2026年版・3-13

山岳トンネルの掘削と支保工の一問一答

1級土木施工管理技士「専門土木」から、山岳トンネルの掘削と支保工に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-13

山岳トンネルの掘削工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①全断面工法は、地質が不良な大断面のトンネルに適している。
  • ②ベンチカット工法は、切羽を1回で全断面を掘削する工法である。
  • ③ベンチカット工法は、上半と下半に分けて掘り進める工法である。
  • ④導坑先進工法は、地山が安定した小断面にのみ用いられている。
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正解 ③ベンチカット工法は、上半と下半に分けて掘り進める工法である。
解説
山岳トンネルの掘削工法は、「切羽(掘り進む先端の地山の面)を一度にどこまで掘るか」で分かれます。一度に掘る面積が大きいほど作業は速く進みますが、そのぶん切羽が自立していなければならず、地山への要求が厳しくなります。この関係が工法選定の軸です。
ベンチカット工法は、断面を上半と下半に上下2段に分け、上半を先行して掘り、階段(ベンチ)状に遅れて下半を掘り広げていく工法です。一度に掘る面積が小さくなるので切羽が自立しやすく、上半の切羽が不安定なときはベンチを短くして早く断面を閉じる、地山が良ければベンチを長くとって作業帯を広く使う、というように地山に合わせて調整できます。この柔軟さから、山岳トンネルで最も広く用いられています。
これに対し全断面工法は、断面全体を一度に掘る工法で、地山が安定していて断面が比較的小さい場合に適します。地質が不良な大断面では切羽が自立しないため採用できません。導坑先進工法は、先に小さな坑道(導坑)を掘って地質を確かめ、必要な処置をしてから本坑を広げる工法で、地山が悪い場合や大断面で用いられます。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の山岳工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「全断面工法は、地質が不良な大断面のトンネルに適している。」は誤りです。全断面工法は切羽が自立することが前提であり、適用できるのは地山が安定した中小断面のトンネルです。
「ベンチカット工法は、切羽を1回で全断面を掘削する工法である。」も誤りで、これは全断面工法の説明です。ベンチカット工法は上下に分割して掘ります。
「導坑先進工法は、地山が安定した小断面にのみ用いられている。」も誤りです。導坑先進工法は、地質が不良な場合や断面が大きく一度に掘れない場合に選ばれる工法です。
問23-13

山岳トンネルの掘削方式に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①発破掘削は、自由断面掘削機では掘れない硬岩に用いられる。
  • ②自由断面掘削機は、硬岩の掘削に最も適した機械に当たる。
  • ③発破掘削は、機械掘削に比べて騒音と振動が小さい方式である。
  • ④TBMは、断面形状を自由に変えつつ掘り進める機械である。
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正解 ①発破掘削は、自由断面掘削機では掘れない硬岩に用いられる。
解説
山岳トンネルの掘削方式は、大きく発破掘削と機械掘削に分かれます。選定の基準は、まず地山の硬さ(岩の強度)であり、次に周辺環境への影響です。
発破掘削は、切羽に多数の孔をあけて火薬を装てんし、爆破によって岩を破砕する方式です。岩が硬いほど機械では歯が立たなくなるため、硬岩から中硬岩では発破掘削が主体になります。一方で、爆破に伴う騒音と振動は避けられず、市街地や近接構造物のある区間では大きな制約となります。
機械掘削のうち自由断面掘削機(ブーム式の掘削機で、先端の回転するカッターヘッドを動かして地山を削る機械)は、断面形状を自由に変えられ、騒音・振動が小さいという長所がありますが、削れる岩の硬さに限界があり、軟岩から中硬岩までが守備範囲です。TBM(トンネルボーリングマシン)は円形の断面を機械で一気に掘り進める方式で、施工速度は高いものの、断面は原則として円形に固定され、途中で形を変えることはできません。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の掘削方式に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「自由断面掘削機は、硬岩の掘削に最も適した機械に当たる。」は誤りです。自由断面掘削機が対応できるのは軟岩から中硬岩程度までで、硬岩では掘進速度が落ち、カッタービットの摩耗も激しくなります。
「発破掘削は、機械掘削に比べて騒音と振動が小さい方式である。」も逆です。発破は瞬間的に大きな騒音と振動を発生させるため、環境上の制約が厳しい区間では機械掘削が選ばれます。
「TBMは、断面形状を自由に変えつつ掘り進める機械である。」も誤りです。断面形状を自由に変えられるのは自由断面掘削機であり、TBMの掘削断面は円形に定まります。
問33-13

山岳トンネルのベンチカット工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①ロングベンチは、地山が悪く早期の断面閉合が必要な場合に使う。
  • ②ショートベンチは、地山条件の変化に対応しやすい標準的な形だ。
  • ③ミニベンチは、地山が良好で施工の能率を上げたい場合に用いる。
  • ④ベンチ長は、地山の良否にかかわらず一定とするのが原則である。
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正解 ②ショートベンチは、地山条件の変化に対応しやすい標準的な形だ。
解説
ベンチカット工法は、上半の切羽と下半の切羽の距離、すなわちベンチ長をどう取るかで性格が変わります。ここを理解すると、名前の違いが自然に整理できます。
ベンチ長を長く取るのがロングベンチです。上半と下半の作業がお互いに干渉せず、それぞれの切羽で並行して作業できるため能率が高くなりますが、断面が閉じる(インバートまで含めて円環がつながる)までに時間がかかるので、地山が変形しやすい場合には向きません。
逆にベンチ長を極端に短くするのがミニベンチで、上半のすぐ後ろで下半を掘り、早く断面を閉合します。地山の変形を早く止められるので、膨張性地山や土砂地山のように悪い条件で選ばれますが、狭い場所で上下の作業が重なるため能率は落ちます。
その中間がショートベンチです。断面閉合までの時間と作業能率のつり合いが取りやすく、しかも地山が悪くなればベンチを詰め、良くなれば延ばす、という調整が同じ工法の枠内でできます。このため地質が変化しやすい山岳トンネルの標準的な形として、最も多く用いられています。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)のベンチカット工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「ロングベンチは、地山が悪く早期の断面閉合が必要な場合に使う。」は誤りです。ロングベンチは断面が閉じるまでに時間がかかるため、早期閉合が必要な場合にはミニベンチや多段ベンチを選びます。
「ミニベンチは、地山が良好で施工の能率を上げたい場合に用いる。」も逆です。ミニベンチは能率よりも早期の断面閉合を優先する形で、膨張性地山など条件の悪い地山で用います。
「ベンチ長は、地山の良否にかかわらず一定とするのが原則である。」も誤りです。ベンチ長は地山条件や計測結果に応じて変更するもので、一定に固定するものではありません。
問43-13

山岳トンネルの導坑先進工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①導坑は、必ずトンネル断面の中央部だけに設けるものである。
  • ②側壁導坑先進工法は、地山が良好な小断面で採用されている。
  • ③導坑先進工法は、切羽の数が少なく施工能率が高い工法である。
  • ④導坑は、地質の確認や湧水の排除を先行して行う役割ももつ。
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正解 ④導坑は、地質の確認や湧水の排除を先行して行う役割ももつ。
解説
導坑先進工法は、本坑を掘る前に、断面の一部に小さな坑道(導坑)を先に掘り進める工法です。地山が悪い場合や、断面が大きくて一度には掘れない場合に用いられます。
この工法の値打ちは、掘削の分割そのものだけではありません。導坑を先に掘ることで、これから本坑を掘る区間の地質を実際に目で確かめられ、切羽の自立性や湧水の状況を前もって把握できます。予想と違う地質が現れたときも、本坑を掘る前に支保の仕様や補助工法を見直せます。また湧水が多い地山では、導坑が排水路の役目を果たし、水を抜いてから本坑を掘れるので、切羽の安定が大きく改善します。導坑の中から先進ボーリングや薬液注入などの処置を行うこともできます。
導坑を設ける位置は、目的によって選びます。両側の脚部を先行して固める側壁導坑先進工法、断面の下部に設けて排水と資材運搬に使う底設導坑先進工法などがあり、中央部に限られるものではありません。
切羽が複数に分かれるため作業は複雑になり、施工能率は全断面工法などに比べて低くなります。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の導坑先進工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「導坑は、必ずトンネル断面の中央部だけに設けるものである。」は誤りです。側壁部や底部など、目的に応じてさまざまな位置に設けます。
「側壁導坑先進工法は、地山が良好な小断面で採用されている。」も誤りです。この工法は、地山が軟弱で支保工の脚部の沈下が心配される場合や、断面が大きい場合に、先に側壁部を固める目的で用います。
「導坑先進工法は、切羽の数が少なく施工能率が高い工法である。」も誤りです。断面を分割するため切羽の数はむしろ増え、作業が輻輳して施工能率は下がります。
問53-13

山岳トンネルの吹付けコンクリートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①掘削後できるだけ早く、地山に密着するように吹き付ける。
  • ②はね返りを減らすため、ノズルを吹付け面に斜めに向ける。
  • ③掘削面の凹凸は、そのまま残して薄く吹き付けるのがよい。
  • ④地山の変形が収まってから、時間をおいて吹き付けるとよい。
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正解 ①掘削後できるだけ早く、地山に密着するように吹き付ける。
解説
トンネルを掘ると、それまで周囲の岩に押さえられてつり合っていた地山の力の流れが崩れ、掘削面のまわりの地山が緩み始めます。緩みは時間とともに進むので、支保工の効果は「どれだけ早く設けるか」で大きく変わります。吹付けコンクリートを掘削後できるだけ早く施工するのは、この緩みが進む前に地山を押さえるためです。
吹付けコンクリートの働きは主に三つあります。第一に、掘削面を覆って地山の緩みと風化・剥落を防ぐこと。第二に、掘削面の凹凸を埋めて地山と密着することで、力が一点に集中するのを避け、応力を滑らかに伝えること。第三に、リング状に閉じることで、地山の変形に抵抗する部材として働くことです。とくに二番目が重要で、凹凸を残したまま薄く吹き付けると、突出部だけに力が集中して吹付け層が割れてしまいます。
施工では、はね返り(リバウンド)をできるだけ少なくすることが品質と経済性の両面で大切です。そのためノズルは吹付け面に対して直角に向け、適正な距離を保ちます。斜めに向けると材料が跳ね返りやすく、付着も悪くなります。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の吹付けコンクリートに関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「はね返りを減らすため、ノズルを吹付け面に斜めに向ける。」は誤りです。斜めに吹き付けると材料が面に沿って跳ね、はね返り率が増えて付着も低下します。直角に向けるのが原則です。
「掘削面の凹凸は、そのまま残して薄く吹き付けるのがよい。」も誤りです。凹凸を埋めて密着させないと応力が集中し、吹付け層の割れや剥離を招きます。
「地山の変形が収まってから、時間をおいて吹き付けるとよい。」も誤りです。時間をおくほど地山の緩みが進み、支保の効果が下がります。掘削後速やかに施工します。
問63-13

山岳トンネルのロックボルトに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①ロックボルトは、トンネル壁面に平行に打設するのが原則である。
  • ②ロックボルトは、吹付けコンクリートを地山に留める部材である。
  • ③ロックボルトは、亀裂を挟んだ地山を締め付けて一体化させる。
  • ④定着方式は、機械式のもののみが認められているものである。
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正解 ③ロックボルトは、亀裂を挟んだ地山を締め付けて一体化させる。
解説
ロックボルトは、トンネルの壁面から地山の内部へ向けて打ち込む棒状の部材です。ここで大切なのは、ロックボルトは「地山をぶら下げて支える」道具ではなく、「地山そのものを強い構造体に変える」道具だという点です。
掘削面のまわりの岩は、多くの場合いくつもの亀裂で細かく分かれています。そのままでは、亀裂を境にして岩がずれたり、開いて落ちたりします。そこへ亀裂を貫くようにロックボルトを打ち込んで定着させると、亀裂をまたいで岩どうしが締め付けられ、ずれに対する抵抗が生まれます。こうして緩んだ岩が一体の岩盤として働くようになり、トンネルの周囲に自分自身で荷重を支えるアーチ(地山アーチ)が形成されます。これがロックボルトの本来の効果です。
亀裂を確実に貫くためには、打設方向が重要です。原則として掘削面(トンネル壁面)に直角に打設します。壁面に平行では、亀裂をまたぐことも地山の内部へ届くこともできません。
定着方式には、ボルト全長をモルタルや樹脂で地山に固着させる全面接着方式、先端だけを固定する先端定着方式、機械的に広げて固定する方式などがあり、地山条件に応じて選びます。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)のロックボルトに関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「ロックボルトは、トンネル壁面に平行に打設するのが原則である。」は誤りです。平行では地山内部の亀裂を貫けず効果が得られません。原則は掘削面に直角です。
「ロックボルトは、吹付けコンクリートを地山に留める部材である。」も誤りです。吹付けコンクリートの押さえは副次的な働きにすぎず、主たる目的は地山自体の補強と一体化にあります。
「定着方式は、機械式のもののみが認められているものである。」も誤りです。全面接着方式や先端定着方式など複数の方式があり、地山条件に応じて選定します。
問73-13

山岳トンネルの鋼アーチ支保工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①鋼アーチ支保工は、地山が良好な場合に限って用いられている。
  • ②建込みは掘削後速やかに行い、地山に確実に密着させておく。
  • ③脚部は、支持力を考えずに地山へ直接据え付けてよいとされる。
  • ④鋼アーチ支保工は、吹付けコンクリートの代わりに使われる。
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正解 ②建込みは掘削後速やかに行い、地山に確実に密着させておく。
解説
鋼アーチ支保工は、H形鋼などをトンネルの断面形状に合わせて曲げ、アーチ状に組み立てて建て込む支保部材です。吹付けコンクリートが所定の強度を発揮するまでには時間がかかりますが、その間に地山は緩み続けます。鋼アーチ支保工は、建て込んだ瞬間から抵抗力を発揮できるため、この空白の時間を埋める役割を果たします。あわせて、切羽の安定を助け、地山の変形を拘束し、補助工法の反力を取る足場にもなります。
この働きを引き出すには、二つのことが欠かせません。一つは、掘削後速やかに建て込むことです。遅れれば地山はその間に緩んでしまいます。もう一つは、地山に確実に密着させることです。鋼アーチと地山の間にすき間があると、地山が変形してすき間が詰まるまで支保工は何の力も受け持ちません。すき間には吹付けコンクリートを充てんし、密着させます。
また、支保工の脚部が沈下すると、断面全体が下がって内空が確保できなくなります。地山が軟弱な場合は、脚部を拡幅する、底盤にコンクリートを打つ、脚部にロックボルトを打って支えるなどの処置を行います。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の鋼アーチ支保工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「鋼アーチ支保工は、地山が良好な場合に限って用いられている。」は誤りです。地山が良好で切羽が安定している場合はむしろ省略でき、地山が不良で早期に大きな支保力が必要な場合にこそ用います。
「脚部は、支持力を考えずに地山へ直接据え付けてよいとされる。」も誤りです。脚部が沈下すると内空断面が確保できなくなるため、脚部の支持力の確認と補強は不可欠です。
「鋼アーチ支保工は、吹付けコンクリートの代わりに使われる。」も誤りです。両者は役割が異なり、吹付けコンクリートと一体となって働かせるのが前提です。
問83-13

山岳トンネルの支保工の施工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①支保工は、地山の変形が完全に止まってから設置に移る。
  • ②支保工の部材は、地山条件にかかわらず同じ仕様で施工する。
  • ③一次吹付けは、鋼アーチ支保工を建て込んだあとに行っている。
  • ④支保工は、掘削後の早い時期に設けて地山の緩みを抑えていく。
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正解 ④支保工は、掘削後の早い時期に設けて地山の緩みを抑えていく。
解説
山岳トンネルの支保工は、地山を外から力ずくで押さえ込む構造物ではありません。地山がもともと持っている支える力をできるだけ損なわないようにし、地山と支保工が一体となって安定させる、という考え方に立っています。
この考え方から導かれる最も大切な原則が、施工の時期です。掘削してから時間がたつほど、掘削面のまわりの地山は緩み、亀裂が開き、自ら支える力を失っていきます。したがって支保工は、緩みが進む前のできるだけ早い時期に設けなければなりません。掘削、ずり出し、浮石落とし(こそく)、一次吹付けコンクリート、鋼アーチ支保工の建込み、二次吹付け、ロックボルトという一連の作業を、切羽ごとに滞りなく繰り返していくのはこのためです。一次吹付けを鋼アーチ支保工の建込みより先に行うのは、まず掘削面を早く覆って剥落と緩みを止めるためです。
支保工の仕様は、地山の等級や計測結果に応じて選定し、変形が想定より大きい場合には支保パターンを変更します。地山条件にかかわらず一律とするものではありません。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の支保工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「支保工は、地山の変形が完全に止まってから設置に移る。」は誤りです。変形が止まるまで待てば地山はすでに大きく緩んでおり、崩落の危険が生じるうえ、支保工に作用する荷重も大きくなります。
「支保工の部材は、地山条件にかかわらず同じ仕様で施工する。」も誤りです。地山等級ごとに支保パターンを定め、計測結果に応じて見直すのが原則です。
「一次吹付けは、鋼アーチ支保工を建て込んだあとに行っている。」も順序が誤りです。掘削面を早く覆うため、一次吹付けを行ってから鋼アーチ支保工を建て込みます。
問93-13

山岳トンネルの発破掘削に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①スムーズブラスティングは、外周孔の装薬量を減らして行う。
  • ②心抜きは、断面の外周部から順に発破を行っていく方法である。
  • ③余堀りは、支保工の安定に役立つため大きいほうがよい。
  • ④外周孔の間隔は、他の孔より広くとるのが原則である。
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正解 ①スムーズブラスティングは、外周孔の装薬量を減らして行う。
解説
発破で岩を破砕するとき、掘りたい形どおりにきれいに割れてくれるわけではありません。設計した掘削線より外側まで余分に崩れることを余堀り(オーバーブレーク)といいます。余堀りが大きいと、掘削面の外側の地山が発破の衝撃で緩んで支保工に作用する荷重が増え、さらに余分に生じた空間を吹付けコンクリートで埋めなければならず、材料も時間も余計にかかります。したがって余堀りは小さいほど望ましく、大きいほうがよいということはありません。
この余堀りを抑えるための制御発破がスムーズブラスティングです。掘削線に沿って並ぶ外周孔について、装薬量を少なくし、孔の間隔を内側の孔より狭くします。弱い爆薬を細かい間隔で並べることで、隣の孔との間に亀裂が線状につながり、掘削線に沿って滑らかに割れます。結果として掘削面が平滑になり、余堀りと地山の緩みを最小限に抑えられます。
なお、切羽の中心付近にまず自由面(爆破した岩が逃げ込める空間)をつくる発破を心抜きといい、これを最初に行ってから順に外側へ向かって発破していきます。自由面がなければ岩は動く先がなく、破砕が進まないためです。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の発破掘削に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「心抜きは、断面の外周部から順に発破を行っていく方法である。」は誤りです。心抜きは切羽の中央付近を先に爆破して自由面をつくる作業であり、発破は中心から外側へ向かって順に起爆します。
「余堀りは、支保工の安定に役立つため大きいほうがよい。」も誤りです。余堀りは地山の緩みと吹付け量の増加を招くだけで、支保工の安定にはつながりません。
「外周孔の間隔は、他の孔より広くとるのが原則である。」も誤りです。掘削線に沿って滑らかに割るためには、外周孔の間隔は他の孔より狭くします。
問103-13

山岳トンネルの地山条件と工法の選定に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①地山が良好で断面が小さい場合は、全断面工法が有利である。
  • ②膨張性の地山では、早期に断面を閉合できる工法を選定する。
  • ③地山が不良なほど、支保工の設置を遅らせるのが有利である。
  • ④地質が変化しやすい場合は、ショートベンチ工法が用いられる。
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正解 ③地山が不良なほど、支保工の設置を遅らせるのが有利である。
解説
山岳トンネルの工法選定は、突き詰めると「切羽が自立する時間と範囲がどれだけあるか」を見きわめる作業です。地山が良ければ、大きく掘っても、支保をやや遅らせても崩れませんが、地山が悪ければその余裕がありません。
ここで押さえておくべきは、地山が不良になるほど支保工は早く設けなければならないということです。掘削面のまわりの地山は、掘った瞬間から緩み始めます。地山が悪いほどその進み方が速く、放置すれば亀裂が開き、剥落が起き、最終的には切羽が崩れます。しかも緩んでからでは、支保工が受け持たなければならない荷重そのものが大きくなります。したがって「地山が不良なほど、支保工の設置を遅らせるのが有利である」という記述は、支保工の考え方と正反対であり誤りです。地山が不良なときこそ、掘削と支保を一連の作業として切れ目なく行い、必要に応じて補助工法も併用します。
あわせて、変位を計測して支保工の効果を確かめ、想定より変形が大きい場合は支保パターンを強化する、という手順を踏みます。
(根拠:トンネル標準示方書(土木学会)の山岳工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「地山が良好で断面が小さい場合は、全断面工法が有利である。」は正しい記述です。切羽が自立する条件がそろえば、分割せずに一度に掘るほうが作業の切替えが少なく能率が高くなります。
「膨張性の地山では、早期に断面を閉合できる工法を選定する。」も正しい記述です。膨張性地山は時間とともに大きな変形が進むため、インバートを含めて断面を早く円環状に閉じ、変形を抑えます。
「地質が変化しやすい場合は、ショートベンチ工法が用いられる。」も正しく、ベンチ長を伸縮させることで、同じ工法のまま地山の変化に対応できます。

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