の通り道をふさいで止める」方向の二つに分かれます。どちらを選ぶかは、湧水量、周辺の井戸や沢への影響、地山の性質によって決めます。
薬液注入は後者にあたります。地山の割れ目や砂層のすき間に薬液を注入して固結させ、水の通り道をふさぐことで、切羽への湧水を減らします。同時に地山の強度も高まるため、切羽の安定にも役立ちます。したがって「地山の透水性を高めて湧水を分散させる工法である」という記述は、目的も効果も正反対であり誤りです。透水性を高めれば湧水はかえって増え、地山の細粒分が流出して切羽が不安定になります。
一方、水を抜く方向の工法が水抜きボーリングやディープウェル、ウェルポイントです。水抜きボーリングは切羽から前方へ孔をあけて地下水を先に排除する方法、ディープウェルは深い井戸を設けてポンプで揚水し地下水位そのものを下げる方法です。
なお、パイプルーフは湧水対策ではなく、鋼管をアーチ状に並べて打設し地山を先受けする工法で、坑口部や土かぶりの小さい区間で地表面沈下を抑えるために用います。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の補助工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「水抜きボーリングは、切羽前方の地下水位を下げていく工法である。」は正しい記述です。掘削する前に前方の水を抜くことで、切羽への突発的な出水を防ぎ、地山の安定を確保します。
「ディープウェルは、深い井戸から揚水して水位を低下させる。」も正しく、透水性の高い地盤で広い範囲の地下水位を下げるのに有効です。
「パイプルーフは、鋼管を並べて地山を先受けする工法である。」も正しい記述で、トンネル断面の外周に沿って鋼管を並べ、屋根のように地山を支えます。

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