2026年版・2-13

基礎工(既製杭・場所打ち杭・直接基礎)の一問一答

1級土木施工管理技士「土木一般」から、基礎工(既製杭・場所打ち杭・直接基礎)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-13

直接基礎の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①基礎の掘削は、支持地盤を乱さないよう最終段階を慎重に行う。
  • ②砂地盤では、基礎底面に割ぐり石や砕石を敷いて締め固める。
  • ③岩盤では、基礎底面を平滑に仕上げて滑動抵抗を大きくする。
  • ④基礎底面は、想定した支持層に確実に定着する深さまで根入れする。
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正解 ③岩盤では、基礎底面を平滑に仕上げて滑動抵抗を大きくする。
解説
直接基礎とは、良質な支持層が浅い位置にあるときに、構造物の重さを底面から直接地盤に伝える基礎のことです。ここで大切なのは、鉛直方向の支持力だけでなく、地震時などに基礎が横へすべらないための滑動抵抗も底面で確保するという点です。
岩盤に直接基礎をつくる場合、底面をつるつるに平らへ仕上げてしまうと、基礎と岩盤が単に接しているだけの状態になり、横方向の力に対して滑りやすくなります。そのため岩盤では、あえて凹凸(不陸)を残す、あるいは段差状に整形して、基礎コンクリートと岩盤をかみ合わせ、せん断抵抗を期待する仕上げとします。したがって「平滑に仕上げて滑動抵抗を大きくする」という記述は、目的と手段が逆になっており誤りです。
一方、砂や砂れきの地盤では岩盤のようなかみ合わせが期待できないため、割ぐり石や砕石を敷き均して十分に締め固め、支持面を平らに整えたうえで摩擦抵抗を見込みます。地盤の種類によって仕上げ方が変わる点が要点です。
(根拠:道路橋示方書・同解説 下部構造編(日本道路協会)の直接基礎に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「基礎の掘削は、支持地盤を乱さないよう最終段階を慎重に行う。」は正しい記述です。機械で掘り過ぎると支持層がゆるみ、設計どおりの支持力が得られなくなります。
「砂地盤では、基礎底面に割ぐり石や砕石を敷いて締め固める。」も正しく、支持面を平坦に整え摩擦抵抗を確保するための標準的な処理です。
「基礎底面は、想定した支持層に確実に定着する深さまで根入れする。」も正しく、支持層のわずかな上面だけに載せると不同沈下の原因になります。
問22-13

既製杭の打込み杭工法(打撃工法)に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①打止め管理は、一打あたりの貫入量とリバウンド量で行う。
  • ②群杭の打込み順序は、外周部から中央部へ向かって進める。
  • ③騒音と振動は、中掘り杭工法に比べて小さく抑えられる。
  • ④支持力は、先端支持力のみで周面摩擦力は見込まない。
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正解 ①打止め管理は、一打あたりの貫入量とリバウンド量で行う。
解説
打込み杭工法は、既製杭の頭をハンマで打撃して所定の深さまで打ち込む工法です。土を掘り出さずに押し広げながら入れていくため、杭の周りの地盤が締まり、大きな支持力が得られるという長所があります。
この工法で支持層に届いたかどうかを判断する作業を打止め管理といいます。地盤が硬くなるほど、一打あたりに杭が沈む量(貫入量)は小さくなり、打撃の反発で杭が跳ね返る量(リバウンド量)は大きくなります。この二つを記録して、設計で想定した支持層に達したことを確認します。目に見えない地中の状態を、打撃の手応えという形で数値化して確かめている、と考えると理解しやすくなります。
なお群杭を打つときは、先に外側を打つと内側の地盤が締まりすぎて杭が入らなくなるため、中央部から外周部へ向かって打ち進めるのが原則です。
(根拠:杭基礎施工便覧(日本道路協会)の打込み杭工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「群杭の打込み順序は、外周部から中央部へ向かって進める。」は逆で、中央部から外側へ向かって打つのが原則です。
「騒音と振動は、中掘り杭工法に比べて小さく抑えられる。」も誤りです。打撃工法は騒音・振動が最も大きい工法であり、市街地では中掘りや埋込み工法が選ばれます。
「支持力は、先端支持力のみで周面摩擦力は見込まない。」も誤りで、杭の支持力は先端支持力と周面摩擦力の和として評価します。
問32-13

既製杭の中掘り杭工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①掘削中は、孔内を安定液で満たして孔壁の崩壊を防ぐ。
  • ②先端処理の方式は、最終打撃方式のみに限られている。
  • ③打込み杭工法に比べて、騒音と振動が大きい工法である。
  • ④杭の中空部にオーガを通して掘削しながら杭を沈設する。
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正解 ④杭の中空部にオーガを通して掘削しながら杭を沈設する。
解説
中掘り杭工法は、先端が開いた既製杭(鋼管杭やPHC杭)の中空部にスパイラルオーガを差し込み、杭の内側の土を掘り出しながら杭そのものを地中へ沈めていく工法です。
杭を打撃で押し込むのではなく、内部の土を抜きながら沈めるため、騒音と振動が小さく、市街地や近接構造物のある現場で広く用いられます。また、掘った孔の壁を保護する必要がないのが特徴です。孔壁にあたる部分は杭そのものだからで、安定液やケーシングで壁を守る場所打ち杭とは考え方が異なります。
杭が支持層に達したあとは、先端の支持力を確実に発揮させるための先端処理を行います。方式には、最後だけ打撃して押し込む最終打撃方式、セメントミルクを噴き出して先端の土と混ぜ固める方式、先端にコンクリートを打設する方式があり、地盤条件や必要な支持力に応じて選びます。
(根拠:杭基礎施工便覧(日本道路協会)の中掘り杭工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「掘削中は、孔内を安定液で満たして孔壁の崩壊を防ぐ。」は場所打ち杭の考え方であり、中掘り杭では杭自体が孔壁を兼ねるため必要ありません。
「先端処理の方式は、最終打撃方式のみに限られている。」も誤りで、セメントミルクによる噴出攪拌方式やコンクリート打設方式も用いられます。
「打込み杭工法に比べて、騒音と振動が大きい工法である。」も逆で、中掘り杭工法は打撃を伴わないぶん騒音・振動を小さく抑えられます。
問42-13

既製杭のプレボーリング杭工法(セメントミルク工法)に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①掘削孔の径は、杭径よりも小さい径として杭を圧入する。
  • ②掘削孔の先端に根固め液を注入し、その後に杭を沈設する。
  • ③掘削中は、孔壁の崩壊を防ぐため孔内を無水状態に保つ。
  • ④杭の周囲からは、掘削液を全量排出してから杭を沈設する。
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正解 ②掘削孔の先端に根固め液を注入し、その後に杭を沈設する。
解説
プレボーリング杭工法は、あらかじめアースオーガで杭を入れる孔を掘っておき、そこへ既製杭を沈めて設置する工法です。打撃をほとんど使わないため、騒音と振動を大きく減らせるのが最大の利点です。
ただし、ただ孔に杭を落とし込んだだけでは、杭の先端と地盤の間にすき間が残り、先端支持力が出ません。そこで掘削が支持層まで達したあと、孔の先端部にセメントミルク(根固め液)を注入し、先端付近の土と練り混ぜて球根状に固めた部分をつくります。この根固め部を通して杭の先端荷重を支持層へ伝える、というのがこの工法の要点です。杭を沈設したあとは、杭周部にも杭周固定液を注入して周面摩擦力を確保します。
掘削中は、孔壁が崩れないよう掘削液(安定液)を注入しながら掘り進めるのが標準で、無水で掘るわけではありません。また掘削孔の径は杭径より大きくとります。
(根拠:杭基礎施工便覧(日本道路協会)のプレボーリング杭工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「掘削孔の径は、杭径よりも小さい径として杭を圧入する。」は誤りで、孔径は杭径より大きくとり、すき間を根固め液・杭周固定液で満たします。
「掘削中は、孔壁の崩壊を防ぐため孔内を無水状態に保つ。」も誤りで、崩壊を防ぐために掘削液を用います。
「杭の周囲からは、掘削液を全量排出してから杭を沈設する。」も誤りで、孔壁保護と周面摩擦力の確保のため液は孔内に保持されます。
問52-13

場所打ち杭のオールケーシング工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①ケーシングチューブで孔壁全長を保護し、崩壊を防止する。
  • ②孔内水位を地下水位より高く保ち、水圧で孔壁を保護する。
  • ③ベントナイト系の安定液を用いて、孔壁に泥膜を形成する。
  • ④ライナープレートで土留めしながら、人力で掘削を進める。
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正解 ①ケーシングチューブで孔壁全長を保護し、崩壊を防止する。
解説
場所打ち杭は、地中に掘った孔へ鉄筋かごを入れ、その場でコンクリートを打って杭をつくる工法です。共通の課題は「掘った孔の壁をどうやって崩さずに保つか」であり、その方法の違いがそのまま工法の名前になっています。
オールケーシング工法は、鋼製の筒であるケーシングチューブを揺動または回転させながら圧入し、孔の全長を鋼管で覆って物理的に壁を守る工法です。内部の土はハンマグラブでつかみ上げて排出します。壁を鋼管で直接押さえるため、四つの代表工法のなかで最も孔壁の崩壊が起きにくく、玉石層など崩れやすい地盤でも施工できます。コンクリートを打ちながらケーシングチューブを引き抜いていく点も特徴です。
他の工法と混同しないよう、孔壁保護の手段を「鋼管=オールケーシング」「水圧=リバース」「安定液=アースドリル」「土留め材=深礎」と整理して覚えると確実です。
(根拠:杭基礎施工便覧(日本道路協会)の場所打ち杭工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「孔内水位を地下水位より高く保ち、水圧で孔壁を保護する。」はリバースサーキュレーション工法の説明です。
「ベントナイト系の安定液を用いて、孔壁に泥膜を形成する。」はアースドリル工法の説明にあたります。
「ライナープレートで土留めしながら、人力で掘削を進める。」は深礎工法の説明であり、いずれも別工法の孔壁保護方法です。
問62-13

場所打ち杭のリバースサーキュレーション工法における孔壁の保護に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①孔内水位は、地下水位より2m程度低く保つ必要がある。
  • ②孔壁の保護は、ケーシングチューブを孔底まで圧入して行う。
  • ③孔内水位を地下水位より2m以上高く保ち、水圧で保護する。
  • ④掘削土は、ドリルパイプの外側を通して地上へ排出する。
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正解 ③孔内水位を地下水位より2m以上高く保ち、水圧で保護する。
解説
リバースサーキュレーション工法は、孔の中に満たした水そのものの重さで孔壁を押さえる工法です。孔の中の水位を周囲の地下水位より高くしておくと、その水位差のぶんだけ孔の内側から外側へ向かう水圧が働き、壁の土が内側へ崩れ落ちるのを防ぎます。この水位差の目安が2m以上です。水位差が小さいと押さえる力が足りず、逆に地下水位のほうが高くなると水が孔の中へ流れ込み、一気に孔壁が崩れます。
「2m以上高く保つ」という数値は、単なる暗記事項ではなく、崩壊を防ぐのに必要な圧力を確保するための最低ラインだと理解しておくと忘れません。孔口には、地表付近のゆるい土が崩れないようスタンドパイプを建て込みます。
工法名のリバース(逆循環)は、掘削土の排出方法を表しています。ドリルパイプの内側を通して泥水と土をポンプで吸い上げ、地上で土を沈殿させたあと、水を孔内へ戻して循環させます。
(根拠:杭基礎施工便覧(日本道路協会)のリバースサーキュレーション工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「孔内水位は、地下水位より2m程度低く保つ必要がある。」は高低が逆で、低くすると外部から地下水が流入して孔壁が崩壊します。
「孔壁の保護は、ケーシングチューブを孔底まで圧入して行う。」はオールケーシング工法の方法です。
「掘削土は、ドリルパイプの外側を通して地上へ排出する。」も誤りで、排出はパイプの内側を通して吸い上げます。
問72-13

場所打ち杭のアースドリル工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①表層部にはケーシングを建て込み、その下は安定液で保護する。
  • ②掘削は、ハンマグラブを用いて孔底の土砂をつかみ上げて行う。
  • ③回転バケットで掘削した土砂を、地上へ引き上げて排出する。
  • ④他の場所打ち杭工法に比べ、機動性がよく低騒音低振動である。
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正解 ②掘削は、ハンマグラブを用いて孔底の土砂をつかみ上げて行う。
解説
アースドリル工法は、回転バケット(ドリリングバケット)を回して土を削り取り、バケットの中にためた土砂ごと地上へ引き上げて排出する工法です。掘削の道具が回転バケットである点が、この工法を見分ける決め手になります。
孔壁の保護は、地表付近のゆるい層だけを表層ケーシングで押さえ、その下はベントナイトなどの安定液で行います。安定液は粘り気のある泥水で、孔壁の表面に薄い膜(泥膜)をつくり、同時に液の重さで壁を押さえます。ケーシングを全長に入れる必要がないため、機材が軽く準備や移動が早く、騒音・振動も小さいという長所があります。
これに対しハンマグラブは、二枚貝のような開閉するつかみ具を落として土をつかむ道具で、オールケーシング工法で使われます。したがって「ハンマグラブを用いて」という記述はアースドリル工法の説明として誤りです。
(根拠:杭基礎施工便覧(日本道路協会)のアースドリル工法に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「表層部にはケーシングを建て込み、その下は安定液で保護する。」は正しく、これがアースドリル工法の標準的な孔壁保護の形です。
「回転バケットで掘削した土砂を、地上へ引き上げて排出する。」も正しく、掘削と排土を同じバケットで行うのがこの工法の特徴です。
「他の場所打ち杭工法に比べ、機動性がよく低騒音低振動である。」も正しく、市街地の工事で選ばれる理由になっています。
問82-13

場所打ち杭のコンクリート打込みとスライム処理に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①スライム処理は、掘削完了直後の一次処理だけで十分である。
  • ②トレミー管の先端は、コンクリート中への挿入を避けて用いる。
  • ③コンクリートは、水中では分離しないため配合を変えない。
  • ④トレミー管の先端は、コンクリート中に2m以上挿入しておく。
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正解 ④トレミー管の先端は、コンクリート中に2m以上挿入しておく。
解説
場所打ち杭のコンクリートは、水や安定液で満たされた孔の中へ打ち込みます。そのまま上から落とすと材料が水と混ざって分離し、杭の品質が保てません。そこでトレミー管という長い管を孔底まで下ろし、管の中を通してコンクリートを送り、下から押し上げるように置き換えていきます。
このとき重要なのが、トレミー管の先端を常に打込み済みのコンクリートの中に2m以上入れたままにしておくことです。先端がコンクリート面より上に出てしまうと、送り込んだコンクリートが水中を落下して分離し、泥水を巻き込んだ弱い部分(欠陥)が杭の中にできてしまいます。管の先端をコンクリートに埋めたままにするのは、コンクリートが水に触れる面を増やさないための工夫だと理解してください。
スライムとは、孔底にたまる掘りくずや泥のことで、これが残ると杭の先端支持力が出ません。掘削完了直後の一次処理に加え、鉄筋かごを建て込んだあとコンクリート打込みの直前に二次処理を行うのが原則です。
(根拠:杭基礎施工便覧(日本道路協会)の場所打ち杭の施工に関する記載によります)

他の選択肢が不適切な理由
「スライム処理は、掘削完了直後の一次処理だけで十分である。」は誤りで、鉄筋かご建込み後に再び沈殿するため二次処理が必要です。
「トレミー管の先端は、コンクリート中への挿入を避けて用いる。」も誤りで、挿入しないと材料分離を招きます。
「コンクリートは、水中では分離しないため配合を変えない。」も誤りで、水中打込みでは単位セメント量を多くするなど分離しにくい配合とします。
問92-13

杭基礎に作用する負の周面摩擦力(ネガティブフリクション)に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

  • ①杭の周面に生じる上向きの力で、杭の支持力を増加させる。
  • ②砂質地盤の地下水位が上昇するときに、最も大きく生じる。
  • ③圧密沈下する地盤が杭を引き下げる力で、下向きに作用する。
  • ④対策として、杭の外径を大きくして摩擦面積を増やすとよい。
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正解 ③圧密沈下する地盤が杭を引き下げる力で、下向きに作用する。
解説
通常、杭の周面に働く摩擦力は、杭が沈もうとするのを地盤が支える上向きの力として働き、支持力の一部になります。ところが軟弱な粘性土の上に盛土をするなどして地盤全体が圧密沈下すると、地盤のほうが杭より速く沈むため、摩擦の向きが逆転します。地盤が杭を下へ引きずり下ろす形になり、杭には下向きの余分な荷重が加わります。これが負の周面摩擦力(ネガティブフリクション)です。
この力は支持力を増やすどころか、杭の軸力を増加させて杭体を破壊したり、杭を沈下させたりする原因になります。したがって設計では、上向きの摩擦力を期待するのではなく、下向きの荷重として見込む必要があります。
対策としては、杭の表面をアスファルトなどで被覆して摩擦を切る方法(表面処理杭)、杭径を小さくして摩擦を受ける面積を減らす方法、あらかじめ圧密沈下を終わらせておく方法などがあります。摩擦面積を増やす方向の対策は、負の摩擦力そのものを大きくしてしまうため逆効果です。
(根拠:道路橋示方書・同解説 下部構造編(日本道路協会)の杭基礎に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「杭の周面に生じる上向きの力で、杭の支持力を増加させる。」は通常の正の周面摩擦力の説明であり、負の摩擦力とは向きが逆です。
「砂質地盤の地下水位が上昇するときに、最も大きく生じる。」も誤りで、問題となるのは軟弱粘性土の圧密沈下が生じる場合です。
「対策として、杭の外径を大きくして摩擦面積を増やすとよい。」も誤りで、外径を大きくすると負の摩擦力はかえって増大します。
問102-13

基礎の支持力と基礎形式の選定に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • ①支持層が浅い位置にある場合は、直接基礎が有利となりやすい。
  • ②群杭の支持力は、杭1本あたりの支持力の総和と等しくなる。
  • ③直接基礎の底面には、滑動に抵抗する摩擦力を見込んでよい。
  • ④杭の支持力は、先端支持力と周面摩擦力の和として求められる。
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正解 ②群杭の支持力は、杭1本あたりの支持力の総和と等しくなる。
解説
基礎形式は、良質な支持層がどの深さにあるかによって選びます。支持層が浅ければ直接基礎、深ければ杭基礎やケーソン基礎が候補になります。
ここで理解しておきたいのが群杭の考え方です。杭を何本もまとめて打つと、各杭が周りの地盤へ力を伝える範囲が互いに重なり合います。すると一本ずつが独立して働くときほどの効率が出ず、群全体の支持力は単杭の支持力に本数を掛けた値より小さくなるのが一般的です。これを群杭効果といいます。杭の中心間隔が狭いほどこの影響は大きく、沈下量も単杭より大きくなります。したがって「総和と等しくなる」という記述は誤りです。
杭の支持力そのものは、先端が支持層を押す先端支持力と、杭の側面と土の間に働く周面摩擦力の和として評価します。どちらを主に期待するかによって、支持杭・摩擦杭と呼び分けます。
(根拠:道路橋示方書・同解説 下部構造編(日本道路協会)の基礎の設計に関する規定によります)

他の選択肢が不適切な理由
「支持層が浅い位置にある場合は、直接基礎が有利となりやすい。」は正しく、浅ければ掘削だけで支持層に達するため経済的です。
「直接基礎の底面には、滑動に抵抗する摩擦力を見込んでよい。」も正しく、水平力に対する抵抗として底面の摩擦を評価します。
「杭の支持力は、先端支持力と周面摩擦力の和として求められる。」も正しく、杭基礎の支持力の基本的な考え方です。

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